上質なファンタジーに飢えている人へ。「とんがり帽子のアトリエ」がその答えだ

 こんにちは!夫婦マンガ家の峯せいじの原作担当バナナです。マンガ家とか言って、最近マンガの紹介ばっかり書いてるじゃんという突っ込みはなしです。「生活に役立つマンガ」を毎日ツイッター(@mineseiji)で公開してますので、よかったらそっちも見てくださいね!

 今回紹介するのは白浜 鴎先生の「とんがり帽子のアトリエ」です。
「背景が繋がってて震える」と一時ツイッターで話題にもなったので、ご存じの方も多いと思います。

このコマの緻密な描き込みを見るだけで、並みのファンタジー作品ではないことがわかります。

どんな話?

 魔法使いに憧れる少女ココは過って母親を禁止魔法で石にしてしまう。母を元に戻すため、ココは魔法使い・キーフリーに弟子入りする。

どんな人が描いたの?
 作者の白浜 鴎先生は日本で唯一の国立総合藝術大学、東京藝術大学デザイン科を卒業後、フリーのイラストレーター、漫画家として「マーベル・コミック」の表紙なども手掛けた経歴(コミックス参照)からも、画力が圧倒的に高いことはうなずけます。

この作品のスゴイところ
 なぜ僕がこの作品を取り上げたかというと、ここ最近のファンタジー作品の中で断トツに、「登場人物や世界が確かに存在している」と感じるからです。

 ファンタジー作品の難しさの要因は突き詰めると1点、世界が「虚構」ということです。つまり創作ということですね。
 僕もそうだったのですが、マンガを描き始めの人はファンタジーを描きたがります。でも、うまく描けません。なぜなら、一つ設定を作るとそこから連鎖してどんどん設定を作っていくことになり作業が膨大で、しかも破綻なく作るのが難しいからです。
 例えば、「魔法」が存在している世界となると、魔法を人々がどう思っているか?魔法を使える人の身分は?と芋づる式に世界設定を作っていかないといけません。
 しかも作りこめば面白いかというと、そういうわけではありません。設定説明に尺を使われて話が進まなくて、つまらないという結果になったりします。

ですが、「とんがり帽子のアトリエ」はコツコツと丁寧にしっかりと世界を作った上で、
その世界を2つの魅力で余すことなく伝えています。
本当にスゴい!


スゴイ1:圧倒的画力
 言わずもがなです。緻密なタッチで仕上げた絵の力で読者を世界に引き込み、開始早々に世界観の説明をクリアします。

スゴイ2:魅力的なキャラクター
 魔法使いに憧れるココをはじめ、魅力的なキャラクターが生き生きと描かれています。彼女たちが動き回ることで、読者は世界を理解でき、世界があるから彼女たちも輝くという好循環が起きています。

「ありがとう」を連発するココの同居人テティア。このコマだけで気持ちが明るくなる。

まとめ
 圧倒的な画力によって支えられたファンタジー世界、そして生き生きとしたキャラクターたち。特に主人公のココは明るい性格で、読んでいると元気になってくるので、オススメです。
 明るい本格ファンタジーが読みたい人はぜひ一度読んでいただければと思います…!

 

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