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禅をテーマに生まれ変わった「テトリスエフェクト」レビュー

キーワードは禅。
PSVRで再生した「テトリスエフェクト」
プレイヤーは日本庭園、砂漠、南国、水中と漂い、テトリミノ(ブロック)を動かすたびに風、鳥、機械が同調する。余計なことを考えずにぐっと集中してミノを消したのに合わせてイルカが祝福し、山頂に光がさす。

ゲームの世界に入った僕のすがたは、筋トレ再開中なのでゴーグルを装着しつつ足は筋トレ用バンドで拘束されており、サイボーグ戦士量産工場といっても過言ではない!

オードリーや伊集院光のラジオでも話題になったゲームで、凄さを熱弁するオードリー若林と対照的に、未プレイの春日が「今さら・・・?」って感じだったのが象徴的でテトリスはそこまで面白いものと思われていない。
なのに前後の「ぷよぷよテトリス」「テトリス99」3作連続でアプローチを変えて、どれも「こう来たか!」って驚かせてくれる。

ひさしぶりのプレイで衝撃だったのは、
「重要なのが縦の長い棒ではなくなっている」こと。(eスポーツとして追いかけている人からすれば10年遅い話をします)

テトリスはミノをスキマなく積んで、縦に4つ連なったやつがなかなか来ない・・・からの、一気に消す!のが最高に気持ちいい瞬間。やってない人にはそういうイメージで止まってるでしょう。ぼくもそうだった。
今は、一番重要なのがT字のやつらしく、ジャケットでも堂々とセンターにいて光っている。

高得点になるのはT-spinというテク。
あらかじめT字のくぼみがある積み方にセッティングして、普通に落下させたら入らないT字のブロックを、回転させ、はめ込む。

上級者のプレイ動画を見たらすごかったね。一見ぼろぼろの、白アリに喰われた柱みたいに積まれたその透き間に、ゲームの法則を熟知したプレイヤーがくるくるT字を回しながら詰め込んでいく。

作者がルールを変えるんじゃなくて、やりこんだ人が「こんなこともできるぞ」って極めて、「それで高得点が出るようにしよう」と、応えた感じの進化。

もちろん高等テクを目指さなくても自由にアプローチできる。
テトリスエフェクトは、前後の「ぷよテト」「99」が対戦メインになっているのにくらべて、ひとりで遊ぶ用になっていて、世界のプレイヤーがどんなモードで遊んでいるかは、背景にある地球儀の光でなんとなく知ることができる。
和を感じるステージだと、書道みたいだ。
音楽は「無音」か「アンビエント」にして、NEXTエリアから刷り上がった墨をすくって、正面のフィールドに垂らしていく。
そのときそのときで違うアプローチで、違う絵が出来上がり、とぎすまされて無の境地に近づいていく。

プロデューサーの水口さんの手掛けたゲームは「REZ」「スペースチャンネル5」とか、相手をやっつけて気持ちよくなるんじゃなくて、操作感と音楽をシンクロさせて脳をハイにすることが目的。
ハデだけど、ひとりで向き合うもの。要は積んで消す。ストイックなものを投げかけられて、こちらが試されているような気になる。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。