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今週のSaaSニュース! Vol.76(11/21週)

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今週の資金調達ハイライト

All-in-oneフィールドサービス管理SaaS SimPRO $350M調達

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2002年オーストラリア創業のSimPROは、電気工事や水道工事などのフィールドサービス産業向けにAll-in-oneでSaaSを提供するスタートアップ。プロダクトの機能群は、フィールドワーカー管理、請求、財務管理、採用など12分野にもわたる。オセアニア、米国、英国で販売しており、ユーザー企業 5,500社、利用者数は20万人以上にものぼる。今回のラウンドは、K1 Investment Managementから調達。(SimPRO動画)

All-in-oneファイナンス管理SaaS Payhawk $112M調達

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2018年英国創業のPayhawkは、コーポレートカードと企業の財務管理ソリューションを一気通貫で提供するSaaSスタートアップ。請求管理などの財務管理に加え、Wiseのように為替サービスも提供。欧ユーロ、英ポンド、米ドル間は無料、その他通貨は1.99%の手数料をチャージしている。米国のBrexやRampと類似しており、英国ではRevolutやPleoのようなチャレンジャーバンクとも競合している。本シリーズBは、フィンテック投資家の常連Greenoaksから調達。バリュエーションは$570M。(Payhawk動画

In-gameアプリ開発者向けall-in-one SaaS Overwolf $75M調達

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2010年イスラエル創業のOverwolfは、サードパーティの開発者がゲーム内(In-game)のアプリやModを作成、配布、収益化できるSaaSを提供するスタートアップ。開発者に加え、ゲーマー向けにもゲーム上での録画やコミュニケーションを一括して行うアプリも提供している。8.7万人の開発者、2,000万人以上のゲーマーがOverwolfを利用している。本シリーズDは、Andreessen Howotizがリード投資家。(Overwolf動画

農家の利益最大化PF Farmers Business Network $300M調達:FBNはデータやテクノロジーを活用して、農家が利益を最大化するためのSaaSやマーケットプレイス、コミュニティを一括して提供。今後農家向けのFintechサービスを拡充予定。シリーズGでFidelityなどから調達。
音声文字起こしSaaS+BPO Verbit $250M調達:VerbitはAIによる文字起こしと人による精度の高いチェックを提供するスタートアップ。シリーズEでThird Point Venturesなどから調達。バリュエーション $2B。
All-in-oneフロントエンド開発SaaS Vercel $150M調達:VercelはNext.jsベースのオープンソース型開発SaaS。シリーズDでGGV Capitalなどから調達。バリュエーション $2.5B。
クラウドセキュリティSaaS Expel $140.3M調達:Expelはサイバー攻撃に対応するManaged Detection and Response(MDR)分野のトップ企業の1社。本シリーズEはアルファベット傘下のCapital Gなどから調達。
Appleデバイス管理SaaS Kandji $100M調達:Kandjiは中堅~大手企業向けにアップル製品の管理ツールを提供。シリーズCでTiger Globalがリード投資家。バリュエーション $800M。
ライフサイエンスR&D SaaS Benchling $100M調達:Benchlingは主にバイオ分野の研究者向けに研究開発支援を行うSaaSを提供。シリーズFでFranklin TempletonとAltimeter Capitalがリード。バリュエーション $6.1B。

今週の主なIPO/M&A

米Workdayがベンダー管理VNDLYを$510Mで買収

マーケットトレンド

次世代カスタマーサクセスSaaSの最前線
米VC Scale Venture Partnersによるブログ記事。コロナ以降、クラウド/SaaSの急速な普及により、サブスクリプションエコノミーが一気に拡大した。その渦中でカスタマーサクセス(CS)は、情報のセントラルハブとして重要になった。その結果、CS職は昨年のLinkedInのエマージングジョブ(求人が急増する職業)の第6位に選出。CSのリーダーの多くが、多岐に渡るソフトウェアを活用する必要性に課題感を感じており、次世代のCustomer Success SaaSがこの課題にいかに挑戦しているかを解説しています。

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ストラテジー

利用量課金(Usaged-based pricing)の長所と短所
近年のSaaS企業の躍進を支えるGTM戦略の1つが、利用量課金(Usaged-based pricing)の戦略的な活用です。売上継続率(NDR)上位企業の多くが採用していることからも注目されるようになりました。こちらの米VC Bessemer Venture Partnersnの記事は、利用量課金の長所と短所(以下)、短所への対応策について解説しています。

Usaged-based pricingの長所
1) 顧客が魅力的に感じる(使った分だけ支払うので)
2) 顧客が使うエントリーバリアが低い
3) 売上が非連続に成長する
4) ディスカウントが利用を加速させる
5) NDRが高くなる
Usaged-based pricingの短所
1) 請求金額が想定以上に上がり顧客満足度が低下する
2) 顧客のスイッチングコストが低下する
3) 売上とキャッシュフローが不安定になる
4) 価格メカニズムの認識不足で顧客が混乱する

営業&マーケティング

SaaSセールスのよくある6つの落とし穴
元HubSpot CROで米ハーバード・ビジネス・スクール講師 Mark Roberge氏へのSaaStrのインタビューPodcast/記事。日本のSaaSスタートアップでもよくある落とし穴なので、自社がこの状況に陥ってないかチェックしてみるのも良いかもしれません。

1) 従来の営業インセンティブ設計が利用率を低下させる
2) 持続的なMoatがないのに値上げして成約率が下がる
3) 一時的なMoatと持続的なMoatを混同する
4) 最も成績のよい営業をマネージャーに昇格する
5) 顧客価値の創造より売上を優先させる
6) 資金調達後すぐに営業を大量採用する

カスタマーサクセス

◆ 1,000人のコミュニティを創るステップ・バイ・ステップガイド
米VC First Round Capitalによる、HRtech SaaSスタートアップ Knoetic社が1,000人のコミュニティを創るまでの6つのステップを詳細に解説した記事。コミュニティとプロダクトを両輪で進化させていく話なので、アーリーステージでコミュニティを戦略の柱にしているスタートアップ経営者の方には、参考になる記事だと思います。

プロダクト開発

InVisionの凋落とFigmaの急成長はなぜ起こったのか?
2017年にプロトタイピングツールの王者だったInVision(下図)。彼らがなぜ凋落したのか?そして、その裏で後発のFigmaがなぜ圧倒的なシェアを獲得できたのか?説得力のあるプロダクトビジョンや戦略、顧客のフィードバックの重要性、一時的な成功に酔わずにプロダクトを革新し続けることの大切さ、多くの示唆を与えてくれる記事です。プロダクトマネジメントに関わる方々にはオススメです。日本語で概要をまとめたtweetstormはこちら

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マネジメント

Amazon創業者 Jeff Bezosからの12の大切なアドバイス
世界のテクノロジー業界のリーダーの中でも有数の視座の高さと一貫した経営哲学を持つJeff Bezos。彼の株主への手紙 -Letters to shareholders-から、テクノロジー企業の経営者に役立つアドバイスをまとめた記事。日本語で概要をまとめたtweetstormはこちら

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