弁護士ドットコムで勉強会を開催_街で見かける超短いテキストは_UXライティングだった_

弁護士ドットコムで勉強会を開催、街で見かける超短いテキストは、UXライティングだった!

9月27日に、弁護士ドットコムのデザイン部が主催する「UXライティング」勉強会が開かれました。
講師にお招きしたのは、フリーランスのUXライターで、「Soup Stock Tokyo」などのコピーを担当されている永井一二三(ながい・かずふみ)さん(@nagaikazufumi)。

より使いやすいウェブサイトを提供していくためには、「言葉の表現」が鍵を握るのではないか——そんな思いを胸に、デザイナー、エンジニア、ディレクター、ライター、編集者などの多様な職種の社員が勉強会に集まりました。永井さんを囲んで、UXライティングのはじめ方のお話や、サービスの作り手として日々抱いている疑問について、意見を交換しました。

「UXライティングのはじめ方講座」の会場の様子

(「UXライティングのはじめ方講座」の会場の様子)

UXライティングは液晶内の超短いテキスト

そもそも「UXライティング」とは何を指すのでしょうか。永井さんによると、「ユーザーの行動をサポートする目的で、液晶のなかに記されている超短いテキストがUXライティングだ」と言います。ライティングやコピーライティングと比較をすると、以下のような違いがあるそうです。

ライティング:出版で活躍、テキスト長い、クリエイティブの目的はリード、コピーライティング:広告で活躍、テキスト短い、クリエイティブの目的はキャッチ、UXライティング:液晶で活躍、テキスト超短い、クリエイティブの目的はサポート。

(※「液晶」は厳密には「インターフェース」だと言えるとのことです)

「UXライターの仕事は、これまでコピーライターがやってきた領域だと思うが、どうしてUXの部分が切り出されたのか」とデザイナーが疑問を呈すると、永井さんは「コピーライティングは、広告をパッと見た相手の興味を惹きつけるもの。UXライティングは、商品を見ている相手に実際に手にとってもらうもの。ユーザーがコピーを目にする状況が異なれば、表現の仕方も変わる」と答えました。

別のデザイナーが「UXライティングは相手に気づかせないけれど、快適に使えるように計らうものかもしれない」と投げかけると、「その通りで、ユーザーに意識させないのが一番良い状態。初めて商品を使う相手を戸惑わせないようにするにはどうしたら良いか、いかにデザインに言葉を溶け込ませるかが大切」と同意しました。

自社商品の「らしさ」をトーンや人格で表す

「UXライティングをする時は、たとえば自社の商品がもつトーンや人格、世界観を表せているかどうかが大事になってくる」と永井さん。たとえば、「WIRED」では、「イベント」でなく「イヴェント」といった言い回しをしており、ユーザーが「らしさ」を瞬間的に感じる表現がされているそうです。

「UXライティングのはじめ方講座」グラレコ1枚目

(今回の勉強会を聞きながら、当社のデザイナーである財部さんがグラレコを描いてくれました)

「「らしさ」を伝えるブランディング目的と、コンバージョン目的のコミュニケーションは、重なり合うようで、異なる部分もあるのではないか」との感想に対して、永井さんは「ユニクロは、テレビCMでは高級感を訴求するブランディングを行っている。並行して、価格を訴求したチラシを配っている。このように、ブランドとしての人格を統一しながらも、PRと販売促進とで各々の目的に合わせて『伝え方』を変えている」と応じました。

ユーザーが誤った行動を起こさないように導く言葉選び

「煮詰まる」「役不足」のように、見る人によっては正反対の捉え方をされてしまう言葉がたくさんあります。「UXライターは、人によって色んな受け止め方がされる言葉を避け、ユーザーの行動を誤った方向に導かないような表現を知っている必要がある」と永井さんは断言しました。

