見えない力
連絡を絶って1ヶ月弱が経ち、そろそろ少しずつ前向きになっていたけれど、それでも毎日星占いを追いかけて、時々近所の神社に足を運んだりしては、希望がまだどこかにあることを期待していた。
それでも気持ちをしっかりと断ち切りたくて、彼にメンテナンスしてもらっていた髪を切るつもりで翌日に別の美容室を予約していたあの夜のこと。
「今日はお休みかな。でもお休みの日はあまり連絡来なかったからな…。明日髪どうしよう。勝手に切って、でももしまた会うことになったら彼になんて言おう、傷つけてしまったら?…」
そんなことを考えながらシャワーから上がって、期待していないフリをしながら何気なくiPhoneをチェックすると1件の通知が目に飛び込んできた。誰だろう、こんな時間に。捨てきれない期待を胸に抱いたままドキドキして開いた。例の彼からのメッセージだった。
なんでこのタイミングで連絡してくるの?ちょっと待って、明日髪を切るから。
そしたらあなたのこと忘れるから。
しばらく連絡をしていなかったことにはまったく触れられず、最後に会った時に話した映画がとても良かったっていう何気ないメッセージだった。
あの時は気づいていなかったけれど、今思えば大きなターニングポイントだったあの日のメッセージ。見えない力が働いていたことを強く実感したし、戸惑いながらも喜びを隠せなかった。
やっぱり私、まだ好きなんだって。
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