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わたしのお金返してよ 〜戻ってきた詐欺師〜

6月にわたしを騙した自称中国北京出身の詐欺師が戻ってきた。

8月18日、あの詐欺師がLINEの送信を取り消した通知が表示された。
6月中旬に連絡がつかなくなって、6月25日に諦めて以来、2か月ぶりだ。
正直、こいつが存在していたことをわたしは既に忘れていた。「まだ生きてたのか」と思ったので、まんま“你还活着呢”と返信した。
すると詐欺師曰く
「僕がいないほうがいいのか?」
「もし君が僕に死んでほしいなら、そうさせてもらうよ。」
「僕たちは話をすべきだと思う」

実際のLINEトーク画面

いや、死んでくれとまでは思ってない。
ていうかお前、死ねと言われて死ぬようなタマじゃないだろ。
今さら何の話だよ。いなくなったのお前じゃん。

ともあれ話をしてみよう。お金を取り戻すチャンスかもしれん。

わたし「なんでこんなに長い間連絡くれなかったの?」
詐欺師「用事があって帰国してた。中国ではLINEを使えない」
へえー。お前、6月時点ではお盆以降に長期休暇取って帰国して中国のお母さんに会いに行くって行ってなかったっけ?既にシナリオ変わってんな。
詐欺師「僕たちが最後に話をしたあの夜、僕たちの道は分かれたと思った。僕たちの考えは違いすぎているから一緒にはいられない。僕は、時間が経てば忘れられると思った。だけど僕は間違っていた。まだ君を忘れられない」
ああそうですか、と思ったので、これもまんま「そうですか」と言った。

彼は2か月の空白の穴埋めをするよというようなことを言いかけたが、わたしはそんなことよりお金を返してほしかったので、本題を切り出した。
わたし「知ってる?Cryptoのサイト壊れたの。お金を引き出せなくなった。わたしはあなたとお金を失った」
詐欺師「そうだ、Cryptoは今は劣悪だ。僕はまだ投資をしている。君は僕を失っていないし、お金も失っていない。しかも金を稼ぎ続けることができる」
わたし「勝手にして。お金を稼ぎたいなら自分のお金で投資すればいいでしょ。わたしは二度とやらない」
詐欺師「わかった。でも僕は、君の金を取り出してあげたい」
わたし「出金してくれたら嬉しい」
詐欺師「もちろん出金できる。だけど、先に少し資金を用意して自分の口座をアクティブにしないといけない」

何をいけしゃあしゃあと。口座を使えるようにするために資金が必要?どういう理屈だ。どうせそうやってまた騙し取るんだろ。

わたしはこいつの詐欺の手口を知っている。わたしは、彼がわたしに紹介したCryptoのサイトが偽物であること、本物とはドメインが違うこと、本物ならサイト上ではなくCrypto公式アプリでしか取引できないことを説明した。

詐欺師「僕が解決するから安心してくれ」
わたし「信じない」
詐欺師「一週間くれ。解決するから」
なるほど。偽アプリを開発するのに一週間かかるんですかね。
詐欺師「もし解決できなかったら僕が自分で君にお金を渡すよ。あの程度の金は僕にとっては何でもない。もし僕が君の困っていることを解決したいと思っていなかったら、なんで君に連絡なんかするもんか」
あーそうでしょうね、あなたがたは大金を稼いでいらっしゃるから、わたしの203万くらい小銭みたいなもんでしょうね。
わたし「じゃあ先にわたしにお金を貸してよ。あなたはわたしに投資させたからわたしはお金を失ったんだよ。どうやってわたしのお金を取り戻すって保証するつもり?」

わたし「あなたの在留カード偽物だよ。在留資格が記載されてるはずなのに、あなたのカードのは職業名が書かれてた」
詐欺師「もし偽物なら、僕はどうして日本でずっと生活できてるんだ?しかも日本の会社で」
わたし「嘘つかないで」
詐欺師「もし僕が君を騙しているなら、僕はどうして君に連絡してるんだ? 僕が病気なのか、君が病気なのか? 騙した相手に連絡を取り続ける詐欺師がどこにいるんだ」

意訳してます

わたし「どこに? ここにいるよ。あんたたちのことだよ」
詐欺師「謝れ。なんで僕が詐欺師だなんて言うんだ」
わたし「あんたたち何人でやってるの? わたしとチャットする係、あのサイトを作る係、偽CryptoのLINEを管理する係、あとは?」
詐欺師「謝れ。損害は君だけじゃない」

