破綻するオーケストラ業界と報われない音楽家たち 「オーケストラ業界の現状編」

突然ですが、クラシックの音楽家の年収っていくらくらいだと思いますか?

テレビやコンサートホール、様々なイベントに登場する彼ら彼女らは、スーツや燕尾服などの正装を着て、買ったばかりのような綺麗な楽器をもっています。それを見れば、煌びやかでとても多く稼いでいるのだろう…と思うかもしれません。

でも実際は、平均にして年収231万。ステージの上で演奏している人たちは、あなたが大学生の時にアルバイトしていたときよりも、収入が低いかもしれません。(※都内近郊12のオーケストラプレイヤーからヒアリングした月収の金額と歩合の金額を平均化した金額。)

なぜ、そんな事態が発生しているのか。その原因はあまりにも多岐にわたるのですが、今回はそのなかでも音楽大学生の就職先に大きな割合を占めると考えられる「オーケストラ」の悲惨な現状についてお話してみたいと思います。


そもそも、オーケストラとは

オーケストラとはクラシック音楽において大迫力!大音量!大編成!が売りの演奏形態です。ヴァイオリンやフルート、トランペットやトロンボーンなど弦楽器と金管楽器と木管楽器が一堂に会した博物館のようです。

定期公演を行ったり、子供のための演奏会や地方公演など1か月の多くをリハーサルか本番の毎日を過ごしています。まさに音楽をするための仕事場です。

そのため音楽家を目指す音楽大学生はオーケストラに就職することを夢見て日夜練習するのです。

オーケストラのひどすぎる収益構造

言葉を選ばなければオーケストラとは、コンサートを企画して演奏家たちを養う組織です。しかし、日本のオーケストラには稼ぐ力がありません。

現在日本には、34のオーケストラが存在します。それらが様々なコンサートを開いて、年間の合計で130億円程度の演奏収入を得ています。

ここから人件費以外の各種運営資金を引くと、マイナス9億円。オーケストラに所属する音楽家と事務局の人件費が入り、マイナス120億まで赤字になりました。こんな大赤字でやっていけるのでしょうか。

その秘密が支援金です。民間支援、文化庁、地方自治体、...etcから、凄まじい金額が注入されています。

日本オーケストラ連盟
(http://www.orchestra.or.jp)
オーケストラ実績2015年から引用

支援金が入り収入が激増し、演奏収入と合わせて253憶円になりました。

しかし、演奏者への対価は増えません。オーケストラでの平均年収はプロフェッショナルな技術の対価として支払われるべき相応の額ではありません。こうした歪な状態が、もう20年近くも続いています。

サービスデザイナーとして、この数字を知った時にとても衝撃を受けました。ぼんやりと収入が低いのは肌感覚でありましたが、まさかここまで低いとは思っていませんでした。なぜ、オーケストラという組織は存在しているのでしょうか。

オーケストラの運営はサービスの対価と同等の収入を支援金によって得ながら、それにあぐらをかいて稼ぐ力をつけないままでいます。とても残念なことに多くのオーケストラ運営が、こうした状態なのです。

それがまわりまわって、小さいころから色々なことを我慢したり、犠牲にしながら専門技術を磨いてきた音楽家たちの収入に結び付き、低すぎる年収になってしまう大きな理由の一因なのです。

次回は、なぜオーケストラに稼ぐ力がないのか。そのビジネスモデルの破綻具合をお話したいと思います。

東郷源 サービスデザイナー/ キャリアアドバイザー 
洗足学園音楽大学、桐朋学園大学を卒業後、音楽家として活動。その後、IT営業と人材紹介業を経て2017年から現職。新規事業開発支援、組織デザイン、製品・サービスデザイン、 アーティストキャリアデザイン、 営業コンサル、 IT事業支援を行う。


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東郷源

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