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この1年間で、キャッシュレスはどこまで進んだのか(中編)

このnoteは、私たちLINE、特にLINE Fukuokaがどのように福岡市のキャッシュレス化を推進してきたかを振り返ることにより、たった1年間で起きた大きな変化の波を皆さんに感じていただきたい。そしてその波に乗ってみたい、と思っていただくことを目的に書いています。

前編(2018年5月~8月)を見逃した方はコチラ

福岡市との包括連携協定締結

もともとLINEと福岡市は2016年に「市民への情報発信」という分野で協定を結んでいたのですが、その後「AIによる行政サービスの効率化」など複数の分野での取り組みが遂行されており、それらをひとまとめにして包括連携協定というかたいにアップデートしたことになります。

包括連携協定では、以下の7項目を中心に、LINEのAIやFintechを用いた「未来志向の街づくり」のために協働していくことを約束しています。

・福岡市の情報発信の充実強化
・福岡市における行政サービスの効率化,充実強化及び課題解決
・福岡市内における消費購買活動の活性化
・福岡市内に事務所又は事業所を有する法人への活動支援及び高度技術人材育成
・福岡市における防災及び災害対策
・福岡市におけるICT分野の教育・啓発
・前各号に掲げるもののほか、福岡市の活性化及び市民サービスの向上

記者発表の際に、「AI×Fintechってこんなふう」というのをお伝えするために未来感ある屋台(その名もMirai屋台)を表現してみました。

観光客の方は「どの屋台に行けばいいのかわからない」と困りがちなので、Chatbotがレコメンドしてくれます。また、屋台を選択すると店員さんとつながり、席の予約などができたりします。AIによる翻訳、LINE Payによる決済などにも対応し、多くの観光客に屋台を楽しんでもらえるサービスです。
※あくまでも事例として発表しただけで、まだ実装には至っていません

こんなふうに、福岡ならではの課題を起点に、LINEの技術によって便利な体験をつくっていくことに注力し、その結果としてLINE Payの利用、つまりキャッシュレスがさらに進んでいくといいなと考えていました。

Smart City戦略室、発足

こうして私たちのチームは、①福岡市でLINE Payが使える場所や市民の利用を促進していくとともに、上記Mirai屋台のような②さらに便利な体験づくりにも着手。中途採用を加速させ、これらを推進していくための組織としてあるべき姿をデザインしていきました。

東京のLINE本体の経営ボード、自治体へのアプローチを担当する組織や開発組織のリーダーの方々などと意見交換を重ねていき、
ついに2018年12月、LINE Fukuoka株式会社内にSmart City戦略室という組織が発足したのです。

※Smart Cityというとても抽象的なテーマに対しどのように整理し推進しているかはコチラの記事をご参照ください

本題に戻ります。Smart City戦略室における「キャッシュレス」に関する取組みを、前述の

①福岡市でLINE Payが使える場所や市民の利用を促進
②さらに便利な体験づくり

という2つの視点で紹介します。

①福岡市でLINE Payが使える場所や市民の利用を促進

当たり前ですが、このビジネスを成功させるためには、加盟店とユーザー双方を拡大していき、決済サービス利用の頻度を高めていくことが必要です。
しかしこれはとても難しく、人的にも金銭的にもパワーがかかることなのです。
今でこそ浸透してきたクレジットカードも、加盟店・ユーザーを現在の水準まで拡大していくのに十年以上の時間がかかっています。

私たちも無限にパワーがあるわけではないので、少数精鋭で最大限の成果をあげることを重視し、例えば市民の日常生活で利用する場所、あるいは観光客が利用する場所など目的を絞りながら戦略を考えていきました。
それが表現されているのがコチラの記事です。

例えば日常生活でいうとコンビニやドラッグストアはもちろんのこと、鉄道や商店街、大学など。観光でいうと、福岡空港や福岡タワー、神社など。

※このような戦略は、実際に福岡で暮らし、地域のユーザーの行動やインサイトをよく理解している私たちだからこそ考えられたことだと思っています。

また、ユーザーへの啓蒙活動も積極的におこなっています。大学生やママ友のサークルなどにお邪魔し、LINE Payの使い方やお得情報をレクチャーします。
最近のことですが、最も象徴的なのは西南学院大学のベンチャーサークルの皆さん。100名近い学生が活動しており、集金もLINE Payを利用しているとのこと。大学生ならではの視点で「LINE Payを普及させるにはどうしたよいか」を真剣にディスカッションしてくれていたりします。

さらに嬉しいことに、このような取組みを功を奏し、昨年12月の日経BPの調査で「福岡で最も利用されているスマホ決済サービスがLINE Pay」であることがわかりました。
別のアンケート調査でもやはり福岡においては私たちがNo.1であることがデータとして出ており、嬉しい限りです。

②さらに便利な体験づくり

スマホ決済は面倒とか、使う意味がわからない。という声を時々聞きます。確かに現金の利用がとても便利な日本において、単に支払い手段を現金からスマホにかえるだけでは、それほど便利さは体験できないと思います。
もちろん還元率などスマホ決済のほうがお得さはありますが、習慣化した行動のスイッチングコストはとても高いので、皆さんそう簡単にはスマホ決済に移行してくれません。

ところが、「自分は現金派」とか言っている人もよくよく見ると、キャッシュレスな体験を日常的にしているのです。
それは、
・SUICAなどの交通系ICカード
・ETC
です。現金派なのになぜこれらは利用するのか?

その理由は、以下の2点だと考えています。
・「順番に待たなくて良い」といった目に見える圧倒的利便性を実感できるから
・さらに、その利用頻度が高いから

私たちは、このようなベネフィットを体感できる、スマホ(LINE)ならではのソリューションとして「フードコートを想定した、スマホで注文・決済システム」を企画しました。

LINEトークルーム上で、
・フードコート内の店舗を選ぶ
・写真付きメニューを見て料理を注文する
・トークルーム上でLINE Payで支払う
・料理がきたらLINEで通知がくる

これによって、休日のフードコートで行列に並ぶ必要なく、席に座ったり買い物をしながら注文をするなど、効率的に過ごすことができるようになります。特にお子様連れの方にとって便利なサービスになりそうです。

実際に、2019年1月に博多駅前のフードイベントでこのサービスの実証実験を行いました。
従来の現金利用のときと比べ、料理提供までのトータル時間が約半減になるという結果が出ています。

また、このサービスが好評だったことに加え、多くの方がLINE Payを利用してくださり、このイベントにおける局地的な結果として「53%の方がLINE Payを利用」という素晴らしいデータも出ています。

これは、経済産業省が掲げる「2025年までにキャッシュレス比率40%」という目標を達成している状態です。

私たちのキャッシュレスの取組みがはじまって、約8ヶ月。
福岡のキャッシュレスは、もうここまできています。

(後編に続く)

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