「騙していない」と主張する詐欺師

わたし「あんた頭良いんだし、お金稼ぐ能力あるんだし、この上何が必要なの?」
詐欺師「僕の頭は悪い。金を稼ぐことに関してはまあまあだろう」
わたし「あんたお金持ちなんじゃなかったっけ? 楽しく暮らせるでしょうよ」
詐欺師「僕の生活は楽しくない。金は僕にとって単なる数字だ」
数字追ってるだけなんだー。虚しい人生だねー。
でもこういう詐欺集団の中には、毎月ノルマを課せられて、達成できないと罰を受ける場合もあるらしいから、あながち嘘でもないのかもね。
わたし「(お金があるなら)旅行にでも行けばいいじゃない。(金の力で)綺麗な女の子に会うことだってできるでしょ」
詐欺師「なんでそんなに優しいんだ。僕にそんなふうに接しないでくれ。何か錯覚してしまうから」
どうとでも勝手に錯覚してください。ていうかわたしのどこが優しいんですかね。

わたし「別に何の問題もないよ。どうせわたしたち会うことはないんだから」
詐欺師「そうとは限らない。君に会いにカナダまで行くとも限らない」
わたしはこの日、カナダのトロントではないけど、トロントと同じ経度の場所にいた。場所を説明するのが面倒だったのでトロントにいると説明してあった。
わたし「じゃあ今日会いに来てよ。あなたの心にあるものを証明してよ」
トロントはこの時点では朝である。
詐欺師「今日?」
日本はこの時点では既に夜である。
しかし、わたしはトロント時間のつもりで「今日」と言っている。
詐欺師「本気か?」
わたし「他にわたしを信じさせる方法があるの?」
詐欺師「ない。君は今、僕が何をしても信じないだろう」
なるほど。うまく逃げたな。これでわたしに会いに来る必要はなくなった。

わたし「こないだあなたが消えたとき、失望した。わたしがほしいのは現実であって幻想じゃない。誰が幻想と結婚するのよ」
詐欺師「君の変化が僕は嬉しい。君は大人になった」
わたし「ネットでは伝えられない思いってあるでしょ。だから現実で付き合うことが必要なのよ。わたしたちは会ったこともなければビデオ通話したこともない。これは現実の恋人じゃない」
詐欺師「じゃあ僕たちのあの美しい思い出は?」
わたし「夢でしょ」

彼が1か月かけてわたしに信じさせた愛が崩壊した瞬間

わたし「あなたは現実には存在しないのよ」
詐欺師「僕は現実に存在する」
わたし「わたしの生活の中には存在しない」

僕は存在すると主張する詐欺師

すると詐欺師は唐突に「声が聞きたい」と言い出した。
わたし「なんで?」
詐欺師「なんでじゃない。急に聞きたくなったんだ。嫌ならいらない」
たぶんロマンチックな方向に持っていきたかったんだろう。でもわたしはロマンスに興味がない。彼としても、別に本気で私の声を聞きたいわけではないはずだ。恋愛シナリオに軌道修正しないと彼は会話ができないだけなのだ。

わたし「あなたの顔写真はよく撮れてる。いつ撮ったの?」
詐欺師「去年の夏だ」
わたし「どこで撮ったの?」
詐欺師「家の中で撮った。どうした?」
わたし「AIで作ったんじゃないかと思って」
詐欺師「そんなわけないだろ。君はまだ朝ご飯を食べていないんじゃないか? 僕はここにいるから、食べておいで」

気遣っているふりをして逃げようとしているようにしか見えない。

わたし「あの写真の男性はカッコいい。彼と寝たい」
詐欺師「あれは僕だ」
わたし「あなたは彼を演じてるだけだよ」
詐欺師「言っただろ、あれは僕の写真だ」
わたし「彼は一つの役だよ。彼は存在しない」
詐欺師「僕たちの約束をまだ覚えてるか?」
わたし「覚えてるよ」
中国では夫婦は一緒に寝るのが常識なので、わたしが先に寝る時は彼が寝るためのスペースを空けておくという約束だ。

