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なぜ君は物を読まないのか

自己紹介


皆さん初めまして、Minest110という名前でMOをやっている みねすと(@MinestMoja)と言う者です。MTG歴はラヴニカへの回帰~テーロス期からで、晴れる屋さんでデッキテク( https://article.hareruyamtg.com/article/article_4732/ ) を取り上げていただいたり、前回のレガシー神挑戦者決定戦でtop8に残ったりするなどが主な成績でした。そして先日にレガシー自作デッキでMOのMC(プロツアー)予選で優勝することができ、念願のMCの権利を手に入れることができました。今回は優勝したデッキができた経緯とデッキの解説をしていきたいと思います。

デッキ制作の経緯


親和復活


話はモダンホライゾン2発売に遡ります。2020年1月、モダンで《王冠泥棒、オーコ》等と共に《オパールのモックス》が禁止されてしまい、愛用していた親和が大幅な弱体化を受けてしまい、デッキとしては存続が不可能になってしまいました。この改定は当時流行していたウルザフード等の《最高工匠卿、ウルザ》を使用したデッキを抑制するためでしたが、親和を好んで使用していた私は当時枕を涙で濡らしていたのを今も覚えています。


しかし、いくら嘆いてもモダンに 《オパールのモックス》 は帰ってきません、それならと下の環境、つまりレガシーで使えないかと考えました。
ですがモダンの親和をレガシーにするには問題がありました。
それは圧倒的なカードパワー不足です。


モダンにおける親和の強みは《オパールのモックス》や《バネ葉の太鼓》をからめた加速力と他のデッキを寄せ付けない展開力にありました。それを《信号の邪魔者》や《鋼の監視者》、《頭蓋囲い》によって打点に変換し、安定して4ターン目にゲームに勝つ、というのが当時よく見られたパターンです。しかし、レガシーをプレイしている方にはご存じの通り《暗黒の儀式》や《水蓮の花びら》などといったモダンには許されないスピードのマナ加速や、《実物提示教育》、《むかつき》、《最後の審判》など1枚でほぼ勝ちといったコンボが大量にいます。

《頭蓋囲い》 も 《電結の荒廃者》もレガシーのスピードには間に合わず、 《思案》《渦まく知識》を有するデッキと比べると青いカードが少ないため《意志の力》 も取れず、コンボに弱く、ほかのデッキ対策で入れたアーティファクト対策や除去についでに対策され、《不毛の大地》にマナベースを破壊される。《虚空の杯》や《アメジストのとげ》などで対策するには自分にも効果的な置物ばかりであり、スピードがますます下がってしまうジレンマを抱えていました。
弱点だらけの鉄屑の塊。悲しいですがこれが事実でした。

そんな自分がモダンホライゾン2前に使っていたアーティファクトデッキはこちらになります。

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上記のデッキはカーンエコーと呼ばれるタイプのデッキで、ある意味今回のデッキの前身です。デッキコンセプトとしては 《船殻破り》 を出し 《ライオンの瞳のダイアモンド》 からマナを出し、 《永劫のこだま》 を唱え、相手の手札を0枚にし、自分は手札を7枚補充し7マナ加速するコンボをメインに据えたコンボとストンピィの相の子のようなデッキです。

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このデッキは強かったです。しかし自分が使いたい親和とは少し違うと思っていました。

しかし、モダンホライゾン2で事情は変わりました。

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打ち消されず、良スタッツのトークンを生み出し、デッキからアーティファクトをサーチする《ウルザの物語》

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《リスティックの研究》のような能力を持つ《エスパーの歩哨》

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《物読み》に足どころか翼が生えた《思考の監視者》

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《きらきらするすべて》に細菌が付いた《イラクサ嚢胞》

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モダホラ2すげぇ……

モダホラ2の圧倒的カードパワーを有する新規カードのおかげで、レガシー親和はついに完成しました。上記のリストはモダンホライゾン2発売した週のレガシーチャレンジで自分が優勝したリストです。

環境は 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 と 《濁浪の執政》 、 《ドラゴンの怒りの媒介者》 を有したURデルバーが最大勢力になるのは目に見えていたので、有利に組んであるこのデッキは本当にかみ合いました。
また、WUGコントロールは 《ウルザの物語》 の存在だけで有利になれました。

しかし、レガシーでもモダンでも親和が勝つと起きることがあります。

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メ、メ、、、メルトダウン????????????????


