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警察官の仕事と子育て④育休中の苦労話

私は第一子を里帰りで出産しました。
実家は、当時の勤務地から車で1時間半ほどの距離にあり、産休に入った一週間後には既に帰省していました。
息子が2月に生まれ、3月には職場で異動が発表されたので、お世話になった方々に電話で挨拶をしました。
夫が同業者というわけでもないので、同じ課の一番近い期の先輩に、誰が異動になったのかを事前に聞き、忙しいだろう中で恐縮しながら電話をしたのをよく覚えています。

そして新体制が整ってきた頃の4月、職場から着信がありました。
まずは直属の上司や課長と挨拶を交わし、そこで言われたのが「面談に来てくれないか」とのこと。
正直、「は?!」と思いました。
まだ首が座っていない、授乳間隔もまばらな乳児が居て、どう3時間の往復時間を費やして来いと…?
だけど断るわけにもいかず、来月のGWが明けたら、と日にちを指定され、両親に相談しました。
「何のために行かなきゃいけないの?警察ってそういう組織なの?」と言われつつも、両親も仕事を休みにして付き添ってくれるとのこととなりました。


嫌だな嫌だなと思いながら過ごし、面談当日が来ました。
当日は、大柄な姉に借りた、久々のスーツで向かいました。
警察内部に入ることになるので、一般人の両親には駐車場で待機してもらうことにしてもらい、息子と共に自分の課へ。
(ここで子供を両親に預けるべきだという意見もあるとは思うのですが、初めてのことで向こう側の魂胆がわからず、もしかしたら息子の顔を見せる必要があるのかと思ったのです)
課長は、「大変な中来てくれてありがとう」と理解を示して下さり、すぐに「じゃあ副署長に顔を見せに行こうか」と言われ、息子はその間、同じ課の先輩ママさんが預かってくれることになりました。
(当時は生活安全課だったので、防犯や相談員さんが空気を読んで息子の面倒を見てくれました。これがとても助かりました)


副署長は既に待ち構えていて、一対一の面談が始まります。
この時どういった話をしたかは覚えていないくらい、大した話はなく、ただ顔を見たかっただけのような印象で終わりました。
正直、こんなことのために息子を泣かせながら行ったのか…とがっくり来ました。
そして次に署長に会いましたが、穏やかな感じで、特に待ち構えてはいなく、立ち話ですぐ終わりました。


これで、今回の首謀者は副署長だったのだな、と分かりました。
副署長は、
育休を取らせてもらっている身に甘んじるなよ、
警察官であることを忘れるな、
職場に迷惑かけながら子育てさせてもらってるんだぞ、
ということを伝えたかったのでしょう。
何せ、誠意を見せろと言わんばかりに、こちらの都合は全く考慮せずに呼び出してきたので…。


2:7:1の法則の記事でもお伝えした通り、育休をただ取っているというだけでよく思っていない人が居ます。


私の人となりなど何も知らず、疎まれていることがあるのだとここで知りました。
私の場合、当時はフルで育休取得予定にしていたので、席が1欠にならないように、課の勤務員はきちんと補充されていたのですが、そのような人にとっては、そういうことで解決されるような問題ではなかったようです。
この日はつまり、そんな副署長のご機嫌取りのためだけに召集されたのですね。

まぁ、課長は終始済まなそうにして副課長の顔色を窺っているようで、私は課長の顔を立てることにも役立てたかとは思います。
だけど、です。
そんな数分のために、息子は余計なストレスをかけさせられ、私は気力と体力を使い、両親は仕事を休み、時間も交通費もかかっていた状況。
このような、「それ必要ですか?」ということがこの組織では多々ありますが、それでも上がそう指示してきたら誠意を見せるためにやらなければいけないのです。
それは育休中でも構わずなところで、それを再確認したのが辛い出来事でした。

こちらが断れない指示を出し、自分の指導力がすごい!と思い込む上司は、警察官人生の中で必ず遭遇することでしょう。
だけど、こういった方はあくまで少数派なので、なんとか乗り切って、味方を増やす方向に力を注ぎましょうね。

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