UVレジンを扱う際の気泡対策

さて、またしても武装神姫に関わる記事というよりも、模型技法についての記事です。
個人的には「模型の技法は武装神姫の応用するために学んだ」という身なので、技法だけを取り出して記事にするのはなんだか気恥ずかしい気もします。
が、ここで公開する技法(と言えるほど大層なものかは置いておいて)が、どこか別の場所で花開くならばそれはそれでよいことだと思いますし、ぼく自身が習い覚えた技に関しては秘伝はないと思っているので。
まぁ、何かの足しとして使って頂ければ。

さてさて、100均でもUVレジンやUVランプを扱うようになり、マテリアルとして模型に組み込みやすいものになりつつある一方で、扱いが良く分からない、というお話も散見されるようになってきました。
特に今回は、レジンへの気泡混入を避ける予防法や、混入してしまった場合の対処をまとめたいと思います。
ご興味おありの方はお付き合いください。

ちなみに今回の記事も、基本的には初心者の方に向けたものになります。
具体的には、ちょっとパーツや作品を作るのに適した少量を作るのに適した方法を扱います。
製品やパーツの大量生産とか、大きなパーツを作ったりする場合にはもっと最適な方法があると思いますので、それらについては別の詳しい記事をお探しください。

気泡混入の要因
まず、なぜ気泡が混入してしまうのか、その原因を考えてみましょう。
個人的には、以下のパターンが多いように思います。

1.容器からレジンを出す際に既に混入しているパターン。
2.UVレジンを混色したり、パウダーやラメなどを混ぜたりする際に混入するパターン。

他にも細かくは原因があるとは思いますが、多くはこのふたつではないかな、と思います。
順に詳しく見ていきましょう。

まず、100均のレジンは容量が4~5g程度しかないので、容量はごくわずかです。
そのため、少し使うとすぐに容器内の空気の量が増え、レジンを取り出す際に、既に気泡が入ってしまっている、というケースが多いように感じます。
ちゃんとしたレジンの場合は容量が50~100g程度あるので、気泡が含まれるのは使い終わりのごくわずかの間ですから、それと比べると気泡が混じる機会が格段に多いのですね。

次に、レジン同士を混ぜたり、レジンに何かを混ぜたりする場合ですね。
特にパウダーなどは空気を含んでいることが多いですし、シェルフレークのような細かい破片なども破片同士の間に空気があります。
UVレジンは粘度があるので、スムーズに隙間に流れ込みにくい=気泡を取り込んでしまう、というパターンです。
また、混色などのレジン同士を混ぜる場合にもコツというか、個人的に気をつけていることはありますので、後述します。

気泡混入の予防策
さて、まずはそもそも気泡が混入しないように予防する方法から見てみましょう。
そのために、ぼくの作業用具を挙げてみます(ちなみに、今回の作業例はコーヒーを淹れます)。

奥にあるのは100均で扱っているマニキュアスタンドです。
ぼくはレジン作業をするときは、これにレジンのボトルを立てて置いてあります。

まずレジンの性質として、レジンは当然空気より重いので、重力に任せるとレジンは下、空気は上に溜まります。
つまり、逆さに置いておけばレジンボトルから取り出す際の気泡混入率は下がります。
しかし、100均のボトルは逆さに置くのに適していません(蓋の天面にカーブがあるため)ので、こうした工夫で逆さに置いておこう、ということです。
ぼくはこの状態でも大きな気泡が出てくるようになったら廃棄して交換、という感じで作業しています。
また、このマニキュアスタンドなら、ボトルタイプもチューブタイプも一律に置いておくことが出来るので、非常に便利です。
何ならレジン染料も一緒に立てておけますしね。

もうひとつの方法は、レジンを温めてあげることです。

これもレジンの性質ですが、レジンは温度が上がると流動性が上がります。
つまり、水のようにサラサラと流れやすくなるのです。
これはレジンにパウダーやフレークのような混ぜ物をする場合に有効です。
粘度があると、フレークなどの隙間に流れ込みにくく、そこで気泡を取り込んでしまいますので。
今回は使っていませんが、ぼくは同じく100均で扱っているマグカップウォーマーを用意しています。
この上に適当な容器(熱に強いものが望ましいので、ぼくは100均の適当なディップ皿を使います)を乗せて50℃程度のお湯を張り、そこにレジンボトルを入れておきます。
その際、レジンと水が混じらないようにキャップが締まっているか、チューブに破損はないか等はよく確認し、レジンを出す前に容器の水気は毎回丁寧に拭き取りましょう。
水が混じると、硬化の際の発熱反応で水が気化し、気泡になる場合があります。

