デザイナーが10日間100時間の瞑想から学び得たもの

初めまして。みみずのみずのです。京都のITスタートアップでUI/UXデザイナーとして働いています。

先日、2018年12月4日~15日の10日間、京都の山奥で1日10時間、計100時間の瞑想修行をしてきました。今回はその体験と、人生の振り返りを兼ねて記事を書こうと思います。

最初に感想を述べると、参加して本当によかったです。今回行った瞑想は、ヴィパッサナー瞑想と言われるもので、10日間誰とも目を合わさず、喋らず、ひたすら自分と向き合い瞑想します。まさしく「修行」です。笑

当初はもちろん、「本当に大丈夫?」「宗教とか、怪しくないの?」と自分でも思いましたが、実際に体験してみると瞑想は驚くほど合理的な技であることに気づきました。確かにスピリチュアルっぽい瞑想も世の中にはありますが、今回のヴィバッサナー瞑想では宗教的な観点や、それを強制することもありませんでした。

情報で溢れる現代に必要な振り返る時間

僕たちの生きる世界は、インターネットの普及により、常に情報が押し寄せる世界となりました。

朝起きるとまずスマートフォンを確認し、ご飯はテレビを見ながら、どこに出かけるにしても好きな音楽を聞き、仕事ではPCに向かい、何かあると通知が飛んでくる。Twitterやニュースアプリを開いてみると、興味のある、役立つ情報で溢れています。

僕ら現代人は、少しの間静まり思いを巡らす、過去を振り返り、今を生きることがなかなか難しくなってきます。

瞑想期間中の10日間は、他の参加者と喋ることは許されないのですが(スマホ、読書、メモも禁止)、人と話さないというのは意外と気楽なことに気づきました。そして、いろんなことに思いを巡らせることができました。

家族、友達、会社の同僚、かつていた恋人のこと、過去の良かった出来事、辛かった出来事、将来どんなことをしたいか、どんなキャリアを歩むか、どんな人になりたいか...

そこで体験したこと、考えたことを整理することも踏まえここにまとめたいと思います。

【目次】
・参加したきっかけ / 理由
・ヴィパッサナー瞑想とは?
・具体的なスケジュール
・「観察」と「デザイン」
・1流アスリートも実践する瞑想
・人間の苦悩の3大要因
・原則と実践
・100時間の瞑想を体験して変わったこと
・これからのデザイナーのあるべき姿
・ジョブズのように人生が無常であると理解し、今を生きる

参加したきっかけ

参加したきっかけは2つあります

1. 会社の社長に誘われた
2. よく読んでいるブログの方が過去に参加していた

きっかけの1つは、現在インターンとして働いている会社の社長(@Yuki_Kunishige)に誘われたことです。

1年くらい前に「ヴィパッサナー瞑想っていう、すごい瞑想センターがあるんや!それにずっと行きたいねんけど、全然時間がないねん!」という話を社長から聞いて、初めて存在を知りました。

どうやら10日間誰とも喋らず、ひたすら瞑想する場所があるらしい。当然、行きたいなんて1ミリも思いませんでした。笑

しかし、近年グーグルやインテルなどのIT企業が能力向上のため「マインドフルネス瞑想」を取り入れていることが話題になっていたので、自分も瞑想自体には興味がありました。

ある時、実際に目をつぶって、瞑想っぽいことをやってみると、とても気分が落ち着き、集中力が高まる感じがしてびっくりしました。それから気分が沈んだ時や、朝の数分に瞑想をするようになりました。

それから半年ぐらい経ったある時、ついに社長がヴィパッサナー瞑想に行くことを決心したらしく、「一緒に行かない?」と誘われました。

瞑想もかじり始めて、行きたい気持ちも出始めていたのですが、「100時間も瞑想するなんて精神壊れるんじゃないか。。。」とやっぱりいくのは渋りました。

そんな時、このヴィパッサナー瞑想についてネットで調べていると、自分がよく読んでいたブログの方(神能さん@kanchan_r)が、4年前に同じ瞑想修行に参加していることを知りました。

この記事を読んでいるうちに段々行きたい気持ちも強くなってきて、「もし今回行かなかったら今後の人生で行くことはないだろうなーと」思い始め、参加を決意しました。

その後、自分が申し込みをした直後ぐらいに、なんと神農さんは2回目に参加されたとのことを知りました。まさにタイムリーな出来事に対する驚きと、「2回も修行しに行くなんて強者もいるものだな...」と思ったものです。

また、神農さんは他の参加者向けに持ち物リストなる記事も書いていたので、自分が今回参加する際、参考にさせていただきました(本当にありがとうございました...!!)

