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本の並べ方

結婚した時あまり持ってきた物はなくて、でも中学の頃から少ないお小遣いのほとんどを使ってこつこつ買い集めていた文庫本をみんな持ってきた。夫は自営の長男だったから住まいは仕事場の二階に作られた場所で、キッチンとトイレはあるけれどお風呂場は母屋までいかなくてはならず不便だった。今もその暮らしを続けている。何十年この暮らしをしていればいいのだろう。息子達はもう出て行った。部屋はいくつもあって納戸のような廊下のような奥まった場所にもう老眼で読めない文庫本がまだ置いてある。結婚生活の間に少しだけ増えた。結婚後すぐ、そこに本を並べて少し経った頃、夫が勝手に並べかえてしまった。私なりのジャンルごとのまとまりを、勝手に出版社別に並べ直してしまった。どうして…。元のように並べ直す気力のないまま三十年も文庫本は私の眼にはバラバラに並んでいる。もう全部捨ててしまおうか。そう思いながら時々眺めてはとても悲しくなる。

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