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とある理系による公認会計士試験 合格体験記 〜前編〜

 この記事は、物工/計数 Advent Calendar 2023 19日目の記事です。この記事は数学とも物理とも情報とも関係がありませんが、よろしくお願いします!

 初めまして。人生初ブログです。
 今年度の公認会計士試験に合格したので合格体験記なるものを書いてみようと思います。公認会計士って何?っていう人でも読めるように書いたつもりです。
 未来の受験生の少しでも参考になれば幸いです。各科目別の勉強法を知りたい!!という方は後編の記事をお読みください。


はじめに(自己紹介)

 工学部計数工学科数理情報工学コースB3の眩む図(X(旧Twitter)です。
 応物学科とは思えない資格を取得したわけですが、このnoteではそもそも何で取ろうと思ったのか、応物学科に行きながら、どう勉強してたのかについて書いていきます。理系で会計士取りたいけど忙しい!みたいな人におすすめかもしれないです。

 ちなみに公認会計士試験の講座に申し込んだのが2021年10月(大1秋)、本格的に学習を開始したのは2022年2月(大1春休み)です。学習は全てLECの講座で通信で行っていました。短答式試験は2022年12月❌→2023年5月⭕️→論文式試験2023年8月⭕️でした。

 総勉強時間は講義、復習、答練など全て含めて短答合格までで1400時間程度、論文合格までで1850時間程度でした。振り返って計算してみたら思ったより勉強してた気がします。こんな時間どこから捻出したのかちょっと不思議なぐらいです。
 これでも一般的に見れば短い方だと思います。その中でも、かなり遠回りを色々としたのでその辺の話も触れていきます。

合格証書

公認会計士とは?

 この記事を読んでいる人の中には、公認会計士が何か知らない人もいると思うので、軽く説明しときます。事実、僕も学習開始時には何も知らなかったです(ノープランすぎ)。
 簡単に言うと財務諸表とかの数値に信頼性を与える人たちだよ、ということだと思います。あとは監査論という科目で何をやるかは詳しくやることになります。
 いろいろ勉強はしたもののまだ実務経験もないし具体的なイメージもまだ湧いてないので公認会計士の説明は一言だけにしておきます。興味のある方は調べてみてください。

何で目指したのか?

 勉強してて一番聞かれた質問がこれです。確かに、学科では数学やら情報やらやっていて明らかに関係ない大変な資格をかなりの時間かけて取っていたら不思議で仕方ないですよね。
 まず、簿記というものに出会ったのが大学1年の夏でした。これは単純に大学から送られてくる大量のチラシの中の1枚に簿記3級がタダで取れる講座があったからです。ここで簿記3級を学習していなかったら絶対会計士なんてとってないと思います。とりあえず夏休みが暇すぎたので講座を軽く受けて夏休み中に簿記3級を取りました。(勉強時間は2~3時間*10日ぐらい、97点でした。)めちゃくちゃコスパがいい資格なので全然違う分野を学んでる人も簿記3級はとってみてもいいと思います。(知人によると、3日あれば取れるらしいです。)
 ここで、会計士の宣伝をされたので興味を持って、公認会計士の講座に申し込みました。この時は、ちょっと勉強してそれなりの国家資格を取れればいいなという軽い気持ちでした。とりあえず公認会計士持ってれば、自分の武器にもなるし、将来職に困っても食っていけると思われるので学習を開始しました。
 ↑この適当な考え方は、勉強途中でかなり後悔したので、やるならちゃんと覚悟を持って最後までやり切りましょう。かなり範囲が広くて大変です。

 ちなみに今年落ちてたら来年以降はもう公認会計士試験は受けないつもりでした。4年生になったら院試とかぶるし、M1では周りと同じく就活をしようと思ってました。

これから目指す方へ

 最低でも1年半の時間と勉強時間は2000~2500時間は見積もっておきましょう。どんなに効率よくやっても1500時間ぐらいはかかりそうです。この時間が取れないまたは、耐えられない場合は、公認会計士を目指さないことをお勧めします。不合格になった場合には、年数が1年単位で伸びていくことも把握しておいてください。上記の時間が取れる場合は、(東大生なら)勉強の仕方を間違えなければ十分合格できる実力は身につくと思います。

