お向かいの新築と現代の寓話
注:私も夫も多少古い価値観で会話しているのでご了承ください。
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私達が住むアパートの向かいには、新築一戸建てが2軒ある。
どちらもほぼ同時期に着工し、ほぼ同時期に竣工した。左のお宅をA宅、右のお宅をB宅と呼ぶことにしよう。
2018年秋
我が家の郵便受けにあるものが入っていた。プラ包装されたタオルである。何だろうと思ってひっくり返すと、1枚の紙に、メッセージが。
「ご迷惑をおかけいたします。セ○スイハイム」
どうも目の前の空き地(左)に家が建つらしい。そのことを夫に告げると「へー」と適当な答えが返ってきた。私達はまだ気づいていなかったが、これがA宅とのファーストコンタクトだった。
その後、一ヶ月もしないうちに、空き地(右)にも工事車両が出入りするようになった。
2018年冬
目の前の空き地に、2軒の家が完成しつつあった。この時点で、B宅とは何の接触もない。
ある夜のこと。19時過ぎ頃だったろうか。A宅の工事の灯りが煌々と光っていた。冬の19時というと、結構遅い時間である。いつもはそんなことなかったのに珍しかった。納期の都合だったのかもしれない。その日、我が家では…
夫「なんだあれ、眩しいんだけど」
私「まあ、タオルもらったからねぇ、これくらいいいんじゃない?」
夫「それとこれとは別!」
などと文句を言っていたが、これはまだ序章に過ぎなかった…
2019年1月
これは私の帰省中の話なので、夫から聞いた話である。
なんでも、B宅で施工業者と依頼主が立ち話をしていたのだそうだ。夜遅くまで。夫曰く、何か揉めてる感じだったらしい。
2019年4月
里帰り出産から帰宅すると、まあ、なんということでしょう!お向かいに新築が2軒も建っているではありませんか!
私「新築一戸建ていいなぁ」
夫(無視)
我が家の不和はさておき、娘の世話に忙しいこともあり、お向かいへの関心はさほど高くありませんでした。あの時までは。
2019年5月〜6月
生後2ヶ月経ち、娘のお散歩も回を重ねてきた頃、公園に行こうと思っていた私は、ある音を耳にした。
コンクリートを流し込むゴォォォという音だった。
眠り続ける娘に感心しながら窓を閉めて外を覗くと、ローリー車がB宅の駐車場にコンクリを流し込んでいた。
私(まだ終わってなかったんかい⁉)
しゃあないなぁと思いつつ、お散歩はお休み。
そんなことが3回ほどあった。
この頃から夫は「最初の挨拶って大事だよな」とA宅の方を持つように。年末に文句言ってたこと覚えてる?まあいいけど。
2019年7月
朝のお散歩(6時台)に行ったら、A宅のお父さんが駅へ歩いていく途中だった。すれ違うときに挨拶した程度だけど、普通の人だった。
B宅では駐車場の工事は終わったようだった。停まっている2台の内、1台は外国車だった。カッコイイなとは思った。土日になると、ご夫婦で花壇を作っているようだった。素敵だなとは思った。
2019年8月(先週)
今日は家族3人でアカチャンホンポにお買い物、ルンルン♪オムツも箱買いしたし、おやつにドーナツも食べたし、まだ昼前だし、まだまだ休日満喫するぞ〜…
夫「なんだあれ!」
目線の先には、路上駐車中の白い軽トラックと作業中のおじさん3人。
B宅である。
私(まだ終わってなかったんかい⁉)
なんの作業かはわからなかったけれど、夫が受けた印象はもう最悪だった。
夫「路駐されると迷惑なんだよ…まったく、家建てるならA宅の人みたいになりたいな」
彼は本当に運転しながらこう言った。
私(家建てる気はあるんだ!!)
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家を建てるときにご近所に挨拶するのが、現代において一般的なのかどうか私にはわからない。まして我が家はアパートだし、人間関係も希薄な方だ。(挨拶くらいはする)
でも、たかがタオル1枚で、2軒の印象が大きく違ったのは事実である。もちろん、その後の工程のほうが大きな要因だけれど、仮にB宅が手紙の1枚でも入れていたら、状況は違ったかもしれない。
田舎育ちの私は戸建てに住みたいと思っているが、もしその時は、ご近所へ配慮を大切にしようと思う。
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オマケ
ちなみに私の地元はど田舎だから、近所付き合いは当たり前だったし、上棟式でも餅とか硬貨をまく文化があった。仮に挨拶しなかったら村八分である。上棟式で投げられる餅、また取りに行きたいなぁ……
応援してくださるそのお気持ちだけで、十分ありがたいのです^_^