参加した理由

社長は今回の瞑想修行で、どんなことでも客観的に捉え、動じないメンタルを身につけにいくとのこと。聞くところによると、世の中の社長の4割はうつ病になり、ベンチャー企業の社長の7割はうつ病などのメンタルの病気になるらしく、また自殺者の2割は社長というデータがあるらしいです。(あとボソッと「それと、痩せるため」と言っていました。)

僕が参加した理由は、以下の3つです。

1. メンタルを安定させること
2. コンプレックスの改善
3. 人生の振り返り

現在大学を4年次から休学しており、休学生活は今年で2年目に突入しました。一応フルタイムで働いているので何もしていない訳ではないのですが、やはり多少レールから外れてるので、よく焦燥感を感じることがあります。

また、自分は承認欲求が少し強めで、特にスピードが早いIT界隈にいて、SNSを見ていると「みんなすごいのに、自分は...」と思うことがよくあります。

あと今年で24歳になりました。人生がもし100年だとしたら、4分の1が終わったことになります。就職活動も本格化してきたので、自分を見つめ直し、新しいスタートを切るのにいい機会だと思い、参加を決意しました。

ヴィパッサナー瞑想とは?

今回修行することになったヴィパサナー瞑想は、2500年以上前にゴーダマ・ブッダによって再発見された、インドで最も古い瞑想法のひとつです。

ヴィパッサナーとは、「物事をありのままに見る」という意味で、この瞑想では、まず呼吸を観察することから始めます。それに慣れた次は、全身の体の感覚を観察していきます。

「体の感覚を客観的に観察する」だたそれだけです。お経を唱えることも、何かをイメージすることもしません。そして、体にどんな感覚が起こったとしても、客観的に捉え、平静を保つように指導されます。この自己観察から、自己洞察を深める訓練が、ヴィパッサナー瞑想です。

具体的なスケジュール

10日間は、以下のスケジュールで活動します。

4:00 起床
4:30~6:30 瞑想
6:30 朝食
8:00~11:00瞑想
11:00 昼食
13:00~17:00 瞑想
17:00 ティータイム
18:00~19:00 瞑想
19:00~21:00 講和
21:30 消灯

朝は4時に起床し、4:30から瞑想が始まります。食事は菜食で朝、昼の2回と、夕方のティータイムではお茶と、果物が出ます。1日約10時間瞑想し、21:30には就寝です。

スケジュールを見たらわかりますが、かなりしんどいです。

特に最初の3日目までがかなりきついです。初日から朝早く起きてすぐ瞑想が始まりますが、目を閉じると睡魔と妄想が襲ってきて、お尻、腰、足がどんどん痛くなり、とても瞑想どころじゃありません。

瞑想中、他のことを考えている自分に気づき、「あ、だめだめ」と我に返り、再び目をつむると「瞑想をしようとしている自分」を想像して、それがどんどん変な妄想に繋がっていき、いかに自分の心は浮ついたものかと思い知らされます(まるで、漫画「NARUTO」の主人公ナルトが自分の内に秘めた九尾を手懐けられていないような感覚でした。笑)

しかし、3日目(瞑想約30時間)をすぎるとコツを掴んできますが、4日目からは「決意の瞑想」というものが始まります。「決意の瞑想」は1日3回、その1時間は目をつむり、手足を一切動かさずに瞑想に集中するというものです。

参加する前に、他のブログを読んでいて存在は知っていたのですが、これがめちゃくちゃしんどかったです。(やむおえない場合は動いても怒られることは一切ないですが、みんな真剣に取り組んでいました。)

また、この期間中は毎日1時間半の講和があるのですが、思っていた以上に面白くて集中して聞けました(瞑想がいかにロジカルであるかを理解し、仏教に関しても理解が深まりました。)