 将来、監査法人で働きたい人は、十分価値のある資格だと思いますが、ながらで取るにはあまりにも負担が大きかったです。

予備校について

 僕はLECに短答式試験から論文式試験までとおして通っていました。公認会計士の予備校といえば、CPA,TAC,大原などが有名どころですが、そのどれでもないです。これにはお金という明確な理由がありました。実際に会計士になって働けばすぐにこれぐらいの学費は返せるとはよく言うものですが、それでも大学生で将来会計士として働くかもわからない身からすればお金の大小は予備校の決め手に成り得ます。上で挙げた3社は全て70万円程度のお金がかかるのに比べて、LECでは短答コース28万円(プラスで早割あり)、論文コース5万円と非常に経済的な価格で学べるのが大きかったです。結局、短答論文+一問一答などの書籍を含めて33万円程度でした。

 金銭面以外では、例えば教材の質や教師の質などを比較することになりますが、そもそも受講してみないと分かんないのもある上、結局はその人の勉強の仕方次第なのでそこまで気にしませんでした。教材が不出来だから落ちたとか言うのはただの責任転嫁なのでは?と思ってしまいます。
 LECで大変だった点を挙げるとすれば、ともに会計士を受験する人との交流が全くなかったことです。これは他校が自習室などを提供したり、対面をメインで活動している中、一人で勉強する必要があるという点がかなり辛かったです。一人で勉強できない人は少し厳しいかもしれないです。これは、X(旧Twitter)などで受験生仲間を作るといいらしいです。(僕は、公認会計士を受験することすらほぼ発信してなかったので、正直なところはよく分かりません。)

通信か通学か

 個人的には通信一択です。そもそも通学は平日の午後とかに授業があるわけですが、大学の授業があるんだが????状態になるので通信を選択しました。通学のメリットとしては講義スケジュール通りに受けられることだと思いますが、これも少し遅れ出したらもう一貫の終わりみたいな感じになると思ってます。それに比べて通信は自分の好きな時間に勉強できたり、講義の速度を2倍速にして効率的に受けられたりと良いとこづくめです。

試験の概要

 そもそも公認会計士試験はどういう試験なのかについて説明します。公認会計士試験は短答式試験、論文式試験と2段階に分かれています。短答式試験は年に2回(12月と5月)あり、その名の通り全問題マークシートでの問題です。論文式試験は年に1回のみ(8月)の実施で、計算問題を数値で答えることになるのに加え、理論問題を記述で回答することになります。特徴として、短答では、理論の細かい知識まで問われることがあるの対して、論文では重要な部分が重点的に聞かれるようになります。なので、短答では広く浅く、論文では少し狭く深く学習していくことになります。LECの講座は、短答時期には短答式試験に専念し、合格後に論文式試験に専念するスタイルでした。

試験科目

 公認会計士試験での試験科目、合格ラインなどについて書きます。

 短答式試験の試験科目は4科目でそれぞれ財務会計論(200点(内訳:計算120,理論80))、管理会計論(100点(内訳:計算60,理論40))、監査論(100点)、企業法(100点)です。合格ラインは試験の難易度によって変動してますが、ここ最近は簡単になってきており、得点率は70%が一つの目安になってきます。合格者数は毎年12月が1000人強、5月が1000人弱で合格率は10%弱です。詳しい数字はこちら参照

 論文式試験の試験科目は短答式試験と比べて租税法と選択科目の2科目増えます。選択科目は経営学、経済学、民法、統計学の4つから1つ選ぶことになるのですが、受験生の多くが経営学を選択します。理由としては勉強時間が少なくても成績が取れるようになることがあげられます。また、管理会計論と多少範囲がかぶっています。他の科目は受験者が2桁程度しかいないため、僕は大勢と合わせて経営学を選択しました。(そもそも多くの予備校が経営学しか開講してないです。)経営学以外の科目は入試でいう地学選択みたいなものだと思います。論文式試験は3日かけて行われる長丁場の試験で、1日に2科目ずつ実施されます。

 配点は会計学(300点(内訳:財務200, 管理100))、監査論(100点)、企業法(100点)、租税法(100点)、選択科目(100点)です。合格ラインは簡単に説明すると各科目の偏差値の加重平均が52以上であれば合格で、56以上であれば科目合格です。公認会計士試験は税理士試験などとは違って科目合格を狙いに行くということは稀で、基本的に全体の平均を52以上にするように勉強するのが普通です。また、各科目ごとに足切りラインが設定されており、偏差値が40未満の科目が一つでもあるとその時点で不合格です。基本的には偏りなく勉強すれば、合格点に届いているけど足切りされるなんてことはないと思います。

選択科目(統計学)について

 多くの受験生は経営学を選びますが、せっかくなので選択科目の統計学についてもう少し説明しようと思います。(※僕は経営学選択でした)

