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母の最後の言葉は「ゲンくん、帰りに美味しいジャーキー買ってくるからね。行ってきます」でした

2011年11月16日

朝晩は冬のよう、
昼は春のよう、

そんな日でした。

父の手には自転車を軽く拭き上げるタオルと
ブレーキにさす油

母が親戚の家まで
自転車で出かけるのを
準備して待っている父。

母が愛犬ゲンを抱えて
出てくると

父に渡して

古いながらも
ピカピカに光る自転車にまたがり

「ゲンくん、帰りに美味しいジャーキー買ってくるからね」

頭をなで

「行ってきます」と

父とゲンは
母の後ろ姿を見送りました。

その日の夜

黒塗りの大きな車で

亡き骸となり
帰宅した母72歳でした。

親戚の家の近くで
くも膜下出血で
道端にたおれ
通りがかりの方からの通報で
救急車で運ばれ
意識が戻ることなく
病院で息を引き取りました。

一晩、母の枕の横で
母の頬に体を寄せて
片時も離れなかったゲン。

5年前にしずかに眠りながら
母のもとへ旅立ちました。

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現在同居中の父はほとんどの時間を
ベッドの上で読書を楽しんでいます。

そんな父が大切にしているのは
かけることも、かかることも
ほとんど無い
携帯電話。

待ち受け画面では
今日も母が微笑んでいます。

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会いたい・・・

目を閉じて
耳をすませば

また会って
話せる
そんな気がして

父との時間を
大切にすることを
母にも誓います。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

あっと言う間の10年
やっとこのことを文字に残せて
進むことができます。

どうぞ、皆様も
大切な方との
会話と時間を
大事にお過ごしください。

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