ちなみに参加費はなく、寄付という形になっています。これは瞑想をビジネスに悪用されないための意向があるみたいで、10日間の食事やサポートをしてくれるスタッフの方も、過去に参加した人が全てボランティアで支援してくれます。

その他、このプログラムに関してはいろんな方がブログを書いているので、先ほどの神農さんのブログや、「ヴィパッサナー瞑想 京都( or 千葉)」と検索するといっぱい出てきます。気になる方は検索してみてください。

ここからは、ヴィパッサナー瞑想でキーワードとなる「観察」と「無知」に焦点を置き、デザインに通ずる観点からまとめていこうと思います。

「観察」と「デザイン」

「観察」という技は、デザイナーに求められる能力の一つです。よくデザインは、感覚的なものと捉えられますが、良いとされるデザインには一つ一つ理由があります。そして、デザイナーは自分のデザインを論理的に説明することが求められます。

しかし、良いデザインを見極める視点は鍛えないと身につきません。この「観察力」を鍛える練習の一つがデッサンです。美大生の方はデッサンを学んでいる方がほとんどで、「観察力」はデザイナーに求められる重要なスキルになります。

僕は1年半前に文系学部からデザイナーを目指し始めたので、デッサンはやったことはありません。しかし、デザイン修行始めた際、メンターの方に最初に与えられた課題が、身の回りにあるものを観察して、一つ一つの要素を分解しその理由を考えるというものでした。

例えば、いつも何気なく使っているコップでも、その一つ一つの形状を観察するといろんな気づきを得ることができます。全体の大きさは?飲み口の形状は?厚さや柔らかさ、また素材はどうか?どんな時に利用されるか?....などなど、様々な側面からコップの要素を因数分解していき、なぜそうなっているかを分析していくとその理由が見えてきます。

(その時の発表用の資料。今改めて見ると考察が甘すぎる...と恥ずかしいですが一応載せておきます)

(最初はプラスチックのコップを、マインドマップで様々な側面から要素に分解し、その理由を考えていきました)

デッサンの観点で言えば、THE GUILDでデザイナーのこばかなさん(@kobaka7)が、「観察」についてブログでわかりやすく言語化しており、とても参考になりました。

例えば高級な和食料理屋に入ったとしましょう。「このお店を高級たらしめている要因は何か?」という切り口で観察していくと、立地、看板、店名、食材、照明、接客、店員の服…など数多くの発見ができると思います。
さらに「何故この看板が高級に見えるのか?」のように少し近付いて観察すれば、ロゴマーク、書体、材質、間の取り方…などそのままデザインの参考になりそうなヒントも得られるわけです。

このように多くのデザイナーは、身の回りにあるものを観察し、なぜそうなっているかを分析する能力に長けていると言えます。

しかし、デザイナー(というよりほとんどの人)は周りの対象物を観察することはあっても、自分自身のことを観察することは滅多にありません。

この自分自身のことを、もっと詳しくいうとまず自分の呼吸、そして次に全身の感覚を客観的に観察することが、ヴィパッサナー 瞑想です。

人は落ち込んでいる時、不安な時、緊張している時、つまり心が乱れていると、呼吸が乱れます。それは全身の感覚についても同じである、とこの瞑想では教わります。しかし、僕たちは潜在意識のレベルでおきているこの感覚に気づきません。(例えば、寝返りを打つのも潜在意識のおかげ)

よって、ヴィパッサナー 瞑想では、心から生じる体の感覚に気づき、どんな感覚が起こったとしても客観的に捉え、平静さを保つという訓練を行います。

こばかなさんは先ほどのブログで、「感覚とは無意識を意識かすること」と述べていますが、自分の中に起こっている無意識を意識化するのがヴィパッサナー 瞑想であるとも言えます。

人は周りで起きていることには客観的になれますが、それが自分のことになると難しくなります。何か不快なことがあった時、多くの場合それを忘れようとしたり、他のことで気をそらそうとします。

しかし、これは根本的な解決にはなりません。ギリシャ哲学者が「汝自身を知れ」と説いたように、幻想ではなく、現実に起こっていることに目を向ける訓練をこの瞑想では行うのです。

「汝自信を知れ(ギリシア語:)」wikipediaより

(ちなみに、映画「マトリックス」で主人公ネオが預言者オラクルに言われるのはこのラテン語)

