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十一番歌 時代を変えた、言葉に宿るエネルギー


十一番歌

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと
人には告げよ 海人の釣舟


参議篁


現代語訳:

これからたくさんの島を越えて
大海原に出発すると、
都にいる人たちに伝えてください。
漁師の釣舟よ。


*** *** *** ***


この参議篁(さんぎ たかむら)の本名は
小野篁(おののたかむら)といい、小野妹子の子孫にあたり
小野小町は彼の孫にあたるそうです。


六番歌の中納言家持もそうだったように、
「参議」という役職名を使っているのは、歌の内容に
政治的なメッセージが込められていると考えられます。


彼は遣唐副使に選ばれましたが、
2回連続で難に遭って航海に失敗し、
3度目は持病 (仮病?) を理由に乗船拒否。


それが元となって、隠岐に島流しの刑を被ります。


この歌は、その直前に詠まれたものだそうです。


そのような小野篁の経緯から、ここに込められたメッセージは、

「遣唐使を廃止せよ!」

「海人の釣船」は遣唐使船を暗示していて
そのように解釈できるそうです。

詳細は、引用元の以下の書籍をお読みください。


当時、唐は衰えてきて、
もう学べることもなくなってきていました。

そのような所に、命の危険を冒してまで
国内選りすぐりの優秀な人材を送るべきではない。
彼はそう思っていたのです。

実際、彼自身が2度も航海に失敗しています。

2度も命の危機に晒され、3度目にはさすがに
「こんなことを続けて意味があるのか?」
と身につまされたことでしょう。


そのメッセージを歌にして残したことで
彼の乗船拒否後の56年間は、遣唐使派遣が停止し、
藤原道真によって、遣唐使の廃止決定に至りました。


一人の人が詠んだ一つの歌が、
時代を変えるきっかけを作った。

そこには、彼の渾身のエネルギーが込められていたからこそ
制度を変えるに至らしめたのだと思います。


*** *** *** ***


「言葉に込められたエネルギー」と書いて思い出した、
個人的なエピソードをご紹介したいと思います。


数年前、私は自分のビジネスを始めようと試みていて
自分の殻を破らなくてはいけない場面に何度も遭遇し
不安や、自信のなさに度々襲われ、
眠れない夜を何日も過ごしていた時期がありました。


その時に、オンラインで、
あるビジネスコースを受講していたのですが
その講師の方の言葉には
いつもすごいエネルギーが込められていて
夢中になって聞いていました。


ある時、その講師の方が
音声講座のフォローアップメールに書いてくれた言葉が
心の奥底まで響き、その場で号泣してしまったのです。


その言葉だけ切り取って、ここに載せても
当時私が感じたそのエネルギーは伝わらないと思うので
あえて載せません。

(実際、コピペして挿入してみたのですが
なんだか陳腐な響きになってしまうので、
大切に取っておきたいと思います。)


何ヶ月もその講座を受けてきた経緯と
その時の自分の状況、心の状態、
そういった、いくつものタイミングが折り重なって

その言葉が、神様から頂いたメッセージかのように
稲妻の如く、心を直撃したのです。


当時乗り越えなければいけなかった壁を
越えさせてくれました。  


ビジネスの方は、私が至らなかったために
うまく形にできず、継続できなかったのですが  

その方は私の人生を変え、支えてくれました。


たった一人の人の歌が、
時代を変えるきっかけを作ることができ

たった一人の人の言葉が、
多くの人々の人生を変えることができる。


言葉には、そんな力がある。

言葉には、書いた人のエネルギーが宿る。


私も、こうして書く言葉には
良いエネルギーを込めて

たとえ読者がたった一人であっても、
読んでくれる人の幸せや、
より良い人生を願いながら書きたい。

そんな気持ちが更に強まりました。


最後までお読みくださり、ありがとうございます!


これを読んだあなたが、
あたたかな光に包まれるような毎日を
送ることができますように。

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