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座禅とマインドフルネス

昨日は月に1、2回参加しているお寺の座禅会に行ってきました。雪が降る中、50人くらいの方がいらしてました。

座禅とマインドフルネスの違いとは

座禅に行ったというと、座禅とマインドフルネスの違いは? とよく聞かれるのですが、大きな違いは座ることに目的があるかないかだと思います。

座禅は目的を持たずにただただ座ります。ひとつだけ目的として、アメリカで禅を広めた故鈴木俊隆師が著書の『禅マインド ビギナーズ・マインド』の中で「(背骨をまっすぐに伸ばした)正しい姿勢をとることが坐禅の目的です。この姿勢をとるとき、心は正しい状態にあります」と書いています。また浮かび上がってくる思考については、「座禅をするときは思考を止めようとしないことです。止めようとするのではなく、止めるがままにさせます」とあります。ただ、これは禅宗の中でも宗派によって違うようです。

一方、マインドフルネスでは、呼吸に集中する、思考や感情、身体の感覚をよく観察する等の目的がはっきりとあり、それらは観察し終わった後、自らの意思で手放します。また、それをすることによって、集中力を高めたり、ストレス軽減したりという効果も期待します。座禅ではお坊さんの言葉でガイドはないですが、マインドフルネスは様々なメディテーション方法があるので、インストラクターやアプリの声のガイドに従って行うことが多いです。

慧念寺住職さんに聞く「座禅と癒し」

3年ほど前にタレントのMEGUMIさんとジャマイカに住む自由人のOKAMAIさんが主催するFremagaというフリーマガジンの「癒し」という特集で、東京深川にある慧念寺というお寺の住職、前田宗嶽師のインタビュー記事を書かせてもらったので転載します。

座禅の時間は癒しの時間
「座禅をすることによって、静かな時間と空間を体験して欲しいと思ってます。そういう時間が持てることによって心のゆとりができますよね。社会人になられた方などは静かにじっとする時間などないと思うんですよ。学生さんも勉強や遊びで忙しいと思いますし。いつもみなさんに聞くんですが、1分でも静かにしてる人はほとんどいないですよね。静かな時間を持つことによって自分と向き合うというか。癒しの時間というんですかね」

呼吸を意識することで心が落ち着く
「座禅会に来ている人からよく聞くのは、座禅をするようになって、心にゆとりができたということ。物事を客観的に考えることができるようになったとも聞きますね。とにかく呼吸が大事なんです。昔から、緊張した時には深呼吸をしろとか言われますよね。呼吸を意識することで、いろいろ気づきますから。普段は座っている時でも、意外と背筋が曲がっているんですよね。姿勢をただすことによって、呼吸がしやすくなりますから、そうすると自然と心が落ち着いてきます」

雑念を取り除くにはとにかく回数を座ること
「仕事でも同じですが、はじめのうちは考えながら身体を動かしますよね。でも、ふと気づいた時は何も考えず勝手に身体が動く瞬間がありますよね。身体が動いて自然にこなしているという。座禅もそれと同じなんです。とくかく回数を座ることによって、だんだん自分の座り方ができてきますし、そうすると、自然と雑念がなくなる時があるんですよ。私も6年くらい経ってやっとそういう瞬間がありました。人間は動いている時の方が無心になるんですよ。静かにじっとしていると、いろんなことを考えてしまうんですね。これは、普通なんですよ。わしもお腹すいてるときは、何を食べようかなとか思いながら座ってますよ(笑)。でも、きちんと姿勢と呼吸ができて、すべてが揃うと自然と何も考えない瞬間がきます。修業時代に掃除とか托鉢を全部やめて1週間集中して座禅をする期間があるんです。年に6回ほどあって、とにかく自分を追い込んで行って、睡眠不足にするんですよ。睡眠時間がなくなるってことは、頭が動かなくなるんですね。頭が動かなくなるってことはモノを考えなくなる。そうすると自然とふっとそういう瞬間が訪れますね。今の時代の人はあまり身体を動かさないじゃないですか。頭を使う仕事で指先しか動かさない。そういう人は余計物事を考えてしまうんですよ」

座禅は自分のペースで
「座禅をするのに最適な時間や長さというのは特にないですね。とにかく自分のペースでやるべきって思っているんです。長さもいつするかも。座禅は自分に合った時間の流れの空間に身を置くってことなんです。ですので、人にどうしなさいって言われてやるものでもないんです。自分のためにやると思ってもらったらよいと思います。ですので、それがたった1分でもいいですし、10分でも1時間でもまちまちでいいと思います」

住職に教わる正しい座わり方

①まずは、座布団などの上に座ります(お尻に敷く座禅用のクッションがあると便利です)。足はあぐらでもいいですし、両足を太ももに乗せる結跏趺坐(けっかふざ)でもよし、片足だけ乗せる半跏趺坐(はんかふざ)でもよいです。痛くない座り方で。

②頭のてっぺんからお尻が真上から一直線に引っ張られるような感じで伸びをします。そうすると、若干胸が張ったような感じになります。胸を張るということは肺が広がっている状態で、呼吸がしやすくなります。真上に引っ張られると顎が上がるので、顎を少しだけひきます。

③次に肩の力を抜きます。決して背筋を丸めるのではなく、胸を張った状態から肩の力を抜きます。肩に力が入っていると呼吸ができません。

④手を組んで、目を半分閉じます。手は親指の先同士をくっつけて組むのがよいです(上写真参照)。半分目を閉じるのを半眼と言うのですが、目線は半眼で畳の一畳半前くらいに落とします。半眼にすると自然にそのあたりに落ちるかと思います。そして、腰をしっかりと入れて下さい。腰がしっかり入っている状態だと眠くなっても後ろには倒れません。腰が入っていると、眠くなるとまっすぐ前に倒れます。目は半眼ではなくて、完全に閉じてもよいです。手の組み方もそうですが、自分のやり方で結構です。

⑤呼吸は座禅の場合、口は使いません。鼻からゆっくり吸って、鼻からゆっくり吐きます。吸った分吐ききる感じです。それを繰り返します。おへその下10センチのところを丹田というのですが、ここにぐっと気を集めて呼吸をする丹田呼吸をして下さい。

⑥最後は心を落ち着けて、いろんなことが頭に浮かぶかもしれませんが、常にゆっくりと呼吸して下さい。

あらためて読んでみると丹田に気を集めて呼吸をするというのも、マインドフルネスとの大きな違いですね。

最後に私がお寺の座禅会に行く理由ですが、お寺の本堂の雰囲気が好きなのと、大勢の人と一緒だと集中して座れるのと、住職さんの法話が楽しみだからです。ネットで探すと座禅会を開催しているお寺は結構あるようなので、ぜひ一度座りに行ってみてください。