サービスを使う想定ユーザーが読んだ時に、違和感を覚えない言葉を選ぶには、「NGパターン」を考えるのがコツ。ほかにも、固有名詞を間違えない、表記揺れは防ぐ、漢字とひらがなを書き分けるというようなポイントを、サービスのガイドラインに記載しているんだとか。こういった基準は、技術側ともコミュニケーションを重ねつつ、絞り込んでいるそうです。

「UXライティングのはじめ方講座」グラレコ2枚目

(永井さんからは、他にも東京五輪のボランティア応募フォームの例などをあげて、ご解説いただきました)

立場によって異なる「良いコピー」

サービスを作っている人と使っている人とでは、立場によって、用いる言葉に差が生じたり、「良いコピー」の基準が異なったりします。
永井さんにとっては、お金を稼げる・販促ができるのが良いコピーだそう。「作り手にとっては広告は作品かもしれないけれど、クライアントからすれば広告は完成してからが始まり。だからヒアリングを重ねて、クライアントにとっての「良いコピー」を探す作業に時間をかけている」と自身の価値観を語りました。

エンジニアが、立場による言葉の差を埋める方法を尋ねると、永井さんは「作っているものが好きであればあるほど、うまく捉えられないから、第三者が見た時にどう感じるかを意識している。たとえば、前提となる情報を知らない人が、コピーを見て悪い印象を持たないようにとか。ユーザーの状況はカスタムメイドできないので、「らしさ」の人格は固定したまま、言うか言わないかの言葉のチューニングをする」とし、時にはネガティブな情報を先に伝える覚悟を持つことも大事だと述べました。

また、「マイクロコピーに関する書籍を読んで、社内のマインドセットとして人格やトーンを共有すると良い」といったアドバイスもありました。

UXライターには神経質なタイプが向いている

近年、メルカリやサイバーエージェントなど、IT企業がコピーライターの募集をするケースが増えています。永井さんは「届けるユーザーの数が増えるにつれて、細々とした言葉遣いにもコストをかけ、特別なスキルを持った人材を雇わなければならないという意識が、企業側に芽生えてきたことの表れだ」とし、UXライターの活躍の場が増えていると強調しました。

会場のライターに「UXライターに必要なスキルやバックボーンはあるか」と問われると、「「神は細部に宿る」と言うが、UXライティングはまさに1、2文字違うだけで、コンバージョン率が変わる。そういう言葉に神経質な人のほうが向いていると思う」と答え、「過去にソーシャルメディアディレクターとして、バックボーンの異なるフォロワーとのやりとりを経験したことが役立っている」と述べました。

同じくライターからの「Webデザインに明るくなくても、UXライターになれるのか」との質問には、「デザインとエンジニアリングの知識を深めれば、クライアントへもっと多くの解決策が出せるのではないかという個人的な課題感がある。クライアントがフォーマットに落とし込んで提案してくる前に、相談に乗れたら」と、テキストと技術の両方の知識によってUXライティングが円滑に進むようになると話しました。

永井さんのUXライティング論に聞き入る、弁護士ドットコムのメンバーたち

(永井さんのUXライティング論に聞き入る、弁護士ドットコムのメンバーたち)

UXライティングの領域は拡大していく

UXライティングの最前線では、スマートスピーカーと人間が互いに話しかける間柄になる設計や、チャットボットによって商品を案内しユーザーが理解を深めていくコミュニケーション体験など、言葉そのもののやり取りにまで、その領域が拡大していく兆しが見え始めています。

まだまだ情報の少ないUXライティングを広めることで、さらに事例を集積していきたい」という永井さんの言葉で締めくくられた今回の勉強会。次は、社内だけでなくオープンな勉強会を開き、様々なUXライティングの取り組みを参加者の皆さまと共有できたらと考えています。

「UXライティングのはじめ方講座」グラレコ3枚目

(質疑応答では、永井さんから聞いたお話をフックに、さらに深掘りしたテーマについてお伺いし、活発な議論が交わされました…!)

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村上未萌

むらかみみも。1993年生まれ。専門系メディアで、編集・ライティングに携わっています。最近は開発にも関心があります。

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