 統計学の難易度は統計検定の2級程度らしいので、東大の前期教養で基礎統計をとっていればプラス少しの勉強でカバーできる範囲内なのかなと思います。また、計数では3年次の科目に確率数理工学や応用統計学などがありますが、これは1級範囲までカバーしてるらしいのでおそらくそんなに難しく感じないと思います。勉強時間ですが、ネットの記事によると経営学と統計学がともに200~250時間程度らしいです。ですが、そもそも公認会計士の受験生に文系生が多いことや統計学の難易度がそこまで高くなく記述などで点を落としにくいことから理系の大学生は統計学も当然視野に入れておいた方がいいと思います。

 統計学を選んだ場合、多くの予備校では開講されていないので注意が必要です。詳しく調べてないので分からないですが、大原とTAC(2024年合格目標以降からはCPAも)では統計学が開講されているようです。(なのでこれから増えてくかもしれないですね。)数学が得意だよ、という方は多くの受験生に流されることなく統計学を選択することもかなりおすすめです。多くの記事に書いてあるように、統計ができる人しか選択しないから偏差値が出にくいなんてことも少なくとも今年度はなかったらしいです。応物生はもちろん選択科目で悩んでいる方は、統計学の選択も視野に入れてみてはいかがでしょうか?


総論(LECの講座について)

 僕が受講していたコースは22年の秋生向けのコース23年論文合格コースの二つでした。一旦講義の中身と理想的な受講スケジュールを書いておくことにします。

短答期

 各教科のコマ数については入門期が財務会計論が60コマ、管理会計論が25コマ、監査論が8コマ、企業法が8コマあり、各コマ3時間弱です。これを学習開始初年度の10月から4月にかけてこなしていきます。基本的に授業は計算メインで理論はほとんど扱いません。

 入門期が終わると1ヶ月ほど授業がない期間(5月)があり、ここで入門期の復習を固めることが想定されています。

 入門期が終わると上級期が始まります。上級期は計算と並行しながら理論の勉強も行うこととなります。学習想定時期は6月中旬方9月末です。コマ数については、財務会計論(簿記)が21コマ、財務諸表論(理論)が17コマ、管理会計論が15コマ、監査論が15コマ、企業法が18コマで、これも各回3時間弱でした。これは大体週4コマ程度ありました。

 上級期が終わりに近づいてくると12月の短答試験が直前に迫ってくるので、この時期から暗記を始めていきます。それと同時に短答のポイントアップ答練が週に1回程度計5回あります。ここでは、本番と同じ想定で問題演習をして時間配分を考えたり、計算理論を固め直したりします。そして11月末にある短答模試を受けると短答の講座が終わりあとは短答式試験(2022年12月11日)に向けて調整を進めていくことになります。

 書いていて気づいたのですが、他にも教材があったらしいです。ですが、大学にいきながら学習を進めていく人にとっては、おそらくやっている時間も

12月短答までの流れ

ないので書きませんでした。やらずにも全然合格レベルには到達できるので、他の教材に触れる優先度はかなり低いと思います。

論文期

 短答式試験に合格すると、論文の学習を開始することになりますが、僕の場合そううまくいかず、12月の短答式試験には落ちてしましました。(後述します。)

 合格発表が1月の半ばにあるのでそこまでは軽く勉強するぐらいでそこまで本腰を入れない人が多い気がします。

 もちろん5→8での合格を目指すことになるので、論文式試験用の講座にも申し込み(短答合格見込みで申し込むとかなり安く済みます)ました。コマ数は、財務会計論が12コマ、管理会計論が10コマ、経営学が17コマ、監査論が10コマ、企業法が10コマ、租税法が30コマあり、これも各回3時間弱でした。これは大体週6コマ程度ありました。これを通常であれば2023年5月末ぐらいに終わらせることが想定されています。そして3月末までに講義と並行して論点の吐き出しを中心に行うプレ答練をこなしていくといったようなカリキュラムでした。

そして3月ぐらいから論文の本番想定のグレードアップ答練が始まり、これが7月までかけて計10回あります。これをこなしながら、論文の記述などのアウトプットや暗記を固めていきます。そして7月中旬から下旬にかけて各予備校の論文式模試を受験して本番(2023年8月18~20日)へと向かうのが通常の流れとなります。

8月論文までの流れ
5月短答に回った時の学習の流れは下半分参照

実際の勉強の流れ

 先ほどまでは理想的な勉強の流れを書いていきましたが、当然大学との両立に苦しんだり、やる気が出なかったりと全くうまくいきませんでした。また、12月の短答に落ちてしまったことによりさらに予定が狂っていきました。予定とは常々そういうものです。

