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春の訪れを感じるお祭り ―インボルクとキャンドルマス―

2月に入りました。今日はケルトのお祭り、インボルク(イモルグ)の日です。ブリジット(ブリギッド)という女神のお祭りで、太陽が戻ってくる日でもあります。この時期、春咲きの球根が芽吹いて伸びていき、まだ気温は寒いながらも確かな春の兆しを教えてくれます。インボルクは春が来ることを祝うお祭りなのです。

私の身近なところでも、スイセンやムスカリが芽を出しています。チューリップはもう少し先でしょうかね。中でも私が1番好きなのはスノードロップ(待雪草)。1月下旬に芽が出ていることに気づいたのですが、1月末にさっそく花が咲きました。
このスノードロップは昨秋、球根を買ってきて植えたもの。以前育てていたものが数年前の夏の暑さにやられてしまって、今回が2度目のチャレンジです。東ヨーロッパ~西アジア原産のヒガンバナ科の植物で、雪の中でもいち早く可憐な白い花を咲かせます。


さて、インボルクのお祭りには暖炉の火と、パンや牛乳・バターなどのお供え物が欠かせません。若い女の子達が麦わらでブリジット人形を作って暖炉のそばに飾ります。アイルランドではブリジットの十字架と言って、イグサを手裏剣のような形に編んだものを作り、1年間お家に飾ったりもするそうです。日本ではあまり知られていないと思いますが、家族の平穏と幸せを願う、伝統的なお祭りです。

同じ頃のイベントとして、キリスト教のキャンドルマス(聖燭祭)があります。こちらはクリスマスから40日後の2月2日に行われる行事です。イエスがヨセフ・マリア夫妻に連れられて、生後40日目にエルサレムの神殿に儀式を受けに行った日を祝っています。ちなみに、上述のスノードロップは聖母マリアを象徴する花。キャンドルマスでは祭壇にスノードロップの花を撒きます。

また、フランスではキャンドルマスのことをシャンドルールと言い、クレープを焼いて食べる習慣があるとか。おなじみの生クリームや果物を挟んだものではなく、モチモチしたクレープ生地そのものを楽しむような食べ方をします。
砂糖とバターを乗せただけのクレープは生地の甘みが感じられて、見た目以上に素朴な感じがします。日本には白玉粉を水や牛乳で溶いてフライパンで作る焼き餅がありますが、シンプルさが意外と似ているんじゃないかなーと個人的には思います。

一説には、黄色くて丸いクレープが太陽をイメージしているらしいです。やはりこの頃に抱く「日が長くなってきたな」「早く春が来てほしいな」という思いは、文化や国が違っても共通しているものなのでしょう。
節分の恵方巻も良いですが、その前日にクレープを食べてみるのも素敵ではないでしょうか。近づく春の足音を感じて心が浮き立つ、そんな時期がやってきました。

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