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ゴキブリでありながら日本を代表する作家である先生が町田康だった

今年の梅雨は「日本を代表する作家でありゴキブリである先生」がインタビューに答えている。
ラジオCMのはなしだ。リンク先にも絵は無い。(苦手な人にも気を使ってるなあ)

昼間のラジオCMには、過払い金が思ったより戻ってきたので喜んでいる人と、日本を代表する作家であるゴキブリ先生が交互に出てくるような印象だ。それくらい耳に残る。過払いゴキ、過払いゴキ。

デビュー作の「夜中、箸をなめる私」について聞かれた先生は、

われわれは昔から台所にいたのに、近年になってそのことを非難されるようになった。
昔は、人間が夜は寝ていたからである。
これは我々の邪悪さではなく、スマホなどに夢中になって夜更かししている人間のライフスタイルの変化を描いたものである・・・

と、なんだか偉そうなことを、少し古めの、権威ある作家先生のインタビューふうに答えて、
最後に「できれば顔も見たくないゴキブリに」と、商品名が流れる。


たしかに愉快な内容ではないけど、この手のCMでどこまで「不快感を残さず、印象には残す」バランスにできるかを、制作陣は虫の出ない冬のあいだ、ずっと考えていたはず。
声はあえて可愛くするのか、ぼそぼそ喋るか。作品のタイトルはどうするのか。何度も撮り直していたに違いない。

これはテレビならもっと話題になっていたはず、いいCMだと思っていたら、ツイッターに
「あのCM、超不快だからやめてくれ」と書いてる人がいた。

あッ、と気づいた。
僕の中の「先生」は、虫の着ぐるみをかぶった温水洋一みたいな、かわいげのある人だったのだ。
ラジオなので、想像によって「先生」の姿は違う。

わざわざ不快だと書いた人の中では、テラフォーマーズの敵みたいなえげつない先生が、机に足をのっけて、めんどくさそうにインタビューを受けていたのかもしれない。

・・・
えー、先ほどキンチョーのホームページを見ました。やっぱり絵はなかった。虫が苦手な人でも見れるように気を使ってあった。
ラジオCMの先生の声は、町田康。芥川賞作家。
すげえ!本当に日本を代表する異端の作家じゃねえか!何人が気付くんだよ!


読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。