Resistance プラクティスに戻る

『2017年の夏にアメリカの10代の若者向けのマインドフルネス リトリートにメンターとして参加しました。このnoteはその様子を綴っています。』

iBmeティーンリトリート2日目。
午前中でスタッフトレーニングが終わり、午後から続々とティーンが会場に到着します。

リトリート中、私の役割はたくさんあったのですが、その中の一つはDorm Parent (日本語だと寮母さんかな?)でした。ティーン達が寮の中で必要なものがあったり、困りごとがあったり、起床や消灯時間を知らせたり、生活全般をサポートするお役目です。

そして、ティーン向けとは言え、マインドフルネスのリトリートなので、1日のプログラムの所々に沈黙の時間(Noble Silence)があります。

これは、ティーンリトリートの日々のスケジュール。黒文字の部分が沈黙の時間で、青文字も部分が沈黙が解かれる時間です。

このスケジュール以外にも、「寮の中では基本いつでも沈黙を守らなければならない」というルールがありました。

初日、ティーンのほとんどは沈黙の時間に慣れていない為、おしゃべり禁止の時間になるとすぐにコソコソ話が始まりました。ティーン達はしてはいけないことをやっていると分かっているので、大人の表情を伺いながらアイコンタクトやジェスチャーでやり取りをしたり、こちらが見ていない隙を狙ってお喋りをしたり、あの手この手でルールから外れようとします。

でもティーンリトリートでは大人がティーンに「静かにしなさい」と注意することはありません。なぜなら、マインドフルネスは「ありのままを受容すること」であり、何かをコントロールすることではないから。

かといって、その子達にずっとおしゃべりし続けてもらうのも、「マインドフルネスの実践の場を取り持つ」という大切なお役目を果たせなくなります。

じゃあどうする?

大人が自分のプラクティスに戻るのです。

鼻に人差し指を当てて、「be quiet」シー!とやりたい自分自身の衝動に先ず気づき、その感覚とつながります。そして、相手に対してコンパッション(思いやりの心)と愛情を持ってアプローチします。

私にとっては初めて参加するティーンリトリート、先生も他のスタッフとも初対面だし、久々のすべて英語の環境でかなり余裕がない状態でした。それなのにティーンの生活全般をサポートするというお役目を任され、自信が全くなく、しかも英語で伝えないとだし、この展開は最初からかなりの苦悩でした。

相手は10代のお年頃の高校生達です。大人の言うことなんか簡単には聞きません。しかも自分から望んでリトリートに参加していないティーンもたくさんいて、彼らがリトリート会場に到着して真っ先に直面したのは、携帯の没収されるという悲劇。テレビもない、本も読めない、お喋りも出来ないんです。大人だってこの状況に戸惑うはずです。

正に、彼らが抱えているのはマインドフルネスのプラクティスや、この場に対するResisitance (抵抗)です。

大きな抵抗を感じているティーンに、何を伝えたらいいのか。

考えて、考えて、理解してもらえるかわからないけど、勇気を出してお喋りの多い女子グループのところに行って、こう伝えました。

"Maybe you are taking away the opportunity from your friend to go inward and discover whats happening inside of her. And maybe you are also doing the same thing to yourself too. "

「もしかしたら、今あなた達は、友達が内側で起こっていることを探求するための機会を奪ってしまっているかもしれない。そして、あなた自身の機会も同時に奪ってしまっているかもしれないんだ。」


一瞬空気が凍りついたような感覚がありました。


でもその次の瞬間、その子達は気まずさを振り払うためか? 私の(多分)引きつった顔が面白かったのか? クスクス笑いながらそれぞれの部屋に戻って行きました。

とりあえず、場は収めたのか? 

まだまだドキドキでいっぱいな身体の感覚を観察しながら、私もその場を去りました。

でもこれでdorm parentのお役目が終わりではありませんでした。

10:30消灯のベルを鳴らし終えて、自分の部屋に戻るために階段を降りていると、あるティーンが「親に電話をしたいんだけど。」と言って私を引き止めます。

引き返して階段を登ると、今度は別のティーンが部屋から出てきて、どうしたの?と聞くとなんとこの子もお母さんに電話したいとのこと。

キャー。どうしよ。
リトリート中は緊急時を除き、ティーン達は家族や友達と連絡を取ることができないルールなのです。

私は「OKじゃあとりあえずお話をしましょう」と言って、一人の子の部屋に行きました。改めて「どうしたの?」と聞くと、その子はうつ向いて黙りこんでしまいます。

「OKじゃあ一緒に深呼吸しよっか」というと、スーーー、ハーーーと上手に深呼吸ができます。
そして質問をします。

私: 「あなたのお母さんはどういう人なの?」 
Teen:  Very caring and protective. (とっても思いやりがあって、保護的)

私: お母さんがいるとどんな気持ちになる? 
Teen:  Very safe.  (とっても安全な気持ち)
私: そっか、素敵だね。

強張っていた顔がふわっと緩み、その顔を見て私も安心します。

でも次の瞬間に
Teen:  OK Can i call her now?  (じゃあお母さんに電話していい?)

私: 笑 (この瞬間私はめっちゃ焦ったけど、一生懸命隠します)

あー、どうしよ。どうしよ。

そして、とっさに私の口から出たのが
Do you want to try something with me? Its actually a practice. (ちょっと試してみない? これはマインドフルネスのプラクティスだよ)

お腹の中では「初っ端から慈悲の瞑想とかやっちゃっていいのかしら?」と疑いの念を感じつつも、その子がこっくり頷いたので、ゆっくりゆっくりガイドをしながら一緒に慈悲の瞑想をしました。

普段私が伝えている慈悲の瞑想は、「相手に慈悲を送る → 相手から自分に送られる慈悲を受け止める」 というやり方なのですが、
この時の彼女の頭はお母さんでいっぱいだと直感的に思ったので、まずは自分に意識を戻してもらいました。

寂しさや緊張を感じているのは身体のどこなのか、感じてもらいハートに手を当てて、自分自身に慈悲の気持ちを送ります。
May I be safe and protected. May I be happy and peaceful. May I be at ease. 

次はお母さんが目の前に立っていることを想像して、お母さんが彼女に慈悲を送っている状況をイメージします。お母さんがあなたに優しさを送っているよ。
May you safe and protected. May you happy and peaceful. May you be at ease. 


少しの間静かな時間が流れ、ふと目を開けたら、彼女の顔は涙で濡れていました。

どう?と聞くと。
Teen:  I think i feel better. (ちょっと楽になった)

ハグをして消灯。 おやすみなさい。

もう一人お母さんに電話したかった子は、一緒にDorm parentを務めたクリスティーナという先生が対応してくれたとのこと。

あー、初日めっちゃ疲れた。



続く。

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今日も良い日でありますように。
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マンドフルネス ティーンリトリート

iBme (Inward Bound Mindfulness Education)のティーンリトリートにメンターとして参加した経験談をレポートします。
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