記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

彼女がその名を知らない鳥たち 曲がった恋の話

(ミステリー、ロマンス)
2017 沼田まほかる原作、 監督:白石和彌 脚本:浅野妙子、06.08.2020視聴

冒頭、十和子のやるせない堕落した生活と
相反する強い性欲のコントラストから始まる。

同居している夫陣治から日毎にもらう小遣いで日暮しする中、
購入した時計に対するクレームをきっかけに
十和子は百貨店の外商担当水島との情事に目覚める。

陣治に尾行され、バレていると分かったあともなお、
取り憑かれたように浮気を繰り返す十和子。

その過去には黒崎という元彼との思い出が黒い影を落としていたのであった。

実業家の黒崎に首ったけになる程甘やかされ、
恋人期間を過ごしていた十和子であったが、
ある日取引先からの融資と引き換えに別の男性と性関係を結ぶよう依頼される。

一回きりだとして応じたものの、
後日黒崎からその男性の姪である女性と結婚するために別れを強要される。

その時の暴行は並大抵ではなく、顔を含め骨折、傷が残る程であった。

一方、陣治は出会った頃から十和子しか眼中になく、
何をかけてでも一生を十和子に捧げる思いをもつ男であった。

頭もよくなく不器用で不潔気味であるために
十和子からぞんざいに扱われる毎日でも、ひたすらに片思いを続けるのである。

ある日、十和子は黒崎が5年前から失踪していると刑事から知らされ、
心にぽっかりと穴が空く。

空いた穴を埋めるため最後にどうしても会いたいとして水島を呼び出すと、
フルーツ包丁で滅多刺しにしてしまう。

そこに尾行していた陣治が飛び出し、自分の犯行にするよう十和子に怒鳴ることで、
十和子は黒崎に対する過去の自分の行動を思い出す。

最後は陣治が十和子を庇い、すべてを自分が背負うとして飛び降りていく。

十和子にしても、陣治にしてもどの登場人物からも温かい安心感のある愛はなかった。

愛した人にどう愛を表現するか、いろんな形があるのだとしても全く共感できない。

こんな愛には死んでも巡り会いたくない、と考えさせられる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?