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[Film Score]The Fugitive / James Newton Howard(邦題:逃亡者 )

海外の映画音楽スコア販売サイト、Omni Music Publishing に6月にプレオーダーしていた「James Newton Howard's "The Fugitive" Full Orchestral Score」が本日届きました。
James Newton Howard のスコアはなかなか手に入らないので、お知らせメールが来た日にすぐ頼みました。が、その時は盛り上がって、CDも購入して到着に備えてたのですが、2ヶ月経ってすっかり忘れており、「今日荷物来ないのになんだろね?」と見に行ったら、海外からのお届け物でした。

早速開封し、いつものように分厚いスコアにニンマリ。版は大きいですが、私くらいの歳になると大きい方が見やすいのです。場所はとるけど。

The Fugitive/James Newton Howard スコアとCD(ダイジェスト?版)

さっそく聴きながら読もうとミュージックアプリを立ち上げるが、あれ、取り込んでない?そこまでやってなかったか。ということで、外付けBlu-ray 兼 CDプレイヤーで取り込み準備完了。
パラパラと冒頭をめくり、気がついた。
Duration:76 mins. 
そして2009年リリースの、La-La-Land Records 型番LLLCD 1112 の「The Fugitive」をリファレンスにと。

。。。私がもっているの、どう見ても一枚組だし、そんなに曲数入っていない。。。

スコアが出たときに舞い上がりすぎて、CDを買ったはいいが、ダイジェスト版を買っていて、全曲版ではなかったのです。Omni Music Publishingのスコアは勉強用にちゃんとスコアのリファレンスCDを書いてくれるところが良い!と「ヒックとドラゴン」のスコアが出た時にどこかに書いていたというのに、すっかり失念していましたよ。。。
慌てて該当CDを探すと、定価4500円のものが、e-bayあたりで2万弱をうろうろしている。しかも在庫なし。他もありそうなところを見てみたが、在庫なしなので、諦めて自分が持っている、Elektra Records(ダイジェスト、抜粋)版の方で聴くことにしました。

Omni Music Publishingのスコアは、冒頭にちょっとした楽曲分析が掲載されていることもポイント高いんですが、The Fugitiveでは、3ページほど。モチーフの紹介などが少し載っています。「ヒックとドラゴン」のスコアを想像すると少し少なめかも(向こうはライトモチーフなので説明しだすと長めというのもありますが)。
最後に「(このスコアは、)伝統的なテーマやモチーフを使いながら、雰囲気(空気感とかテクスチャとかですかね←原文にはないですが意訳)を作り、登場人物の感情を伝えるためにそのような音楽を用いている。その結果この作品は1990年代の他のドラマ音楽とは一線を画している〜(後略)」とまとめています。

たぶん、ちゃんとした音楽分析の書籍や論文などを調べれば、正確なことが書いてあるのかと思いますが、個人的には、James Newton Howard の楽曲を、

1.伝統的な調性や明確な旋律のあるシンフォニック・スコア
「デーヴ」「ワイアット・アープ」「ウォーターワールド」「キング・コング」あたり

2.オーケストラ編成楽器での無調や特殊奏法を用いた音響的アプローチ
「シックスセンス」の「Suicide Ghost」、「サイン」ほか、不穏や緊張を表現する場合、このようなアプローチがみられる。

3.エレクトロニクス、民族楽器などとの融合
エレクトロニクスの例では、
「DarkKnight」の「I'm Not A Hero」(2の要素も含まれるが)
「Salt」の「Taser Puppet」「Arming The Football」
「バーティカル・リミット」など、Epic Percussionをふんだんに入れたり、エレキギターなどのバンド楽器、その上にエフェクトをかけたりと、オーケストラ楽器以外のの楽器やシンセサイザー、サンプラーによる音色を取り入れる。
民族楽器などを使用する例では、
「ヒマラヤ杉に降る雪」尺八や太鼓など
「アトランティス 失われた帝国」 ガムラン
「ザ・インタープリター」アフリカの歌声
など

他の要素が入ったものもあると思うが、なんとなくこの3つに分類している。どれかとどれかを組み合わせる、というのももちろんある。教えなければいけない機会があって、勝手に分類しているだけなので、これが絶対でない、です、あくまで個人的な分類です。

「逃亡者」は、3に分類していて、エレクトロニック・パーカッション(まだそこまでEPIC風味ではない)が特徴と、メモっていた。でも、当時はスコアを持ってなかったので、具体的に何がどうして、というのは聴いた感じなんとなくで、はっきりわからなかったんですが、今回スコアが来て、機材(Mini Moog,Roland S760,Akai MPC60,TG 500,Roland 880,Kurzweil K2000,Synclavier,Roland MKS20,EMU Proteus2,KordPiano)がしっかり書いてありました。スコアの中にも音色イメージがちゃんと書いてあり、例えばSynthesizer1には「Breathy Pad(almost white noise)」などと記入されているのでとてもわかりやすい。オーケストラの編成表の方も、サウンドトラック録音ならではの特殊な持ち替えがしっかり掲載されており、やはりスコアあるのと無いのとは全然ちがいますね。ありがたい。

それで、曲目ですが、これは完全版のCDのジャケットにも掲載されている情報なので、書いてしまいますが、全部で42曲です。私が持っているダイジェスト版は11曲版なので、しょぼーん。ああーやっぱり完全版ほしい!!!プレミア価格で高いけど!在庫無いけど!!
悔し紛れに、ダイジェスト版と完全版を比較してみました。

The Fugitive サントラ ダイジェスト版と完全版の比較

うーん、ダイジェスト版、やっぱりすくないですね。ただ、11曲かと思っていたら1トラックに何曲かまとまっているものもあったので、ちょっとだけ増えますね。もちろんこの11トラックだけでも、大変すばらしいので、これだけでも十分勉強になるんですが、やはりいつかは完全版、聴きたい😅

あと注意事項としては、数年前までは円高と送料が通常だったので、海外から輸入して、この濃い内容のスコアでお得感あったんですが、近年の円安と送料高で個人輸入するとなかなかの金額になります。
私の場合は、教える時に使うかもしれないのと、スコアを買ってお店を支えたいので(たぶん有志がやってる、みたいな感じだと勝手に思っているんですが、こういうお店は無くしてはいけないという気持ちもあり)、わりとスコアや書籍などはエイヤっと買ってしまうのですが、もっとOmni Music Publishingの映画音楽のスコアが手軽に手に入る環境があったら、学生さんたちも学びやすいのになぁといつも思っています。

画像に写っているCDはダイジェスト版の画像です。たぶん表は、ほとんど変わらないジャケットだと思うんですが、裏が完全版はずらりと曲が並んでいるので、差がわかるかと思います。

(この記事は2023年8月4日の情報に基づいて書いています)





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