 ここでは、僕がどの時期にどう勉強していたのか書いていきます。

学習開始(2021年10月~2022年1月)

 講座に申し込んだら授業が受けれるようになります。この時期は大体週に1~2本ぐらい財務会計論の入門講座を受けていました。問題演習も授業で説明された例題の解き直しぐらいで全く本腰を入れてませんでした。この時期はまだ学習初期なので、余裕もありいろんなとこで遊んでいた気がします。
 1月に入ると大学の期末試験が近づいてきたこともあり、1月の学習時間は0だったと思います。これは大学の1Aに入ってから進振りのため、急に成績が欲しくなってきたため割と真面目に?大学の勉強をしていたからです。

 もちろん、上で書いたように軽く勉強をするだけだとどんどん授業配信だけが先に進んでしまい、たくさんの講義が溜まっていってしまいました。

 この時期は授業配信の計画通りに授業を受けて、その範囲の入門期の問題集を解き進められたらもう十分だと思います。

入門期(2022年2月~7月)

 大学が春休みに入り、気づいたら講義がものすごく溜まっていて2~3ヶ月遅れとかでした。コマ数でいうと大体35コマ程度この時点でたまっていたと思います。そのため、春休みに入ってからは予定がある日を除いて毎日講義を1つは見て、それに対応する例題、問題集を解くようにしてました。時間に直すと平均して毎日4~5時間程度は勉強していたと思います。しかし毎日講義を受けても30コマ程度の遅れはほぼ解消されず、この遅れが残ったまま春休みが終わり大学2年生が始まってしまいました。

 2Sセメスターはかなり暇だと聞いていたので、この時点ではまだそこまで焦ることはなく、大体週に5~6コマ講義を受けて着々と講義を進めていきました。また、大学の授業でゼミをとったので、思ったより暇にならずに学習計画のプランが崩れていきました。

 当初の講義スケジュールは4月末には入門期が終わるように組まれていましたが、実際に講義を全て受け終わったのは7月の中旬とかでした。この時には、もうすでに、上級の講義が配信されており、回転用の教材であった上級の簿記問題集に手をつける時間が一切ありませんでした。また、7月下旬には大学の期末があったため、何日か会計士試験の学習をストップして期末勉強もしていました。ちなみに時間が取れなかったため、入門期での企業法と監査論の講義は一度も受けませんでした。(上級講座で同じ範囲をもう一度説明されるため、そこで聞ければ実際受けなくてもなんとかなると思います。)

 ここまでの勉強時間は300〜350時間ぐらいでした。振り返ってみると、ここまでの勉強量が割と大事だったかもしれません。

上級期(2022年8月~11月)

 夏休みに入るととりあえず、86コマもある上級の講義を受けないといけないのですが、8月はバイトをしたり、遊びに行ったりと実はあまり勉強できていませんでした。そのため、9月に入った時点ではまだ60コマ以上残っていた気がします。9月の上旬に12月短答の出願があり、この時からやっと危機感が少し芽生えてきました。そのため、9月の中旬から下旬にかけてはとりあえず講義を消化していかないとと思い、時間がある日は1日に2~3コマ講義を受けていくように意識し始めました。また、入門期で学習した計算分野がかなり記憶から抜け落ちていたため、テキストに掲載されている例題を1.5 周ほど回しました。

 9月下旬ごろになると郵送で短答のポイントアップ答練が送られてくるようになるため、より講義を受け終わらないとまずい、という焦りが生じてきました。10月に入った時点での進捗としては、上級講義が残り20コマ程度、計算問題集は財務管理共に未着手の状態でした。また、一問一答もこの時期に購入して理論(特に企業法)の暗記も開始しました。しかもここで2Aセメスターが始まり、大学の授業もいよいよ学科の内容に入り、かなり難しくなってきたので、ここからは、一日中図書館にこもって勉強するようになりました。

2Aの時間割

 この2Aセメスターの10月から11月末にかけては間違いなく人生で一番勉強してた時期だと思っています。具体的には10時過ぎに大学に行って授業を受け、大学の授業が終了した17時頃からは、図書館にこもって夜の10時まで勉強をしていました。その後帰宅してから24時から28時近くまで勉強していたと思います。また、応物学科では課題もそれなりに出ていましたが、基本的には授業中に全てやり切るようにしていました。そのため、平日の昼間以外は全て会計士試験の勉強をしていた気がします。

