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今週のSaaSニュース! Vol.86(2/6週)

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今週の資金調達ハイライト

国際物流アレンジ・トラッキングSaaS Flexport $935M調達

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2013年米国創業のFlexportは、アナログな国際物流(空運・海運・陸運)のアレンジから配送状況のトラッキング、関連する貿易ファイナンスや保険まで一括して提供するSaaSスタートアップ。2021年の売上は2倍。世界112ヵ国に渡る顧客からの流通総額(GMV)は約2兆円($19B)に達する。本シリーズEは、a16zとMSD Partnersがリード。バリュエーションは$8B。(Flexport紹介動画)

口座振替の集金電子化SaaS GoCardless $312M調達

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2011年英国創業のGoCardlessは、繰り返し発生する口座振替による集金を電子化するSaaSを、DocuSignなどのソフトウェア企業にAPI経由で提供しているスタートアップ。創業者は日系人のHiroki Takeuchi氏。新卒でマッキンゼーに2年ほど勤務した後、GoCardlessを創業。現在では、利用企業7万社、年間決済総額は3兆円弱($25B)にまで成長している。本シリーズGは、欧州BNPLの雄 Klarnaにも出資している欧州PE Permiraがリード。バリュエーションは$2.1B。(GoCardless紹介動画)

企業向け気候変動対応SaaS Watershed $70M調達

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Watershedは、2019年にStripeの元従業員3人が米国で共同創業した、企業のネットゼロの実現を支援するSaaSスタートアップ。Scope1、2、3の排出量分析・測定し、ダッシュボードでカテゴリー別にドリルダウンし、業界の同業他社とのベンチマークを可能にする。主な顧客は、ShopifyやStripeなどの大手ソフトウェア企業。本シリーズBは、Sequoia CapitalとKleiner Parkins、Stripe創業者らから調達。シリコンバレーの伝説とも言えるVC投資家のMichael MoritzとJohn Doerrを社外取締役に迎える。

イーサリウムのサポートレイヤーを提供するPolygon $450M調達: PolygonはETHの早く低いコストのトランザクションを可能にするソフトウェア。Web3版AWSを目指している。今回、Sequoia India、a16zなどから調達。
クロスプラットフォームのリンク計測SaaS Branch $300M調達: Branchは全てのデバイスでの広告コンバージョン測定などを支援するこの分野のリーダー企業。本ラウンドはNEAから調達。バリュエーションは$4B。
データウェアハウス分析SaaS Starburst $250M調達: Starburstはオープンソース「Presto」を商用化したデータ分析SaaS。本シリーズDはAlkeon Capitalリード他、a16zやCoatueなどから調達。バリュエーションは$3.35B。
Web3アプリ開発支援SaaS Alchemy $250M調達: AlchemyもWeb3版AWSと言えるSaaSスタートアップ。本シリーズCはSilver LakeとLightspeedがリード。バリュエーションは$10.2Bでデカコーンに。
レストランの従業員コミュニケーションSaaS 7Shifts $80M調達: 7Shiftsは2014年にカナダで創業。シフト管理やスタッフコミュニケーションのツール。本シリーズCはソフトバンクから調達。
利用量課金版のZuora M3ter $17.5M調達: 2020年後半にロンドンで創業したM3terは、利用量課金(Usage based)に特化したSaaS。本ラウンドは、Kindred CapitalやUnion Square Ventures、Insight Partnersから調達。 

今週のIPO/M&A

米CloudflareがゼロトラストセキュリティSaaS Vectrixを買収
米TripActionsが独トラベル管理SaaS Comtravoを買収
米FiservがデジタルバンキングSaaS Finxactを買収
米TwineがオンラインイベントでのマッチングSaaS Glimpseを買収

マーケットトレンド

大退職時代で注目が集まる社会人教育系スタートアップ
企業の離職と求人の高まりの中で、人材のスキルギャップが米国では大きな課題になっている。そのため、社会人のスキルアップの機会を提供するGuild EducationやDecreedのような企業の従業員向けのスキルアップ系スタートアップは急成長と共に投資家の注目を集めている。効率的なリモートワークを実現するような対話/テキストのコミュニケーションスキルや、デジタル化にともなうプログラミングスキルなどは特にニーズが高まっている。

ストラテジー

SaaSの成長を加速させることが実証されている経営戦略
IntuitやDropboxなどでシニアポジションを経験し、2020年からIntercomのCEOに抜擢されたKaren PeacockによるSaaStrの講演動画。創業者である前CEOからIntercomの成長立て直しに向き合ってきた彼女ならではの、示唆あふれるプレゼンテーションです。SaaS経営者の方は一度見てみると良いかもしれません。

SaaSの成長を加速させる7つのポイント
1. データの平均値はインサイトを隠してしまう
2. 顧客の言ったことより、何をやっているか見ろ
3. ソリューションよりも課題をとことん愛せ
4. 顧客体験は、はじまりから終わりまでをデザインせよ
5. 顧客との強い関係が顧客の満足度を産み出す
6. スケールする方法を選べ
7. 顧客はコンシューマーサービス並みの体験を期待している

営業&マーケティング

SaaSの営業組織がチェックすべき4つの"V"
営業組織をスケールすることは簡単ではないですし、組織のゴールを達成する上で営業のどのようなメトリックスを見るか、は重要なポイントです。こちらの記事では、SaaSの営業組織として常に確認しておくべき4つのV-Value(商談サイズ)、Variety(顧客セグメント)、Volume(リード~受注~継続の量)、Velocity(セールスプロセスの速度)について解説されています。日本の場合、VarietyとVelocityが軽視される傾向が多いと思うので、考慮してみても良いかもしれませんね。

プロダクト開発

プロダクトマネージャーの秘密兵器:Storytelling
プロダクトマネージャー(PM)は、協働するチームに対する権力は持たない中で、チームへの影響力を持つことが求められます。これは大きなチャレンジです。そのため、成功しているPMはストーリーテリング能力を持つことを解説した記事。課題設定であろうと、プロダクトロードマップであろうと、PMのストーリーテリングでは、「具体性」が重要とのことです。

マネジメント

スケールの大きなプロダクト組織に必要な多様性
テクノロジー企業は大きくなるにつれ、PMは事業のあらゆる場所に顔を出すようになります。商談やカスタマーサポート、エンジニアチームの士気の高める戦略作り、社内プロセスの再構築、買収候補先の探索など、多岐に渡ります。この多様なニーズに応えるために、プロダクト組織は異なる強みや経歴を持ったチームが必要となります。こちらの記事では、優れたプロダクトチームを作る上で、価値がある10の経歴について解説しています。

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