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セールスフォース流 商談→受注を阻む4つの「不」とその攻略法

私がセールスフォースに1月から入社して、最初の1か月間はAE(≒フィールド・セールス/営業)、SE、CSGの方々に交じって、セールスフォースのAEの「いろは」を学ぶ、導入トレーニングに参加させて頂いてました。このコンテンツが、まあ洗練されている&実戦的。毎日、目からウロコが落ちてました。そのエッセンスを少しずつでもお伝えできれば、と筆を取ってみました。
(今後、月1-2回順次公開予定)

今回は、いわゆるフィールド・セールスの重要の役割の1つである商談→受注へのフェーズ・アップを阻む4つの「不」とその攻略法の概論をお伝えします。(注:あくまで個人の理解に基づく内容で、セールスフォースの公式な説明ではないとご理解頂いた上、読み進めてください。)
トップ画像出典: Shutterstock Images

フィールド・セールス(営業)の役割

まず、SaaSのフィールド・セールスの役割とは何でしょうか?セールスフォースでは、ざっくり言うと大きく2つあると定義されています。

役割1)パイプ・ジェネレーション= 商談を創る
役割2)フェーズ・アップ= 商談から受注に進める

今回は主に2つ目の役割であるフェーズ・アップにスポットライトを当てて、フィールド・セールスに立ちはだかる壁である4つの「不」について、まず説明します。

商談→受注を阻む4つの「不」とは?

まず、顧客がSaaSを提供する会社/サービスを知ってから購買(=受注)に至るまでの心理的な変化を以下の図で見てみましょう。

最初の顧客心理は、「どういう会社、サービスは何だろう?」という“認知”のフェーズ。次に、顧客が認知した上で「なんか良さそう」と小さく期待を持った後に、「で、自分の会社にとって効果あるの?買う意味あるの?」という、“想像(導入後のイメージ)“に顧客心理は変化します。顧客が”想像“ができた後は、顧客は「効果はありそうだけど、他社や代替サービスと比較して、本当に良いのか?」、「本当に購入する価値があるか?」を確信・安心が欲しい、”検討“にシフトします。最後に”検討“が済んだ後は、「価値があることはわかったけど、今導入する必要があるのか?」、「(担当が検討していれば)社長や他の関係者も合意してくれるか?」という、”合意“に向けて顧客心理は変わります。

顧客は、これら4つの認知→想像→検討→合意の心理変化を乗り越えて、初めて「よし買おう!」という“購入”の顧客心理に到達できます。この4つの顧客心理変化による壁が、不信・不要・不適・不急=4つの「不」です。

4つの「不」の攻略法概要

では、フィールド・セールスは、この4つの「不」をどう乗り越えていくべきでしょうか?ここでは概要をお伝えするために、提示すべき情報と求められる営業スタイルの2つの側面から説明します。

4つの「不」の攻略法①:提示すべき情報

この4つの「不」を乗り越えるために、スタートアップの視点で考えた場合、提示すべき情報を以下の通りまとめます。

第2の壁「不要」では、顧客の課題を起点として、顧客の課題への自社の認識、現状と顧客の目指す姿のギャップ、課題解決後のイメージを顧客に想起させる材料が必要になります。ここを乗り越えるために重要なポイントは、個人的には3つあると思います。

1) 顧客の課題仮説を初回面談の前に作る(顧客/業界の公開情報等から)
2) 自社の話ではなく、顧客の話(ToBeとAsis、課題)を聞くことに集中する
  (担当者の個人的なゴールもしっかり聞く)
3) 既存顧客(できれば同規模、同業界)の課題と成功事例を準備する

第3の壁「不適」では、顧客の生々しい課題に根差したソリューション、導入後の想定ROI、競合がいれば競合との差別化ポイントが必要な情報になります。ここはある意味自明かもしれませんが、最後の競合との差別化ポイントについては1つコメントすると、顧客の課題とソフトウェアの選定基準に根差すことが重要だと思います。

最後の壁「不急」は、最後の仕上げである見積り、(定着化も含めた)スケジュールや今後のマイルストンを使って、「今導入する必要性や今だから得られるメリット」を訴求する必要があります。(VCとして積極的にお勧めしにくいですが、) 見積りで「今だったらできるディスカウント」の文句は1つの武器になり得ることもあります。

4つの「不」の攻略法①:営業スタイル

次に、この4つの「不」を乗り越えるための、営業スタイルを簡単に以下に示します。

ざっくり言うと、左脳と右脳をうまく使った営業スタイルが求められます。

「不信」「不適」:ファクトに基づく丁寧な説明≒左脳的な営業スタイル
「不要」「不急」:感情に訴える熱量の高い説明≒右脳的な営業スタイル

「不信」はある意味自明ですが、「不適」で左脳的な営業スタイルが求められるのは、ここで右脳的な熱量の高い営業スタイルだと、顧客心理として「押し売り感」が出てしまうので、フェアな目線で伝えることが求められます。一方、「不要」や「不急」では、左脳的な営業スタイルよりも、より顧客の感情を盛り上げ、顧客側にモーメンタムを生む右脳的な営業スタイルが望ましいとされます。

最後に:実施に向けた2つの留意点

これまで商談→受注へのフェーズ・アップを阻む4つの「不」とその攻略法の概要についてお伝えしてきましたが、留意すべきことを2点お伝えして締めくくりたいと思います。

1つ目の留意点は、あくまでお伝えした攻略法は型であり、素振りをガンガン繰り返して、その後に質を上げていくことが重要であるということ。特に営業スタイルは、個々人の性格や得意・不得意は出やすいので、一筋縄ではいきません。練習を繰り返して、自分なりの型を見い出し、磨きこむことが必要だと思います。

2つ目の留意点は、同じタイミングでも4つの「不」は意思決定に関わる部門や人によって、フェーズが異なることがあることを認識する必要があるということ。エンタープライズになればなるほど、経営者だけでなく、情報システム部や、購買部、現場担当者など関係者は多くなってきて、各関係者の温度感やそもそものゴールも違います。なので、早期に顧客の社内にサポーターを作り、関係者の「不」の状態や具体的な懸念点をマッピングして、理解しておくことが早期に受注するには重要だと思います。

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