1流アスリートも実践する瞑想

僕は高校までずっとサッカーをしていて、好きな選手の1人はサッカー日本代表の長友選手が選手の1人です。

彼は常に前向きでひたむきに努力し、前回W杯では、大会直前で監督交代という事態に不安なムードが漂う中、髪の毛を金色に染めてチームを盛り上げようとする姿勢に心打たれました。

瞑想を終えた時、長友がヨガをしているというのは聞いたことがあったので、「もしかしたら、、、」と調べてみると長友も瞑想を実践しているのを知り驚きました。

寝る前に5分から10分、あぐらを組んで、目をつぶる。
そして、呼吸だけに意識を集中させる。

これが、僕の日課です。たったこれだけの瞑想を続けるだけで、ネガティブ思考や雑念がゆっくり消えていく。

心が静まり、澄み渡った気持ちに変わる。
こんな体験を毎日しています。

(「長友佑都のヨガ友」より)

あれだけのプレッシャーの中、常にメンタルを保ち、ひたむきに挑戦し続けるのは、長友も自分の体の感覚を観察し、現実に向き合っていたからなのかもしれません。

人間の苦悩の3大要因

ヴィパッサナー瞑想では、全ての苦悩の原因となる渇望、嫌悪、無知を取り除くことを目的としています。「渇望」と「嫌悪」はすぐ理解できますが、3つ目の「無知」とはなんでしょうか?

ここでいう「無知」とは、人はどんな対象に対しても、反応を繰り返していることに気づいていないという事実です。反応は、意識、感覚、そして渇望、嫌悪を生み、それらは執着に繋がるとブッタは述べています。

自分に起きている感覚に気づいていないために、盲目的に反応してしまい、その事実にも気づいてないことが無知であるということです。ブッタは以下のように述べています。

「無知によって、反応が起こる。反応によって、意識が起こる。意識によって、物と心が起こる。物と心によって、六つの感覚器官が起こる。六つの感覚器官によって、接触が起こる。接触によって、感覚が起こる。

感覚によって、渇望と嫌悪が起こる。渇望と嫌悪によって、執着が起こる。執着によって、生成のプロセスが起こる。生成のプロセスによって、誕生が起こる。誕生によって、老と死が起こる。

そして嘆き、悲しみ、心と体の苦しみ、諸々の困難が起こる。こうして、ありとあらゆる苦が生じる」

ここで1つ興味深いのは、その事実を知ったからと言って、無知は智恵になるわけではないということです。

瞑想を通して、実際に自分の感覚に気づき、自分という存在が無情であることを体験することで「無知」は真の「智慧」に変わる、とブッタは言いました。

ブッタは神を信ぜよだとか、自分を崇めよなどとは一切述べてなく、瞑想によって自然の法則、真理を理解せよと言いました。当時多くの科学者や信仰者が、瞑想法や経典について議論していていましたが、そんなことは意味はなく、瞑想を実践することで真理を悟れとブッタは言っています。

また、ブッタは自分の教えが絶対であると断言することもありませんでした。むしろ、自分が体験してないものは疑い、検証すべきだと述べましたが、これは情報で溢れる今の時代では誰もが注意すべきことだと言えます。

人から聞いたこと、古い言い伝え、世間の常識、あるいは文字になっているもの、そういうものを鵜呑みにしてはいけない。想像、推測、外見、部分、可能性、あるいは師の教え、そういうもので教えが真理であると決めつけてはいけない。自分が直接「この教えは正しくない、間違っている、賢者も批判している。この教えを実行すると弊害があり、人々が苦しむ」とさとったとき、それを捨てればいい。

自分が直接「この教えは正しい、間違いがない、賢者も賞賛している。この教えを実行すると人々が豊かで幸福になる」とさとったとき、それを受け入れ、実践すればいい。

原則と実践

デザイン初心者がデザインの原則を学ぶのに有名な本の1つが、「ノンデザイナーズ・デザイナーブック」です。第1般から18年売れ続け、現在「第4版」のロングセラーとなっています。

本書では、デザインの4つの基本原則である「近接」「整列」「反復」「対比」を理解することで、プロでなくても、きれいな、読みやすい、伝わるデザインを作ることのできる視点を学ぶことができます。