ロマンチックな記憶を蘇らせようとしてる詐欺師

わたし「でもあなたは彼じゃない。わたしが寝たいのは彼」
詐欺師「外見はそんなに大事か?」
わたし「当たり前でしょ。他人の写真を使って騙していいとでも? あなたのやってることは詐欺だよ」
詐欺師「なんでそんなことを言うんだ」
わたし「だってあなたはわたしを騙したから」
詐欺師「僕は君とちゃんと話したいだけだ」

詐欺師「話し合いたい」
わたし「じゃあ、わたしを騙してないって証明してよ。わたしのお金返してよ。それで初めてわたしの信用を得られるのよ」
詐欺師「さっき言っただろ、君の資金の問題は僕が解決する。少し時間をくれよ。僕と喋る時に金の話をしないでくれないか? 雰囲気がぶち壊しだ。話したくても話す気が失せる」
そりゃそうだろう。わたしは最初から彼と楽しいおしゃべりをしようなんて思ってない。わたしはお金を返してほしいだけだ。

わたし「本物のCryptoはこのURL、偽物はこのURL、この二つの組織は別物。わたしのお金は偽物のほうに盗まれたの」
詐欺師「言っただろ、僕が解決するって」
わたし「あなたはきっと、わたしにお金を払わせて解決しようとする。でもわたしは払わないからね」
詐欺師「考えすぎだ。もう1円も要求しない」

あ、言ったな? お金を払わせないって言ってしまったら、あんたらの商売上がったりなんじゃないの?

詐欺師「君はもう僕を全く信用してないのか?」
わたし「もしあなたがわたしのお金を取り戻してくれたら、関係を考え直してもいい」
詐欺師「本当か?」
わたし「本当」
詐欺師「信じてもいいか?」
わたし「いいよ」
詐欺師「じゃあ君は僕を信じてくれるか?」
わたし「わたしのお金が戻ってきた後なら信じてあげる」
詐欺師「時間をくれ。いいか?」
わたし「もちろんいいよ」

詐欺師、嬉しそう。この先のシナリオ展開が見えたのかな?

詐欺師「ありがとう。君はやっぱりいい人だ」
わたし「あなたもいい人であることを願ってるよ。信頼に値する人間であることを」
詐欺師「ありがとう。でも君に警告しておくよ。今後は誰にでも善良にしてはいけないよ」
何言ってんだこいつ。「わたしのお金が戻ってきた後なら信じてあげる」のどこが善良なのかわからない。

詐欺師「君は善良だから僕を信じてくれる」
わたし「わたしはあなたを信じてないよ。誤解しないで」
詐欺師「君は善良だから騙される。君が僕を信じてないのは知ってる」
わたし「あなたがどうやってわたしの信頼を勝ち取るのか、楽しみにしてる」
詐欺師、メッセージの送信を取り消す。
わたし「なんで取り消すの」
詐欺師「君はまだ見てないかと思った」
わたし「見たよ」
詐欺師「今トロントはまだ朝早いんじゃないのか? こんなに早起きして、今日何か予定があるのか?」

わたし「あなたとチャットしたいの。あなたが何を言うのか興味があるから」
詐欺師「僕も君とチャットしたいけど、何を言えばいいかわからない」
詐欺師、恋愛シナリオから外れると台詞がわからないらしい。可笑しい。
困った詐欺師、話題を変える。「最近、好きな歌はあるか? なければ僕が紹介するよ」

詐欺師「君と何を話せばいいかわからなくても、僕はやっぱり君と話したい」
恋愛シナリオから外れて、わたしにお金を払わせないと約束して、圧倒的不利な状況でわたしと連絡を取り続けるメリットが皆目わからない。しかし、連絡を取り続けることで金づるを維持しようとしているのだろう。
わたし「わたしとチャットしたいと言い続けることがあなたの方法の一部なのね」
詐欺師「何でも悪いことに結び付けるのはやめてくれないか。僕と話したくないなら僕を削除すればいいだろう」
わたし「あなただって悪いことの方へ結び付けたじゃない。わたしは善良だから騙されるって。わたしはもう二度と騙されないよ」
詐欺師「最後にもう一度言う。僕は君と話したいだけだ。この話を続けるなら僕を削除してくれ」
わたし「わたしはあなたと話したい(だってお金返してほしいから)。あなたがわたしと話したくないなら、わたしのメッセージを見なければいい」
実際、6月中旬から2か月もの間、わたしは完全に無視されていたのだ。彼はわたしのメッセージを見ないという選択が可能なはずだ。

