なぜ瞑想をするのか


アメリカの瞑想指導者 シャロン・サルツバーグが著書「リアルハピネス」の中でこんな風に言っています。

”つのる将来への不安や過去への後悔だとか、その日しなくてはいけないあれやこれやを、無限のループを描くように何度も神経質に思い出してしまうとか。そうした心のざわめきの一部はもしかすると子どものころに何度も聞かされて心に刻みこまれた古いカセットテーブの中身のようなものかもしれません。あまりに長いあいだ聞いていたために、意識からほとんど閉め出されてしまっているということもあるでしょう。... ひょっとすると私たちは自分自身に送っているメッセージにさえもう気がつかなくなって、後から生まれる不安だけが消えることなく響いているのかもしれません。... 不安定でまとまりのない自分自身の考えに引きずり回されてくたくたになり、がっくりきてしまうこともあります。注意が散漫になっているために、あるいはもう知っていると思い込んで新しく大事な情報を探しに行かないがために私たちは多くを見逃しているのです。
瞑想は意識を集中させ、私たち自身の経験や反応が起こるたびに、すかさず注意け向け、判断することなくそれらを観察することを私たちに教えます。そうすることで、それまで気付かなかった、マインドが持つ悪い習慣に気づくことができるようになるのです。例えば、時として私たちはよく吟味されていない考えに基づいて行動し、そのために実りのないパターンを繰り返していることがあります。反射的に起こる自分自身のそのような反応と、それらが今この瞬間に注意を払う能力をどれほど鈍らせるかに気付くことができれば、私たちはもっとよい、正しい情報に基づいた選択ができるようになります。そして、周囲の人に対しても、もっとクリエイティブな方法で、より思いやり深く、心からの反応ができるようになります”

私は今、児童養護施設で2歳から18歳までの子ども達と関わる仕事をしています。施設にいる子ども達は何らかの理由で親と暮らせない事情を抱えています。中には愛着障害や発達障害を持っている子どももいて、彼らは時として暴力、暴言を使って大人を試します。

そんな子ども達と関わる際に、瞑想をした日としない日では自分自身の反応が著しく変わることに気づきました。瞑想をして、自分の中にスペースがあり、思考や感情を客観視できる状態で子ども達と関わると、彼らの生きてきた過去からの試し行動だということを汲み取って、彼らのニーズを満たせるような対応ができます。逆に瞑想をしないでまとまりのない自分自身で彼らと向き合うと、どうしてもその場しのぎの反応になります。試し行動を止めさせることにばかり意識が行ってしまい、彼らが本当に求めている大人との関わりを提供することが難しくなってしまうのです。このような場面で特に瞑想の恩恵を実感しています。

私にとっての瞑想とは、パフォーマンスアップの為でもなければ、なりたい自分になる為のツールでもありません。

ただ日常的に起こる小さな出来事の数々に、一緒に立ち会い、ありのままを受け入れ、そしていつも側にいてくれる優しい友達。そんな存在だと最近は感じているのです。そんな友達めったに出会えないから、これからも大切にお付き合いしていこうと思います。

いただいたサポートは海外研修の参加費や経費に充てさせていただき、学んだことを日本の10代の子ども達のサポートシステム構築へと発展させていきたいと思っております。ご支援よろしくお願いいたします。