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メタられました。こんなん打たれたら勝てません
 《溜め込み屋のアウフ》 、 《無のロッド》 の採用も増え、また環境の端っこに追いやられました。

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《ウルザの物語》の弱点

しかし私もめげずに色々なデッキを作りました。
 《ウルザの物語》 を置いて 《行き詰まり》 を置く、簡単なデッキです。(このデッキはその後調整を友人に全部丸投げをし、その友人が神レガシーでtop8に入ってくれました)

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カーンエコーのアップデート

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親和のアップデート

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紙でのMTGができないこともあり、5‐0回数もそれなりに重ねましたがそれと共にマンネリもしていました。


上記のデッキすべてに入っている《ウルザの物語》 はとても強いです。しかし《ウルザの物語》のトークンのパワーを上げようとするとデッキの茶色成分が増え、サイド後弱点だらけになる。かといってWUコントロールのような普通のデッキに入れるとトークンのパワーもそんなに出ず、無色土地で事故が起きる。そんなジレンマを抱えていました。

出会い
そんなある日、気分転換にあるヴィンテージのデッキを回しました。

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0マナアーティファクトをばら撒き、8投の2ドロー呪文とぶっ壊れP9スペルでデッキを回して 《ウルザの物語》 から 《多用途の鍵》 を持ってきて《Time Vault》で無限ターンを獲得するデッキです。
このデッキは本当に強くて感動し、「《物読み》 連打して 《意志の力》 構えて 《ウルザの物語》 置いてぼーっとしてるだけで勝てるなんてこのゲーム簡単だなぁ」とさえ思いました。

閃きました。
このリストが今回優勝したデッキのver.1.0です。
なんかリーグ15-0して笑いました。

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下記のリストでも15-0して(島が増えてサイドをいじりました。)

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最終的に
今回の優勝リストに落ち着きました。

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では、本題のデッキ解説に行きたいと思います。


メインボード解説


このデッキの本質はクロックパーミッションに分類されるデッキです。 《ウルザのガラクタ》  《ミシュラのガラクタ》 の2種のガラクタ、《オパールのモックス》 《水蓮の花びら》 《ライオンの瞳のダイアモンド》 の3種のマナアーティファクトを駆使し、《物読み》 《思考の監視者》 《湖に潜む者、エムリー》 を早期に唱えることでアドバンテージを稼ぎ、《意志の力》 を構えながら《練達飛行機械職人、サイ》 でトークンを展開、《ウルザの物語》 を打点に変換しながらに展開、そのまま押し込んでいきます。リソースが切れた段階で《永劫のこだま》 を《ライオンの瞳のダイアモンド》 経由で唱え、さらに展開を続けていきます。


このデッキにはカーンエコーのような理不尽ムーブも無く、愚直に対戦相手のライフを削る以外の勝ち方は存在しません。なので引きこもられると勝てません。
しかしこのデッキはひたすらに軽く、テンポ面で相手を圧倒していきます。

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画像は2t目アップキープの盤面です。《永劫のこだま》 が絡んではいますが、けして稀有な例ではありません。頻出します。

ここからはメインボードの採用カードについて解説していきます。

《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》4枚

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アーティファクトデッキにのみ許された《夢の巣のルールス》です。生き残るターン数に比例してアドバンテージを取り続けるデッキのメインエンジンであり、忌まわしきエルドレインの生き残りです。環境の白除去が《虹色の終焉》に移行され、マナコスト3が明確にメリットになっており、1tに積極的に出したいカードです。
しかし、どこまで行ってもタフネス2の青いクリーチャーなので生き残ったらラッキーくらいで行きましょう。

《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》4枚

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アーティファクトを唱える度に1/1の飛行の飛行機械トークンを生成するこのデッキのサブフィニッシャーであり、《僧院の導師》や《若き紅蓮術士》の親戚です。
デッキのアーティファクトが基本0マナであるため、《練達飛行機械職人、サイ》を唱えてからラグ無しでトークン生成ができる点はこのデッキの明確な利点です。タフネスが4あるのも大変ありがたく、トップデッキであるURデルバーにはメインから除去できるカードは《邪悪な熱気》だけですのでほぼほぼ生き残ります。

《思考の監視者/Thought Monitor》4枚

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《物読み》に翼が生えた生物です。下振れの《Ancestral Recall》より強いです。7マナとかなり重めですが、このデッキの場合は2t3tにキャスト可能であり、自身により後続がどんどん軽くなっていくため、《物読み》と合わせてかなりの確率で連打が可能です。墓地に落ちると《湖に潜む者、エムリー》から唱えることが可能なので、対戦相手に《湖に潜む者、エムリー》とこいつがいる場合は、《湖に潜む者、エムリー》が死ぬまでは絶対に殺さないようにしましょう。

クリーチャーは以上の3種12枚のみです。

《オパールのモックス/Mox Opal》4枚
《水蓮の花びら/Lotus Petal》4枚
《ウルザのガラクタ/Urza's Bauble》4枚
《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》4枚
《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》4枚