わたし「前に、お母さんがわたしに会いたがってるって言ってたけど、お母さんはわたしたちのこと知ってるの?」
詐欺師「知ってる。どう言えばいいかな、ちょっと説明しづらい」
そりゃ説明しづらいでしょうね。架空のお母さんだもんね。
わたし「お母さんはわたしたちがネット恋愛してたことは知ってるの」
詐欺師「知ってる」
わたし「あなたがわたしと別れたことは?」
詐欺師「僕たちの今のことは知らない。病気だから何を言ってもわからない。脳梗塞で、自分で生活できない」
あらら、お母さん病気になってしまった。しかも脳梗塞。架空の世界って何でも起こるな。

詐欺師「僕は一生結婚しない」
わたしと結婚したいとか言うつもりか?
詐欺師「君は良い人を見つけて結婚すべきだ。僕は良い人間じゃない」
自分は良い人間じゃないって認めちゃってるよ笑
わたし「わたしのことまだ好き?」
詐欺師「君をまだ好きかどうか自分でもわからない」
恋愛シナリオ放棄してる笑

でも詐欺師はロマンチックな方向に軌道修正しようとして、「ハニー」とか恋人に呼びかける時に使う中国語でわたしを呼んだ。
わたし「もう恋人じゃないからそうやって呼ばないで」
詐欺師「あなたの声が聞きたい」
わたし「ダメ」
詐欺師、送信取り消し。「言わなかったことにしてくれ。僕は精神病なんだよ、いいか?」
何だ精神病って。またそうやって同情買って気を引こうとする。

わたし「どういう精神病なの?」
詐欺師「こういう精神病は治るかどうかわからない。僕は永遠に治らないことを願ってる」
わたし「永遠に治らないことを願ってる?」
詐欺師「もしかしたら、ひょっとして、そんなところだ」
意味がわからない。まあ病気が治ったら同情してもらえなくなるもんね。そりゃ治らないほうがいいわね。
そして詐欺師、中国語の歌を勧める。

仕方ないので勧められた歌を検索して聴いてみた。
わたし「聴いたよ。ロマンティックでセンチメンタルだね。これ、あなたの気持ちなの?」
詐欺師「違う。僕はこういうセンチメンタルな歌が好きなだけだ」
わたし「昔の恋があなたを病気にしちゃったのかと思った」
詐欺師「君はいちいち僕をコケにしてくるな」
AIかと思うくらい機械的にロマンチックな台詞を垂れ流していた人物とは思えない人間的な一面。こいつAIじゃないんだ。なんか嬉しい。詐欺師の素顔なんてそうそう見れるもんじゃない。楽しい。

詐欺師「君の資金問題を解決した後は、僕が君に与えた傷を別の方法で埋め合わせるよ。自分を大切にしてくれ」
わたし「別の方法って何?」
詐欺師、スタンプで示す。
死ぬな。わたしのお金返してよ。
わたし「意味ないよ」
詐欺師「ありがとう。でも僕が決めたことを変えられる人はいない。この世界は僕に合ってない」
何のことだ。社会不適合で苦しんでるフリして同情を誘う作戦かよ。

でも、詐欺集団で活動している場合、詐欺に失敗すると上の人に虐待されることもあるらしいです。だからこいつの言ってることは本当なのかもしれません。本当に死んじゃうのかも。

ともあれ「一週間くれ」と言われたので待ちましたが、今のところ、お金は戻ってきてませんし、連絡もありません。

彼は、2か月もわたしを放置しておいて、わたしが変わらず彼を愛しているとでも思ったんですかね?
でもこの方法で成功した経験があるから、わたしにも同じ方法で仕掛けてきたんでしょうね。

警察に相談してもまともに話を聞いてもらえないとか、被害届を受理してもらえないという話をよく聞きますが、わたしは幸いにも過去の事例を教えてもらったり、犯行の詳細を解説してもらったり、今後どういうことに気をつけるべきか教えてもらえました。

あとは、中国人の友人たちが詳しく分析してくれたので、彼らの手口をかなり理解できました。

中国語ネットワークで調べたところ、連中は「精神的に不安定で、年齢がやや高めの独身者」を狙っているそうです。
まさにわたしじゃーん笑

それにしても詐欺師ってシナリオ設定から外れたことされると弱いんですね。案外、頭悪い。

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