 答練については授業を全て受け終わってから受けたいと思っていたので、まずは急ピッチで講義動画を見進め、講義の息抜きに財務の計算問題集を10月一杯かけて進めました。また、企業法の一問一答もこの時期に1ヶ月程度かけて最初の1周目を終わらせました。講義の説明では計算問題集を何周もしてほしいと説明を受けてましたが、何周も解く時間は明らかにないことがわかっていたので、1回で全てを吸収するつもりで問題演習をしていました。

 答練については10月末から解き進めていきましたが、当然監査論や企業法は30点前後とボロボロであった上に、財務と管理は時間も足らず……と散々でした。それでもめげずに答練を受けて間違えた問題を復習して……と5セットあった答練も全てこなしました。そのまま11月中旬にあったLECの公開模試に挑みました。この時、短答式試験まであと3週間でしかありませんでしたが、模試の得点は企業法、管理会計論、監査論、財務会計論の順に30点、24点、40点、96点で合計190点(38%)とありえないぐらい低かったです。

短答直前期(2022年11月下旬~12月11日)

 流石に模試の点数が低すぎてやばいってことになり、この時期は大学の授業もほとんど行かずに勉強をするようにしました。まずやったこととしては、企業法の一問一答の2周目で大体1日で100ページ進めることをノルマにやっていました。また監査論の過去問も1日2セットずつ解き始めました。この二つをやって行ったおかげで企業法と監査論の理解度がかなり急速に上がっていった気がします。ただ点数がついてくるまでには少し時間がかかりました。
 そして財務会計論と管理会計論の理論分野については学習を進めることをやめ、計算に全振りすることを決めました。これはこの2科目の理論分野の範囲があまりにも広かったためであり、本試験では計算の知識をもとに選択肢が絞れることが多いためです。そして計算分野の学習に関しては財務会計論についてはテキストの例題を不安な部分だけもう1周し計算問題集ももう1周するようにしました。財務会計論は計算も範囲が広く、多くの論点を切りました。(これについては後述します。)管理会計については、問題集を一通り見て各単元ごとに重要そうな問題だけ3問ほど解いていくことで計算のアウトプットをしていました。

 そして短答式試験1週間前に解き残していた5月短答用の模試を使用して、本試験と同じ順番で時間を測って解きました。この時の点数としては、企業法、管理会計論、監査論、財務会計論の順に70点、25点、55点、108点で合計258点(51.6%)でした。暗記科目は点数が顕著に伸びているのに対し、計算科目は時間が足りないことも多く、かなり苦戦した結果となりました。

 とりあえず残り1週間は死ぬ気で頑張るかと思った矢先、水曜日から高熱が出てしまいました。診療には行かなかったのですが、ほぼ確定でコロナだったのではないかと思っています。直前に何をやるかまで考えて勉強していたので、想定外の事態に計画が全て崩れてしまいました。金曜日までずっと高熱だったためこの3日間はずっと寝込んでいました。正直こんなところで邪魔が入ると思っていなかったため、かなり悔しかったです。土曜日になってから熱が下がりましたが、既に短答式試験前日であったため、軽く暗記科目を見返してそのまま試験に臨みにいきました。

 試験当日は熱は下がっていたものの万全の状態ではなく、かなり体力を消耗しました。結果としては企業法、管理会計論、監査論、財務会計論の順に55点、60点、70点、160点で合計345点(69%)でした。これは1週間前に解いた模試の成績から100点近く高くなっており、着実に勉強の成果が出ていることはわかったのですが、合格ボーダーの71%に僅かに届かずかなり悔しかったです。特に、直前の3日で企業法をもう少し詰められれば受かっていたのではないかと何回も思いました。また、本試験では財務と管理が共にかなり模試答練時に比べて上振れたのですが、これは明らかに答練や模試が難しく作られているからだと実感しました。それでも合格点に届かなかったので、気持ちを切り替えて5→8で合格できるように学習を進めることにしました。

 ちなみに12月短答までの勉強時間は900時間弱だと思います

次の短答に向けて+論文の準備(2022年1月~3月)

