見出し画像

今週のSaaSニュース! Vol.89(2/27週)

SaaSニュースレター登録ご希望はこちら(無料)🚀

今週の資金調達ハイライト

デスクレスワーカー向けall-in-one SaaS Connecteam $120M調達
イスラエル発のConnecteamは、倉庫のスタッフのような現場の作業員(デスクレスワーカー)向けに、企業が提供すべき勤怠や従業員同士のチャット、トレーニングを一括で提供できる企業内アプリを作成するSaaSスタートアップ。顧客は従業員5名のSMBからナイキやマクドナルドのようなエンタープライズまで幅広い。昨年の売上は5倍に拡大し、2022年も同じペースで成長を続けている。本シリーズCは、StripesとInsight Partnersがリード。バリュエーションは$800M越え。(Connecteamとは?)

画像1

All-in-one セールスインテリジェンスSaaS Apollo.io $110M調達
2015年アメリカ創業のApollo.ioは、営業が見込み客を見つけ、エンゲージメントを高めるためのSaaSを提供するスタートアップ。競合はHubSpotやOutreachなど。CRM系では珍しくフリミアムモデルを採用。16万社超が利用し、その10%の1万6千社超が有料課金。本シリーズCはSequoia Capitalがリード。バリュエーションは$900M。(Apollo.ioとは?)

画像2

建設業界向け3D画像でのプロジェクト管理SaaS OpenSpace $102M調達
2017年アメリカ創業のOpenSpaceは、建設や不動産業界向けに360°画像とAI技術を駆使して瞬時に建設現を3Dデータとして取得し、プロジェクトの進捗状況管理を支援するSaaSスタートアップ。世界75ヵ国、1万以上の建設プロジェクトで利用されている。これまで膨大な時間がかかっていた現場の記録作業を効率化できる。本シリーズCはPSP Growthがリード。バリュエーションは$902M。(OpenSpaceとは?)

画像3

太陽光パネル設置効率化SaaS Aurora Solar $200M調達:Aurora SolarはLiDARセンサーと画像認識技術を活用して、太陽光パネルの設置を効率化するSaaS。本シリーズDはCoatueとEnergize Venturesがリード。
欧州版BREX Payhawk $100M調達:英ロンドン発のPayhawkは、大きめのSMB企業に向けて支出管理SaaSと法人カードを提供。今回はシリーズBのエクステンションで、Lightspeed Venture Partnersがリード。
金融機関向けデータ分析SaaS Perfios $70M調達:2008年インド発のPerfiosは財務諸表データを分析して金融機関の意思決定を支援するSaaS。本シリーズCはBessemer Venture Partnersがリード。バリュエーションは$1B。インド発ユニコーンとしては2022年で10社目。
健康関連の福利厚生活用支援SaaS Nayya $55M調達:Nayyaは、企業の従業員が健康保険を利用して医療を受ける際の事務処理を自動化・支援するSaaS。本シリーズCはICONIQ Growthがリード。
SaaS企業向け売上税(Sales tax)計算SaaS Anrok $20M調達:Anrokは州や都市で課税方法が異なるSaaSの売上税を計算し、将来の売上を最大化するSaaS。直近6ヶ月で売上7倍以上の成長。本ラウンドはIndex VenturesとSequoia Capitalがリード。

今週のIPO/M&A

Snowflakeがアプリ開発SaaS Streamlit買収
Zendeskが$17BでのMomentive(SurveyMonkey)買収断念
DoorDashがオンラインオーダー/決済SaaS Bbot買収
TripActionsが旅行サイトResia買収
Rakuten SymphonyがKubernetesストレージSaaS Robin.io買収

マーケットトレンド

Low-Code/No-Codeエコシステムの現状と投資家の期待
Forresterの定義によると、「Low-Code/No-Code(LCNC)は、最小限の開発でアプリを素早く提供し、迅速な設定・実装を可能にする開発プラットフォーム」です。日本のように開発リソースが限られる一方、企業の生産性向上・人手不足の解消にはLCNCは重要なキーワードです。また投資家目線で言っても、LCNCは未開拓のSaaS潜在層を開拓し、市場へのアクセスを可能にするため、近年注目を集めています。こちらの記事では、LCNCとは?から現状の上場・未上場のプレイヤーエコシステム(エクセルはこちら)を解説しています。別の記事ですが、こちらのTechCrunchの記事では、2022/Q1にVC10人が注目するLCNCについてのインタビューをまとめています。

画像4

営業&マーケティング

数字から見るB2B企業の売上を成長させるドライバーは何か?
McKinseyによる世界2,500社のB2B企業へのサーベイに基づく、突出した売上成長を実現するためのドライバーや行動の違いを分析した記事。インサイト、アジリティ、タレント、テクノロジーの4つの要素(下図)が重要であり、優れた売上成長を実現するB2B企業の特長(何が優れているか?)をまとめています。

画像5

売上成長に優れたB2B企業は...
・データ分析を一元化して顧客・営業に関するインサイトを拡張している
・ユースケースの分析にアナリティクスを活用している
・顧客起点でのソリューション営業とその規律を持っている
・顧客の優先順位付けの変更をより頻繁に行っている
・顧客のいるチャネル(主にオンライン)を追いかける
・人材開発への投資が多い
・画一的なトレーニングをしない
・営業を支援するツールを活用する
・デジタル化を実現するイネーブラーへの投資を怠らない

プロダクト開発

PM採用をインタビューではなく、オーディション形式にした理由
20年以上プロダクトマネジメントを経験してきたBrad Dunn氏の記事。インタビューベースの面接は、一番演技の上手なPMを採用できても、最高のPM候補者を採用できないと指摘。この記事では、彼の実施しているオーディション形式のPM採用プロセスとその判断方法を解説している。このオーディション形式では、①クリエイティブ性を試す質問、②戦略性を試す質問、③分析能力を試す質問を各15分ずつ行うとしている。

画像6

マネジメント

優れたCEOの6つのマインドセットと行動パターン
McKinseyが、過去25年70ヵ国7,800人の上場企業CEOの分析から、優れたCEOに共通する6つのマインドセットと行動(Practice)に関する解説記事。こちらの内容は、McKinseyの新書『CEO Excellence』(現在は英語版のみ)の要約。本記事の日本語要約はこちらのtweetstormを参照ください。

画像7

ファイナンス

SaaSスタートアップをどう評価すべきか?
SaaSスタートアップに限らず、未上場企業であるスタートアップのバリュエーションの本質的な意味は何か?を考えさせられる記事。NEAでVC、モルガンスタンレーでIBDをご経験された、米エンジェル投資家の方(Alex Oppenheimer氏)の記事なので、ファイナンス視点でも納得感のある、示唆深い内容だと思います。彼の一番伝えたいメッセージは、「スタートアップの資金調達・評価で大切なことは、”調達した資金を実際の企業価値に変えること”を目的とすべき」という点であり、無暗に評価額を上げることは起業家自身の首を絞めることにつながるということです。一方、VC側にもPre/Postの固定化が本質的に間違っていることなどに注意を促しています。個人的に面白かったポイントは、こちらのtweetstormにまとめたのでご参考まで。

※その他記事はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?