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今週のSaaSニュース! Vol.72(10/24週)

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今週の資金調達ハイライト

プロジェクトマネジメントSaaSの新星 ClickUp $400M調達

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ClickUpは、Asana、Monday.com、JIRAなどの競合がひしめくプロジェクトマネジメントSaaSの新星。特長は、NotionやSlackなどのコラボツールの機能をカバーしており「ワークスペースはこれ1つでOK」と言ったAll-in-one性と、業務時間を自動でトラック/予測する生産効率性。GoogleやNetflixなどの世界80万チームで利用されている。米国外の利用が40%を占め、特に欧州が多く、今後欧州での展開を加速させる。今回のシリーズCは、Tiger GlobalとAndreessen Horowitzがリード。バリュエーションは、$4B。(ClickUp動画)

リモート臨床試験運用支援SaaS Medable $304M調達

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Medableは、リモート環境下の臨床試験プロセスで重要な、患者の採用とリテンションから、施設や臨床試験チームとのコラボレーション、データ収集を一気通貫で行うことができるライフサイエンス業界特化のSaaS。患者データのリアルタイム性やコラボレーションに重きを置かれており、B2Cアプリのようなモバイル×優れたUI/UXのあるプロダクト。世界60ヵ国、5,000施設で利用されており、過去18ヶ月で800%の急成長を遂げている。今回のシリーズDでは、$2.1Bのバリュエーションで、Blackstone GrowthとTiger Globalがリードしている。(Medable動画)

エンタープライズ向け 契約業務自動化SaaS Ontra $200M調達

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Ontra(旧名 InCloudCounsel)は、企業の契約業務における契約作成、NLPによる要約作成を自動化し、法務ワークフロー管理やインサイト提供を一括で自動化できるSaaS。面白い点は、契約作成の最終チェックを法務の専門家への外注をできるBPO要素がある点と、RPAやNLPなどの自動化技術を組み合わせている点。今回シリーズは、Blackstone Growthがリード投資家。バリュエーションは非公開。(Ontra共同創業者/CTOインタビュー動画)

セキュリティログ・解析SaaS Devo $250M調達:Devoはクラウドネイティブのサイバーセキュリティのログ管理、データ解析のSaaS。Sumo LogicなどのSaaS大手が利用。シリーズEで、TCVリード。バリュエーション $1.5B。

製造業向けサイバーセキュリティSaaS Dragos $200M調達:Dragosは、石油化学、化学、製薬などのメーカーの製造プロセスのセキュリティSaaS。本シリーズDは、KDTとBlackRockの共同リード。バリュエーション $1.7B。

クロスボーダー貿易金融SaaS Drip Capital $175M調達:Dripは、SMBの貿易事業者向けに決済やファクタリングなどの金融サービスやSaaSを提供。本シリーズCは、TI Platformリードで、Sequoia CapitalやAccelも参加。

「カーボンデータ版ERP」Persofoni $101M調達:Persofoniは、上場企業/金融機関向けに環境影響に関する開示要求に対応するためのSaaS。世界トップクラスPEファームや金融機関が利用。本シリーズBは、Prelude VenturesとThe Rise Fundがリード。

販売代理店との連携強化SaaS Crossbeam $76M調達:Crossbeamは、直販と代理店販売のエンド顧客へのカニバリを防止し、連携強化を支援するSaaS。本シリーズCは、Andreessen Horowitzがリード。

南米版ローコードワークフローSaaS Pipefy $75M調達:Pipefyは、ブラジル発のワークフロー管理SaaS。本シリーズCは、SoftBank Latin America Fundがリード。

企業向け 統合型福利厚生SaaS Awardco $65M調達:Awardcoは、企業から従業員の報奨や福利厚生を、現代に合った形で提供するSaaS。「大退職時代」の米国でニーズが高まっており、この分野のシリーズAとしては大型のシリーズA。General Catalystリードで、バリュエーションは$900M超。