まぁ、余程でなければ、レジンボトルをさかさまに置いておくだけでも大分気泡混入は避けられると思います。
後はボトルに残っているレジンの量が少なくなればなるほど気泡混入率は上がりますので、残量が少なくなってきたらどんどん使い捨てた方がストレスは少ないと思います。
個人的には作業前に予備のボトルも大体買いますし、気泡を除去する30分を100円で買ったと思っています。

最後はレジンの混ぜ方ですね。
個人的には気泡を混ぜたくない時には、「ゆっくり、混ぜ棒を底面に接して持ち上げないように左右方向に動かして」混ぜています。

混ぜ棒を素早く動かすと、レジンも素早く攪拌されます。
レジンは粘度があるので、この時にできた空間はなかなか閉じません。
それが繰り返させると、気泡として取り込んでしまうのですね。
混ぜ棒を底面につける、というのも同じような理屈で、上下方向に混ぜると気泡を取り込みやすいためです。

逆に、気泡をたくさん取り込みたいとき(炭酸飲料をイメージしたフェイクドリンクを作るときなど)は「素早く、上下方法に」混ぜるようにしています。

あとは混ぜ棒の材質です。
爪楊枝や竹串などの木製品は、内部に空気を持っているのでレジンに浸した際に気泡を出してしまうことがあります。
気泡を避けたいときは、木製品は使わないようにしましょう。
ぼくはレジン攪拌にはポリプロピレンの平スティック(セリアの瞬着スティック)を使っています。

あとは攪拌に使う混ぜ棒と、作業に使うレジンを取るものを別にする、とかでしょうか。
攪拌作業はどうしても気泡が出やすいので、攪拌後には気泡がつきやすいですから。
ぼくはレジンを取る用にはかぎ針を使いますが、使い分けるほどではないならば、攪拌作業のあとに一回きれいに拭ってやる、くらいでもいいと思います。

気泡混入後の対処
次に、気泡が入ってしまったらどうするか、という対処法についてです。

と言っても、気泡が混ざってしまったら、潰すか、除けるか、くらいです。
これについては本当に慣れというか、知ってるかどうかだと思いますので、大層な方法ではありませんが、ご紹介します。

少量だけ使う場合は特にそうなのですが、基本的にはレジンに気泡が混入していない部分を使いましょう、というお話です。

青く印をつけた部分は気泡が混じっていないので、この辺から使っていけば気泡を潰したり除いたりする必要もないです。新しくレジンを出してやってもいいですし、攪拌用の平棒で気泡の部分だけ取り除いてやってもいいです。
メインで作業する部分と別の個所に除けてやりましょう。
また、大きな気泡ならば5分程度放っておくと勝手に消えていることもあります。
気泡がなくなっていたらまた使えます。

また、混色の際に気泡が混じってしまった場合、細かな気泡が全体的に入ってしまうこともあります。

今回はわざと気泡が派手に入るように混ぜましたが、大きな気泡はレジン溜まりの上の方に集まります。
なので、周辺部分から使ったり、上の方だけ取り除くだけでも、大分気泡を除けることは出来ます。

また、気泡は薄く伸しておいた方が気泡が消えやすいです。
基本的に、気泡の上にあるレジン層がなくなれば気泡は消えます。
なので、平棒などでレジン層を薄くして置いておけば気泡が動きやすくなり、気泡がレジンを押しのけて勝手に消えてくれるのですね。

同じように、作業中に気泡が入ってしまったときなどは、底に置いておくとレジン層に阻まれて気泡は消えにくいです。
しかし、壁面に追いやってあげると、レジン層が薄くなって消えやすくなります。

これは、尖ったものでつついて潰すときも同じです。
レジン層が薄い方が気泡は消しやすいので、レジン溜まりの中で作業するより、他所に移して層を薄くしてからつつく方が楽に作業できます。

いかがでしたでしょうか。
気泡は大きな物ならともかく、細かな気泡まで完全に取り除くのは非常に困難です。
大量にレジンを扱う場合なら、コーヒーフィルターでろ過するなどの方法もご提案できなくはないですが、UVレジンを数g程度扱うだけなら、明らかに作業コストが重くなりますので、まずは気泡が入らないような扱いを覚えた方が楽だと思います。

UVレジンは非常に面白いマテリアルですので、ご興味ありましたら是非扱ってみてください。
その際はマスクや手袋の着用、レジンは塗装を侵す、などの注意にも気を付けてあげると、楽しく作業が出来ると思います。

今回もお付き合いくださり、ありがとうございました。
皆様が、楽しい模型ライフを送られますように。

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