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機材レビュー:Arturia KeyLab Essential mk3

DTM用のマスターMIDIキーボードを新調したので軽く紹介します。
個人的に購入の決め手となった前作(mk2ではなく無印Essential)からの改善点をまとめると…

  • 奥行き寸法が8mmコンパクトになった。

  • 付属USBケーブルがL字出しになった。

  • トランスポーズ専用ボタンが追加された。

  • ペダル端子がエクスプレッションに対応した。

こんなところです。総合的にかなりバランスのいい鍵盤になりました。

サイズ

まずアマチュアのMIDIキーボードにもっとも求められるのは間違いなく奥行き寸法のコンパクトさです。デスクに置けなけりゃ話になりません。mk3を買う前は上位機種のKeyLab MK2を使っていましたが、やはりサイズがデカすぎたので今回買い替えました。
mk3では前作から奥行きを8mmコンパクトにして240mmに納めてきました。フルサイズ鍵盤でこれより奥行きが小さいのはRoland A-49やM-Audio Keystationなど上部にコントローラーがついていないものしかありません。

さらにUSBケーブルはL字のものを付属させてます。ここからも奥行きの小型化に対する並々ならぬ情熱が伺えて非常に好感が持てます。

ついでにペダルにもL字出しアダプタを着けました。
ディスプレイギリギリまで奥にセッティングできます。

最近アナログシンセにハマってるのでMIDI Outがあるのも地味に嬉しい。アナログシンセ作ってるだけあります。
ペダル端子はSustainだったものがControlに変わり、エクスプレッションペダルに対応しました。Expペダルはほぼ使わないけど、大は小を兼ねるからね。

キータッチ

タッチ感は正直良くも悪くもないです。セミウェイテッドではないのでハイエンドシンセやFatar鍵盤のようでは当然ないし、普通のライトウェイト鍵盤でもRoland A-49みたいなもっと優れたタッチのものはいくつかあります。かといって10,000円前後のMIDIキーボードのようなフカフカ・ボヨボヨのタッチ感よりは良いのでほんと平均レベルです。
この鍵盤が特別悪いわけではなく、大体のMIDIキーボードはみんなこのレベルですが)個人的には、ストロークが長すぎるし音の鳴る位置が深すぎるので結構しっかり打鍵しないと発音してくれない感じがします。あと黒鍵だけベロシティーがやたら強いので、Fatarとかの感覚でサラサラ弾くと発音しない音があったり逆にデカすぎる音があります。
ベロシティ固定の音源であればリアルタイム録音でも使えるかもしれないけど、ピアノとかだと厳しい印象です。やるならベロシティーカーブを追い込んでからですね。コントローラーソフトでベロシティーカーブをLogにするとまぁまぁ良い感じになりました。

私はリアルタイム録音はしないのでタッチ感はそこまで追求しませんが、「演奏」に耐えうるキータッチが必要な方は素直にFatarを積んだMIDIキーボードを検討すべきです。

トランスポーズ専用ボタン

前作はKeyLab MK2と同じく「Transボタン+移調先のキーを押す」という独特なトランスポーズ方法でしたが、今回トランスポーズ専用ボタンが搭載されました。僕みたいな鍵盤なんて1mmも弾けない人はTrans命です。これがなきゃ作曲できません。DAW側でも設定できますが鍵盤本体でTransできるのがベストです。世の中的にはShiftボタン+OctボタンでTransできる機種が大半ですが、Trans専用のボタンが付いている機種は非常に希少です。もちろんOctもTransも同時押しでリセットできます。ただOctもTransも押してから変更が反映されるまで体感0.2秒くらいタイムラグがあります。
MIDIキーボード選びで気をつけてほしいのは、Transが本体のメニューを潜らないと変えられなかったり、最悪だとPCソフトからしか変えられない機種が存在することです。半音TransするためにいちいちMacでソフト開くとか絶対ありえません。Transする時間で1曲作れます。特に人気機種のKomplete Kontrol Aシリーズがソフトからしか変更できないのは致命的です。KKA49はこの点だけで購入候補から外れました。

ホイール

ホイールは(前作もかな?)プラスチック製です。ここもゴムを使っていると経年で加水分解してベッタベタになるので注意して下さい。プラは安っぽいですが加水分解の心配がないのでパーフェクトな選択です。ちなみに上位機種のKeyLab MK2は金属製のホイールが搭載されてます笑
操作感はまともに良好です。剛性感はあんまりありませんが、オーソドックスな形状と大きさで、重すぎないし、戻りも遅くありません。こういうのでいいんだよ。Komplete Kontrolはホイールが重すぎるし戻りが遅すぎるのでダメです。

その他

Arturiaはフランス企業らしくデザインが良いです。サイドパネルがウッド調なのも素敵。ノブやフェーダーもあまり使いませんがスムーズで適度なトルク感があります。
パッドは驚くほどセンシティブですね。KeyLab MK2でArturiaのパッドは微妙かな…と思っていたのですが改善されてます。AKAI MPK mini plusのパッドより反応がいいです。アフタータッチ付き。
液晶にMIDI CC値が表示されるのもいいですね。ノブが無限回転するタイプなので値が出るのは分かりやすいです。
2.76kgと軽く、片手でラクラク持てます。MIDIキーボードをいくつか使い分ける人やスタジオで使う人にも良いんじゃないでしょうか。
価格(3.0万〜3.2万円)はやや高すぎます。いまMIDIキーボード全般がそうですが特にArturiaはインフレしてます。2.5〜2.8万円が妥当なところです。コスパは良くありませんがMIDI鍵盤は(ふつうは)長く使うのであまり気にしないようにしましょう。

触らずに5分間放置するとArturiaおなじみの"Vegas Mode"が始まります。これ地味に好き。

総合して、価格の割に凡庸なタッチ感にさえ目をつぶれば、過不足なくユーザーの本当に必要な機能を追加したとても的確なアップデートです。今度こそ長く使うぞ〜

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