しかし、この原則を理解しただけでは、デザインはよくなりません。瞑想と同じように、初心者は原則を理解し、手を動かし実践することによって、知恵を育んでいきます。

これはデザインに限ったことではなく、どんな技を身につける上で大事な真理です。僕らは原理、原則、理論、知識を学ぶだけでは不完全です。また、誰かが言ったこと、世の中に溢れている情報を鵜呑みにしてはいけなません。

原則と実践、インプットとアウトプットの両輪を回し続けることで、真の智慧を身につけることができます。

100時間の瞑想を体験して変わったこと

10日間は終わってみると本当にあっという間でしたが、たくさんの学びがありました。実際に変わったことを書き出してみると大きく6つぐらいありました。

1. 参加者の人とめちゃくちゃ仲良くなった
2. 宗教に対する理解が深まった

3. 音楽がより鮮明に聞こえるようになった

4. 集中力が上がった / 姿勢がよくなった / 痩せた
5. コンプレックスの原因を悟った気がした
6. よりよい人生を歩もうと思うようになった

もうここまででめちゃくちゃ長くなってしまったので、参加レポートは他のブログに書こうと思いますが、5、6番目が一番の学びです。

瞑想修行に入って4日目ぐらいのある夜は眠れなくて、ほうじ茶を飲みながら外を散歩をしました。そして、今までの人生に思いを巡らしていました。

過去の経験を思い出していると、ふと自分が持つ今のコンプレックスの原因が棚から落ちてきたように理解できて、「あーそうだったのかー」とまさに悟ったような気がしました。そのことから、いかに自分が過去の出来事に執着していたのかを気づきました

なんでその時悟ったのかはよくわかりませんが、もしかしたら潜在意識に目を向ける訓練をすることで、潜在意識で気づいていたことを意識化できた or 目を背けていたことに目を向けられるようになったのかもしれません(スピリチュアルっぽいのでここぐらいで...笑)

あとは、瞑想修行を続けることで感謝の気持ちがとても強くなりました。今までの人生、辛いことも悲しいことも自分で乗り越えていた気になっていましたが、よく振り返ってみると、そこには家族や友人、身近な人の支え、何気ない言葉が自分に力を与えてくれたのだと、改めて気づかされました。

現実をしっかり受け止め、今この瞬間を生きた時に生まれるのは感謝だったと気付いたのは、自分の中でとても大きい発見でした。

これからのデザイナーのあるべき姿

本当なら字数的にも、ここで終わるのがいいと思いましたが、今回は自分の人生の振り返りと、これからについて考えたので、今後のキャリアについて書いて終わりにしようと思います。(ここまでで7800字)

この瞑想修行に行く3日前に「DesignShip」という、デザインカンファレンスに参加しました。これは、様々な業界における一流デザイナーが集結し、それぞれの叡智や想いを爆発させる、日本最大級のデザインカンファレンスです。

公募スピーカーの申込を受付開始し、スピーカーの情報も展示の情報も何もないのにも関わらず、開始10時間ですべてのチケットが売り切れたらしいです(僕はまだ学生だったので、学生チケットがギリギリ取れました。ありがたい....)

イベント当日、めちゃくちゃかっこいいオープニングと、代表の広野さんの壮絶なトーク、そして一流デザイナーのプレゼンに最初から最後まで感動し、会場スタッフ、参加者全員を巻き込んでの素晴らしい2日間でした。(2日目は1番前の席に座り、スピーカーの話を目の前で聞いて、それはとても濃い時間でした)

(オープニングがめちゃくちゃかっこいいのでおすすめです。生で見たときは鳥肌が経ちました。)

今年の2018年5⽉23⽇、日本経済産業省は「デザイン経営」宣言を発表し、一部のデザイン界隈ではある種の盛り上がりを見せています。

この宣言の中で、デザイン経営とは

1. 経営チームにデザイン責任者がいること
2. 事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること

の2つを上げており、今後デザイナーの需要がますます高まっていくことになると思います。これをただの宣言で終わらそうとせず、有名企業がどのようにしてデザイン経営に取り組んでいるかも議論が進んでおり、デザインの力がより求められる時代になっています。

