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奇妙かつ韓国人の郷愁を刺激する『イカゲーム』の舞台美術

 안녕하세요(アンニョンハセヨ)南うさぎです。

 韓国ドラマ『イカゲーム』は舞台デザインも好評で話題になっています。舞台デザインを担当したチェ・ギョンソン美術監督は、残酷な状況の中で子どもの頃のゲームをする設定なので、郷愁を刺激する韓国的なファンタジーをコンセプトとして手がけました。

チェ・ギョンソン美術監督

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写真はすべてnaver(https://m.tv.naver.com/netflixkr)より。

 また、空間と人物を表現する際にはカラーリングを積極的に活用しています。わかりやすいピンク色は監視者のユニホームに、実際に70、80年代の運動会で着られたような緑色のジャージはゲームの参加者に。人物の色が決まると空間や美術的のミザンセーヌ(演出)のための色の選択も楽になったそうです。

 参加者のベッドは上に向かって行こうとする現代の競争社会をあらわし、物流倉庫の形をコンセプトに作られています。

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 人間として接するのではなく、物流倉庫に整理されている商品のような感じがよく表現されています。また、一目で監視しやすいようにコロシアムや体育館の観覧席を参考にしています。最初はベッドに隠れて見えない壁に描かれている隠れた絵にも美術監督の意図と繊細さが感じられます。

 迷路の階段は超現実主義の版画家エッシャーの作品のオマージュです。最初は多かった参加者が、ゲームの進行によってだんだん減っていく変化を注目して見ると面白いです。

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 待機の空間は、次のゲームである未知の世界に向かって行く恐怖感を表現するため、白で夢幻的な演出に。

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 韓国版のだるまさんがころんだ(韓国語では「ムクゲの花が咲きました」)のロボットは韓国の小学校の教科書に載っているイラストをモチーフに作られています。ゲームの始まりを知らせる空間に「偽物」と「本物」の混乱を滲ませています。

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 最も力を入れて演出をしたのはビー玉遊びの舞台です。ドアのサビや屋上のコケ、家の門の表札まで繊細にリアルに表現しています。

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 火葬をする空間はアウシュヴィッツ収容所の焼却場を参考にしたとか。ゲームを作った人たちがどういうものなのかにフォーカスを当てて、神の視点から参加者にゲームのチャンスをプレゼントしたということで、ピンクリボンの棺にしたようです。

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 456億ウォンを入れる器は韓国の定番の豚の貯金箱です。子どもの頃、豚の貯金箱に小銭を貯金したことがない人はいないほど、韓国では懐かしい貯金箱です。その懐かしい貯金箱が巨大なスケルトンの貯金箱になり、ゲームの進行とともにお金で埋まっていく演出は面白いと思います。また、韓国で豚は縁起のいいもので、お金やお金持ちの意味があります。

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 チェ・ギョンソン美術監督はファン・ドンヒョク監督と映画『トガニ 幼き瞳の告発』『怪しい彼女』『南漢山城』でも一緒に作業をしています。また、舞台の美術とともに、明るくて奇怪な感じのリコーダー演奏はドラマの雰囲気とよく似合うとして、OST(オリジナルサウンドトラック)も好評です。音楽監督はポン・ジュノ監督の映画『オクジャ』『パラサイト~半地下の家族』を担当した、天才音楽家で知られているジョン・ジェイルです。

 안녕!

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