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0マナのアーティファクトが5種20枚採用されています。デッキのあらゆるカードがアーティファクトの頭数に依存しており、正直これでも足りません。ガラクタは盤面に展開しつつ最終的に手札枚数は減らないため大変強いです。《オパールのモックス》の2枚目以降や《水蓮の花びら》の単体カードパワーは大変低いですが、最終的なリソースの回収は見込める為採用しております。《ライオンの瞳のダイアモンド》は単体最弱ですが、コンボパーツの為採用しました。

《改良式鋳造所/Retrofitter Foundry》1枚
《影槍/Shadowspear》1枚

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《ウルザの物語》からのサーチ先です。1マナのアーティファクトは連打しにくくあまり採用はしたくありませんが、この2枚は別格です。《改良式鋳造所》はロングゲームになってしまった際に単体で盤面を展開でき、《影槍》は《ウルザの物語》から生成された構築物トークンに装備することにより、ダメージレースを崩壊させます。あと、《練達飛行機械職人、サイ》のトークンは飛行機械トークンなので、《改良式鋳造所》で4/4の構築物トークンに変換できます。

アーティファクトは以上の6種22枚です。

《物読み/Thoughtcast》4枚

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強欲な壺です。1マナ2ドローが強いことは今更語ることではありません。同じ役割のカードが8枚採用ができると再現性が上がるという話はMTGにおいてよくある話ですが、2ドローが8枚あるとリソースの息切れがしにくく、《意志の力》を構えやすいと言ったメリットが多発します。それでもあなたは《思案》を打ちますか?なぜ君は物を読まないのか。

《意志の力/Force of Will》4枚

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言わずもがなレガシーの最強打ち消しにして、デッキを青くする理由でもあります。従来アーティファクトデッキは青いカードのパワーが低く、また枚数も取れず、安定して打つことが叶いませんでした。しかし、この度《思考の監視者》の登場により、青いカードを一定数積みながらパワーを落とさずデッキの軽量化が達成されました。

《永劫のこだま/Echo of Eons》4枚

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通常では6マナと大変重いですが、フラッシュバック時に《Time Twister》と同等の効果を発揮します。《ライオンの瞳のダイアモンド》と合わせて使用するとラグがなく、即時に7枚引くことができます。デッキが軽量なため、手札のカードを全て盤面に展開した後に唱えることで仮に《意志の力》で消されたとしても、《ライオンの瞳のダイアモンド》と《永劫のこだま》との2:2交換で済み、通った場合は自分だけ盤面にカードを展開した状態で7枚再装填されます。連鎖が発生すると1t目に実質勝ちの盤面を構築することが可能です。なお、サイド後はよく抜けます。

《ウルザの物語/Urza's Saga》4枚

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メインフィニッシャーです。打ち消されずに戦場に出るくせにトークンの平均サイズが5/5を超えていきます。具体的には

1t《ウルザの物語》 セットエンド。

2t《古えの墳墓》 で起動しトークン生成。

3t目にもう一回起動、《影槍》をサーチ、土地と《オパールのモックス》 を唱えて構築物トークンに装備。

この動きをするだけで5/5絆魂トランプルが殴り始めることができます。そこに《練達飛行機械職人、サイ》 や《永劫のこだま》 が絡むとサイズが10/10を超えることも容易であり、《意志の力》 を構えながら戦闘するだけで勝つマッチアップも多数存在します。《不毛の大地》 以外でスマートな解決は無く、構築物トークンに除去を打たれたとしてもその時点でアドバンテージの差が発生します。
間違いなく最強のカードです。

《教議会の座席/Seat of the Synod》4枚
《古えの墳墓/Ancient Tomb》4枚
《冠雪の島/Snow-Covered Island》2枚

数合わせです。冠雪の島である理由は特にありませんので好きな絵柄の島を使いましょう。

以上がメインボードの解説になります。


《最高工匠卿、ウルザ》はデッキにあまりかみ合わず、マナコストが重く、唱えることが困難であるため、採用を見送りました。

《虚空の杯》は唱えるには重く、また環境的にそこまで率先して置きたいカードでもありません。デルバーには確かに効果的ですが、《虹色の終焉》の登場もあり、他のマッチアップにおいて効果的に使用できるマッチアップは実は少なくリターンは少ないと判断しました。

他にも採用圏内のカードは多数ありましたが、このデッキの自由枠があまりにないため、現在の形におちつきました。

サイドボードの解説及び各マッチアップのサイドインアウト、小テク等がこの後続きますが、MOPTQで勝ち、生意気になっていますので、ここから先は有料記事とさせていただきます。
皆様の購入お待ちしております。

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