物語の法則2

飲み会とダメダメなシーンの共通点

機動戦士ガンダムの中盤で、マッドアングラー隊に配属されたシャア・アズナブルが、部下から受け取った木馬らしき写真を手に取り、「これではわからんな」といって破り捨てたあとに、(マッドアングラー隊にまわされて早々、木馬に出会うとはな…)と心の中でつぶやくシーンがあります。

たった数秒のシーンなのですが、シャア・アズナブルという人間のアイデンティティの全てが濃縮されている名シーンだと思います。

ところで、アニメでもドラマでも映画でも小説でもいいですが、物語の「シーン」とはいったいなんでしょうか?

「物語の法則」(クリストファー・ボグラー)という本では「シーンとは、ビジネス取引の現場だ」と説明してます。

どういうことかというと、登場人物同士が自分の利益や欲求、または抱えてる問題を解消するための、交渉や心理戦を描くのが「シーン」だというのです。そういう権謀術策が描かれていないシーンは退屈なので、なるべくストーリーに含めてはいけないとのことです。

私はこのくだりを読んだときにすぐ、「あっ、これって飲み会のことだ」と思いました。

みなさん、ここだけの話、飲み会って楽しいですか?

私は楽しいどころか苦痛です。職場で雑談してるときはメチャクチャ楽しいのに、なんで居酒屋だと、同じメンツなのにあんなにつまらなく感じるのでしょうか?不思議です。

若い頃から「飲み会を楽しめない自分って人としておかしいのかな?」と、ずーーと思ってたんですよ。なんか窮屈だし、意外と退屈だし、なによりも無理やり楽しもうとしている人ばかりが集まっているその場の空気が気持ち悪いんですよね。飲み会が終わったあとは、いつも虚しい気分に襲われます。「あー、なんか無駄なことに時間とお金をつかっちゃった」みたいな。

でもこの本を読んで、それらの長年の疑問が氷解しました。つまり、飲み会には「権謀術策的要素」が決定的に不足してるんです。(忘年会でビンゴが一番盛り上がるのもそのせいか?)

なので最近、私の中では、「飲み会=ダメダメなシーン」という図式が完成したのであります。

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