格闘技に興味なかった人が「有田と週刊プロレスと」を徹夜で観てしまう

「ドキュメンタル」のザコシがすごいらしい、他にも特典あるらしい、ということで入会したAmazonプライムで、流れでなんとなく見た「有田と週刊プロレスと」にやられてしまった。

有田哲平という、わざと凄さを見せないようにしてきた人の実力を思い知らされたというか。

一冊の「週刊プロレス」を渡され、その場で格闘技に無知なゲストに、
「この表紙に映っていることは、こういうことなんです」
と、記憶と黒板だけで語る。

野球とプロレスの話って、興味ない人にはつまらないじゃないですか。「プロレスラー」個人が、怖いけどこんなギャップがあるんですよ、カツゼツ悪くて面白いおじさんでしょ、とバラエティで使われることはあっても、それ以上は求められない。

なのに、トークだけで、どこまで興味ない人を巻きこめるか。何十年ものプロレス愛と芸人界で鍛えられた話術が試される真剣勝負を毎回見ることになる。

格闘技無知なゲストは、視聴者が自分を重ねられる存在。プロレスとK-1の違いもわからない、他のサービスがあるからAmazonプライムに登録して何となく通りかかった人。

その「世間」を相手に、最初はバラエティにも出てる、アントニオ猪木と長州力の名前を起点にして、モノマネも入れながら、九州でテレビ放送も少なかったころの思い出もまじえながら、
今ではカツゼツの悪さでいじられて、若い女に「長州小力の元ネタ」みたいに思われてる人が、どれだけ怖かったか。かっこ良かったか。
当時は年功序列。実力主義じゃない会社員的な空気があるのに、
「俺はお前のかませ犬じゃない」
お前より強いのに、なんで下っ端のままなんだ!胸の中にあった思いを先輩レスラーにぶちまけた。そこから試合になって、盛り上げて、上り詰めていく。

「かませ犬」発言はのちに雑誌が作った説もある。
現実に言ってないかもしれない発言をモノマネしてたの!?
「本能寺で最後に信長が舞ったときのモノマネ」みたいで不思議。しかもそれを実際に見てきたかのように語る。

(実際は、闘犬用語で一般人が知らない「かませ犬」というフレーズを、長州さんの地元では使っていたし、有田も本人に確認して裏付けはとったそうです。)

また、プロレスの話を一気に語るのに、人間関係や発言でレスラーの魅力を紹介している。
技の名前とか、口に出すだけでわからない人が引いちゃう言葉は避ける

言葉中心で、動画はネット社会だしどっかで探して見たら?ってスタンス。

相当かっこいいことをやりながら、有田哲平というひとの、なんかうさん臭い、年下に馬鹿にされても怒らなそうなヘンな魅力は保ってる。
経歴をあらためて調べたら相当な苦労人ぽいのになあ。

「ゲームセンターCX」を初めて見たときを思い出す。そこまで人気芸人って感じじゃなかった有野課長が「ゲームセンターCX」で、子供たちにゲーム文化を広めて、日本のゲーム配信の基礎になったのにも似ている。才能・文化がガッチリ合って、後世に魅力を伝える。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。