僕は、1年半前にデザイナーとしての修行を始めました。同じように、デザイナーとしてのキャリアを歩み始めた者、もしくはこれから志す者も増えていくでしょう。

少し前までは、デザイナーといえば美大・芸大に通わないとなれないと思われていたかもしれません。しかし、最近では初学者でもデザインを学べるサービスや情報がより一層増えています。

実践型のデザイン学習サービスの「Cocoda!」を使えば、未経験からでも手を動かしながらデザインを学び、それに対してのフィードバックをもらえるように。

オンラインプログラミング学習サービスの「Progate」を使えば、誰でもコーディング / プログラミングを学び、実際にデザインを形にできるようになりました。

また、多くの有名企業がデザインブログで情報を発信し、最新のデザインの知識のインプットも容易になりました。

▼note
mixi design
Mercari Design
dely design
UUUM DESIGN

▼Blog
Goodpatch Blog
BizReach Designer Blog
OHAKO BLOG
CyberAgent Developers Blog

これからの時代を作っていく僕たち若者世代のデザイナーは、このデザインの知識のエコシステム維持し、次の世代に伝えていく努力をしていく必要があります。ここから得た知識を、個人の、組織の利益のために悪用してはいけません。そして、それを次の世代に伝えていく努力が求められるはずです。

DesignShipに登壇されたBasecampの坪田 朋さん(@tsubotax )は、発表の際のスライドで映画「スターウォーズ」のダースベイダーが出てくるスライドを載せていましたが、デザイナーとは、正しい信念を持ち、培った技(フォース)を正義のために使うジェダイのような存在であるべきだと僕は思います。

同じく、DesignShip2日目の最後に登壇された長谷川 敦士(@ahaseg)さんは、プレゼンの中で「国ごとの臓器提供の意思表明の割合」を例に紹介していました。

これについて少し解説すると、グラフを見たらわかるように、デンマーク、オランダ、UK、ドイツの4カ国はその他と比べて明らかな差で臓器提供の石表明をしてないことがわかります。

Design Confidence | Designship 2018 (Slide share)

これほど差が出た理由は、上記の4カ国は何も臓器提供に対して他の国よりもネガティブであったというわけではなく、臓器表明の表記の仕方が原因でした。

意思表明率低かった4カ国では、「臓器移植をするならチェックをする」という表記をしていたのに対し、他の国は「臓器移植をしないならチェックをする」というように表記していたために意思表明率が高かったのです。(これはオプトイン・オプトアウトと呼ばれています)

これはデザイナーが介入できる領域であり、自分の行いが社会に影響を及ぼすこと、それにより変化が起こることを意識する必要があるという話でした。

僕らデザイナーは、自分が培った技をダークパターンとして、誤った方向に使わない決意を持つ必要があります。ダース・ベイダーのようにフォースの暗黒面に落ちてしまわぬよう、正しい倫理観と、信念を持ち続け、プロダクト、社会、人に対して、バランスをもたらすのが僕の中にあるこれからのデザイナーに求められる、あるべき姿です。(デザイナーを志し共感してくれる方がいれば、一緒に頑張っていきましょう)

ジョブズのように人生が無常であると理解し、今を生きる

瞑想を終えた後、「スタンフォード大学マインドフルネス教室」という本を読みました。本書の中で、元Apple CEOのスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学学位授与式で行ったスピーチの話が出てきます。(ジョブズも瞑想を実践していたのは有名な話です)

これはyoutubeでも視聴でき、歴史においても最も評判となったスピーチの1つになりました。実は僕もこのスピーチを大学1年生の時に見て、ジョブズの言葉を信じ、やりたいことを見つけるためにいろんなことに挑戦してきました。こんなセリフがあります。

偉業を成し遂げるためには、その仕事を心の底から愛し、そして情熱を注ぎ込む必要がある。もし、その仕事を見つけていないのであれば、そういった仕事を諦めずに探し続ける必要がある。

僕は基本的に物事をネガティブ捉える傾向があるのですが、過去に起こった出来事に対してはポジティブでした。

それはジョブズが一流大学を中退し、自分の専門と全く関係のないカリグラフィーの授業に出て、のちに創業したAppleを解任され、途方にくれたときも、後から振り返ってみると「点が実はつながっていたように」そのどれもが必要な出来事だったとこのスピーチで説いていたからです。