今週の主なIPO/M&A

カスタマーサービスSaaS大手Zendeskが、SurveyMonkeyを$4Bで買収

ストラテジー

SaaSの「第2の矢」となる6つのプロダクト戦略

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ユニコーン級の急成長・ARR達成には、単一プロダクトのみで実現するのはレアであり、多くの米国SaaSスタートアップでは「第2の矢」となるプロダクト戦略をシード/アーリーフェーズから構想するケースが多い。このBessemer Venture Partnersの論考は、6つの「第2の矢」のプロダクト戦略について同社投資先の代表例で解説している。起業家、経営陣、PdM、開発に携わる方々は、中長期のプロダクト戦略を描く上で参考にしてみることをオススメします。

SaaSの「第2の矢」となる6つのプロダクト戦略
1. パートナーエコシステム(連携アプリストア)
2. 産業バーティカル特化垂直統合/連携
3. システム・オブ・アクション
4. ビジョン起点でのユースケース拡大
5. 業界横展開のリープフロッグ
6. ニッチ→一気通貫ソリューション展開

営業&マーケティング

ARR $0→$100MのSaaSマーケティング戦略

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英・ロンドン発のDevSecOpsのリーディングSaaSユニコーン Synk社のCMO兼Chief Experience OfficerによるSaaSステージ別マーケティング戦略の解説記事。Synkはエンジニア向けツールなので、汎用性があるとは言い難いが、カテゴリー創りやコミュニティ活用したマーケティング戦略を考える上では参考になる。記事では、ARR $0-10M、$10-25M、$25-100Mで同社が注力したポイントを解説している。資料はこちら

プロダクト開発

元Airbnb PdMディレクターによるプロダクトマネジメントの12の学び

10年以上プロダクトマネジメントに携わってきた元Airbnb Director of Product Dan Hill氏によるPdM職に大切なことをまとめた記事。PdM職は、企業や役割によって形が異なるが、PdMとして重要なポイントが完結にまとめられています。概要を和訳したtweetstormはこちら

最初のプロダクトマネージャー(PdM)採用の進め方

最近日本のスタートアップでもアーリーステージでプロダクトマネージャー(PdM)を採用することが一般的になってきました。しかし、PdMは会社によって多種多様であり、組織内でのコラボレーション要素が強いため、一般化が難しい職種です。こちらの記事は、Trelloなど複数のSaaSスタートアップでPdM組織をリードしてきたNikita Miller氏による「最初のPdM採用の進め方」を解説記事。人材要件作成に向けて自社の強み/弱みの分析から入ることや、採用面接では深く掘り下げることや、決断を急がず慎重に決める必要性など、PdM初心者の起業家の方には参考になる点が多いと思います。

マネジメント

産休/育休がCEOを優れたリーダーに変える

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Sequoia CapitalやZoom創業者 エリック・ユアン氏などが出資する、注目SaaSスタートアップ Frontの創業者兼CEO マチルダ・コリンズ氏によるFast Companyへの寄稿記事。彼女が4ヶ月超の長期の産休によって、チームがいかに強くなったか、そしてそれを実現するために産休取得前にやったことやCEOが産休を取得する意義などを語っています。スタートアップ経営者の多くは、子育て世代も多いのが現状です。日本でも、Revcomm社 創業者兼CEO 会田氏が2週間の育休を取得されたことなども話題になりましたが、現代のスタートアップ経営者にとって、男女問わず、重要なアジェンダなので、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

人材をアトラクト・リテインするための5つの重要タクティクス

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パンデミック以降、従業員の働き方のみならず、価値観や会社に求めるものが大きく変わってきました。「大退職時代」に突入している米国では、スタートアップでも喫緊の課題です。こちらの記事は、スタートアップ経営者/HR担当者向けにBattery Venturesが主催した「State of Talentサミット」からの、現在のスタートアップ採用に重要な5つの戦術(タクティクス)を解説しています。日米でコロナの影響や人々の意識の差はありますが、ここで指摘しているポイントは日本のスタートアップにも重要なポイントが示されていると思います。

人材をアトラクト・リテインする5つのタクティクス
1. 柔軟なワークスタイルの提供はマスト
2. 強いワークカルチャーの重要性の増大
3. 優秀な人材採用には、人材開発への投資が必要
4. 優秀な社員への報酬アップは早期に
5. 短期集中の洗練された採用プロセス(例. 3日間)

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