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常に走り続ける自転車ウェアメーカーの社長にインタビュー

 今回私たちはサンボルト株式会社に伺いインタビューさせて頂きました。サンボルト株式会社は主にサイクルウェアの開発販売を行う企業でオーダーサイクルウェアを高品質で安価に制作する事を売りとしています。数多くの強豪ホビーレーサーに愛用されており、近年オーダーサイクルジャージの業界において急速にシェアを拡大している企業です。

インタビュー

Q.「創業時、なぜ自転車のウェアに注目されたのでしょうか?」

A.「まず私の経歴から語ると、大学卒業後最初の就職では問屋さんに就職し、流通を学びました。しかし、私の性格上自分の作った商品を売りたいと感じるようになりメーカーで働きたいと思うようになりました。そして次に印刷会社に転職し、結果としてそこで発色のことなどについて学んだことが今の仕事のヒントとなりました。印刷会社では液晶画面の集光パネルを作り、それを中国や韓国、そして台湾などに販売していました。その時に台湾に駐在することになったのですが、台湾では自転車熱が高く、私もマウンテンバイクを購入し自転車に触れることになりました。それからロードバイクに乗るようになり、自転車仲間が増えて、14,5年前に仲間内でチームジャージを作ろうということになりました。色々なメーカーの見積もりをとってみたのですが、どこも日本のメーカーはかなり高額であることに疑問を感じました。当時、繊維についての知識も持っており、これは自分でもできるのではないか、と思ったことがサンボルトの始まりでした。初期の品質は良くない時があったが、自転車乗りのフィードバックを受けて今の高品質と呼ばれるような品質へ改善していきました。噂で広まって国内の強豪選手が着たいと言ってもらえるようになりました。研究機関を持った大きなメーカーではないですが、強豪選手や社員が自分たちのフィードバックで高品質の製品を実現することができました。」

Q.「サンボルトの強みについて教えてください」

A.「競技志向の人の為のレース仕様の製品、またそれ以外のファンライド志向の人たちにも気軽に来てもらえるような値段帯で品質の良い製品を作るのが強みであると感じています。

強い人が良いと言っているから良い製品と必ず言えるとは言い切れないですが、ホビーレーサーには契約の縛りがない中でサンボルトを選ぶ選手が多いのは説得力のある評価基準だと思います。」

サンボルトの新製品。強豪レーサーのフィードバックを受け、サンボルトの製品は常に改良が続けられている。

Q.「業界の今後の動向についてはどのように考えていますか」

A.「自転車業界は自転車が好きな人という限られたパイの中で戦わないといけません。ですので、そこのパイを増やしていく努力はしていかないといけないと考えています。サンボルトは学割などで自転車を続けてくれる学生を増やしていく努力をしています。」

Q.「創業時に苦労したことはありますか」

A.「当時、ウェアは作れるけどどうやって売るかがわからなくて、自転車ショップに足繁く通い交渉しました。何回も品質改善して受け入れてもらえるようになりました。そこは本当に気合いでしたね。気合いで商売しろとは言いませんが、商売するのには体力がいるし、粘り強くするのがすごく大事です。そういった気持ちはどんな仕事でも一緒だと思います。」

Q.「経営をしていく上で大事にしている事を教えてください」

A.「動きを止めない事を意識しています。出来るだけ他社の動向を観察したり強み弱みを見ながら常にアイデアを考えたりしています。例えば、自転車の練習中でも自分のウエアの動き、着心地、汗はけ、パッドが大丈夫か、など考えています。

あとは、バランス感覚を常に持つように意識しています。例えば商品開発においては新しい商品のアイデアの発想などの攻めの部分と今の商品の改善などの守りの部分のバランスや、自分本位にならないように客観的意見を取り入れるなどしています。」

Q.「橋本社長は営業出身で起業されたという事で、学生の中には営業志望の学生も多いかと思います。そういった学生に対して何かアドバイスいただけないでしょうか。」

A.「営業の仕事は言葉が大事です。特に海外で仕事するなどの場合外国語は自分でももっと勉強しておけばよかったなと振り返って思います。通訳を通していても最後に決断する時はやはり自分で言わないといけませんから、ニュアンスをきちんと伝えるためには自分で勉強して言語を習得しとくべきだと思います。

語学は頭の良さを超えると思います。守るものがない時にどんどん外に出て仕事に生かして欲しいです。」

まとめ

 今回、橋本社長にお話を聞かせて頂き、1つ感じることがありました。それは、経歴を振り返っていった時に色々な経験が繋がっている方だなという事です。問屋での経験、営業の経験、海外での経験、発色の知識、趣味の自転車など一時間のインタビューの中だけでも様々な経験が生かされていることを教えて頂きました。これは私たち学生がキャリアプランを考えていく上で参考になることではないでしょうか。橋本社長のようにエネルギッシュにバランス感覚を持って色々な事に挑戦していく事が後々に生かされるのだと思いました。