しかし、つい先日、あるデザイナーの方に就活相談に乗ってもらっていた時に自分のことを話していると「君は過去の出来事をよかったと思い込みたいだけなんじゃない?少なくともそういうバイアスがあるかもしれないという事実は認識しといた方がいいよ」と言われそれはひどく落ち込みました。(自分の過去の出来事や自分という存在を否定された気がしたからです。)

瞑想を終えた後、このことについて改めて考えましたが、ジョブズは決してどんなこともポジティブに捉えよと言っていたわけではないと気づきかされました。

今回の10日間の修行では、瞑想を通して自分という存在は「無常である」という自然の摂理を学ぶことを何度も教わります。その自然の摂理を理解し、自分に生じている感覚や事象に対して、客観的に捉え、平静さを保つのです。

無常であるというのは、人生において常であることはないということです。「人生は塞翁が馬」と言い換えることもできるでしょう。人は生まれた瞬間にその存在は常ではなく、良いことも悪いことも人生においては必ず生じ、そして過ぎていきます。

僕たちはこの真実から目を逸らさずに、しっかりと向き合う必要があります。そうして平静さを保つことができたのなら、まさに「今を選択し、今を生きる」ことができるはずです。ジョブズは、この真実から目をそらさずに、毎日を生きていたことがわかります。

自分はもうすぐ死ぬかもしれないと心にとどめることは、これまで僕が大きな決断を下す際の助けとして使ってきたツールの中で、もっとも重要なものです。なぜならほぼすべてのこと、外部の期待、プライド、失敗や恥の恐れなどは、死を前にした時には消え失せるからです。あとに残るのは本当に大事なことだけです。

無常であるという真実を受容するために、キリスト教の祈りの一つで「平静の祈り」というのがあります。

この祈りは、僕にとってとても力強い祈りのように感じます。人生においては、辛いことや悲しいことはさけられません。しかし、神に嘆き救いを求めるのではなく、それを受け止める落ち着き、変えられるものを変える勇気、それを見分ける賢さを求めることをこの祈りでは教えてくれます。

神様、私にお与えください
自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを
変えられるものは変えていく勇気を
そしてふたつのものを見分ける賢さを

ジョブズは、避けがたい死という運命、自分の保つ限られた時間の認識、そして人間はいつか死ぬという現実を受容することで、人生で本当に大切なことに注意し、集中し続けることができると伝えています。

これは、何も偉大なことをしろと言っているのではない気がします。それを理解することで今を生き、時には人に優しく、今の自分の環境に感謝することができるのではないかと僕は思います。

長くなりましたが、最後に彼のスピーチの引用でこのブログを終えようと思います。

そして何よりも大事なことですが、自分自身の心や直感に従う勇気を持ってください。心や直感は、みなさんが本当は何になりたいのかをすでに知っています。他のことはすべて二の次なのです。(中略)

これはつまり、何かを信じなくてはならないということです。自分の本能、運命、カルマ、なんでも構いません。点がやがて繋がると信じるなら、たとえ周りの人々が通る道から外れてしまうことになっても自分の心に従う自身が生まれ、これが大きな違いをもたらしてくれるのです。
自分が愛するものを見つけなくてはなりません。これは皆さんの恋人についてと同じように仕事についてもいえるのです。皆さんも仕事が人生の大きな部分を占めるようになるでしょうが、真に満足するために必要なのはただ一つ、皆さんが素晴らしいと信じる仕事を行うことです。

そして素晴らしい仕事をするたった一つの方法は、自分のすることを愛することです。もしまだ見つけていないのであれば、探し続けてください。やめてはいけません。心についてはどんなことも同じです。見つけた時にはそれだとわかります。そして、誰かとの素晴らしい関係と同じように、年を経るごとに良くなっていきます。だから、探し続けて、諦めないでください。

この瞑想修行は、自分の人生について振り返り、これからの人生を考えるとても深い10日間でした。この10日間で人生が変わったとわけではありません。しかし、強い信念を持ち、これからの人生を歩むきっかけとなったのは確かです。そしてそれは、点が繋がると信じて歩み続ける必要があるとジョブズは言ってくれてる気がします。

参考文献


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