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表情マニアについて

2023年10月7日にオペラコンサートに出演した。

出演といってももちろん主役ではなく、合唱団の一員としてプロのソリスト(オペラ歌手)とステージに上がった。

4月からお稽古をはじめ、本番まで半年。

演目はオペラの花形であるカルメン。

フランス語はまるでドラゴンクエストの「ふっかつのじゅもん」のようで、意味はまったくわからない状態で、すべて音で記憶し発していた。

おもしろいもので公演から2ヶ月以上経つが、いまでも諳んじていて歌えるからおもしろいものだ。

ここからが本題。

本番前日、ソリストのみなさんとはじめて合わせて稽古をした。

専門用語でゲネプロというらしい。

半年前までオペラを見たことも歌ったこともない40代男性がプロと一緒にステージに上がっている奇跡!

いざゲネプロがはじまって一番驚いたのは、ソリストの声量でもなく演技でもなく、その表情。

そのときの感情や状況に合わせて変幻自在に変わる豊かな表情に目を奪われた。

そのときはそんなことを考えもしなかったのだが、なぜソリストの表情に一番心を惹かれたのかを考えてみた。

ソリストといえばなんといってもその声量や歌唱力に心を惹きつけられることが多いと思う。

実際もちろん、その声量や歌唱力に圧倒されたことは確か。

また指の先まで計算されつくされた演技力に目を奪われてもよかったはず……。

しかし、私が心を奪われたのは表情だった。


私はむかしから人の表情を観察するのが好きだった。

この人いま嬉しいんだろうな
この人、いまめちゃくちゃ怒ってるんだろうな
この人、話を聞いてるような顔してるけど全然聞いてなさそう

表情から感情を読み取るのが得意? だとも思う。

ふと考えると、だから写真の仕事をしているのかも……とも。

レイコンマ1秒で変わっていく表情をつぶさに観察し、その感情を読み取り、ここぞというタイミングでシャッターを押す。

表情に一番目がいくように画角を調整し、色味そのほかを編集し仕上げる。

クライアントに出来上がった写真を直接渡すときにも表情が見れるので、二度おいしいともいえる。

カメラマンとはそんな「表情マニア」にとっては天職のような仕事なのかもしれない。



新潟県でカメラマンとして活動しています。特に飲食店などのメニュー撮影、ブツ撮りに定評あり。ポートフォリオ→https://jinbo-lab.jp/。一般社団法人 愛南魚沼みらい塾理事。1980年生まれ。