 12月短答の際は結局、計算でかなりの論点を切ることになった上に、一問一答は企業法以外一切開かずに終わってしまいました。落ちた理由は明確で、ただただ勉強不足の一言に尽きます。落ちたことは自己採点からすぐにわかったものの合格発表が1月中旬であることに加え、2Aの期末が2月上旬にあったこともあり、短答後から2月上旬までは、かなり緩めに勉強してました。
 そして、8月の論文までにはどうしても学習を間に合わせたかったため、この時期に論文合格コースの受講も始めました。論文になると科目が増えるのですが、基本的に短答と被っている科目の講義を優先させて受講しました。これは論文講座はほとんど全てが理論分野であり、その講義を見ることで短答の復習も兼ねられると考えたからです。また、5月前に見ておくことで5月短答に受かった後の講義を減らしておくという目的も兼ねていました。
 この論文合格コースは講義の量が非常に多く、空き時間に講義を聞いているだけでは、講義が溜まって行ってしまうため、かなり大変でした。それでも3月末までには経営学、租税法、企業法以外の授業は全て受講するようにしました。経営学については計算分野、租税法については5~6コマの講義をこの時期に受けた気がします。また、同時期に論文用のプレ答練も並行して始まりましたが、この時期はほとんど手をつけられませんでした。この時期に少しだけ受けた租税法、経営学の内容は短答後には何も覚えていなかったので、結局短答後に1から勉強しなおしました。中途半端に租税経営に手を出しても時間の無駄になる可能性があるのでそこは他の科目と相談して、やるかどうかをはっきりしておいた方がいいです。

 そして、3月に入ると論文グレードアップ答練という論文本番と同じようなボリュームの問題演習が始まりましたが、これも短答に合格して論文講義を受け終わってから受講しようと考えたため、一切やらずに3月が終わりました。グレードアップ答練はかなり量が多く、5月短答後に着手してもあまり定着しないケースが多々あるので、余裕がある人は3月中に3~4回分は受けておくと良いです。

短答直前期Again(2022年4月~5月)

 4月になると、大学も再び始まり3Sに突入しました。3Sは計数工学科にとって一番授業が重いセメスターであり、代数数理工学、解析数理工学、確率数理工学などの重たい科目に加え、実験や演習なども多く、正直大学の授業を受けているだけでも十分大変な時期でした。短答、論文と控えていたため、大学での授業をできるだけ減らしましたが、それでも週18コマと今までのセメスターと比べてかなり多かったです。(時間割は以下)

 短答式試験が5月28日にあるため、4月に入ってからは論文式試験のことは考えずに目の前の目標である短答式試験にシフトしていきました。ここでは、5月短答用の答練の講座を購入して、時期通りに学習を進めることを意識しました。ここでは、理論分野が苦手だったので4教科の一問一答を全て一通りこなしました。これに加えて計算分野の速度向上のため、計算問題も毎日解くようにしていました。
 4月末に実施された5月短答用の模試の結果は企業法、管理会計論、監査論、財務会計論の順に75点、44点、70点、100点で合計289点(57.8%)でした。体感では模試での財務、管理は共に本試験より1回りほど難しい印象を受けましたが、全体的に点数が伸びておらずかなり不安を抱える結果となってしまいました。

 5月に入ってからの1ヶ月では答練をもう1度解き直し、自分の知らなかっら知識や間違えた部分、忘れやすい部分をノートにまとめていきました。これらに加えてテキストの例題をもう1周と着直してパッと思い出せない式などもまとめるようにしました。この学習かなり効果的で、今まで曖昧だった知識を再整理することもでき、範囲が広すぎる会計士試験においてどの分野がまだしっかり身についていないかなど自分の弱点を明確に洗い出し、補強することができました。一方で、企業法、監査論での理論分野に関してはかなり時間をかけたのですが、結局そこまで点を伸ばすことはできませんでしたが、70点前後は安定して取れるようになりました。

 12月の短答式試験とは違い、かなり万全の状態で挑んだ5月の短答式試験の結果は企業法、管理会計論、監査論、財務会計論の順に65点、62点、75点、188点で合計(78%)の上位合格となりました。財務会計論が始まるまでは正直あまり取れてる自信がなく、かなり辛かったです。結果としては、財務会計論がとんでもなく上振れたため、他の科目の成績はそこまで良くなかったもののなんとか合格できたため、ほっとしました。最後の科目が合格を左右することも多々あるので、午前中の科目で挫けそうになっても最後まで諦めずに集中する重要さがよくわかりますね。

3Sの時間割

いよいよ論文期(2023年6月~7月中旬)

 5月短答は自己採点の結果から相当ボーダーから余裕があったため、合格発表を待たずにすぐに論文の勉強を再開しました。

 5→8を目指す場合は、論文式試験に実質的に当てられる時間が2ヶ月半程度しか残っていないため、合格発表を待ってから学習を再開していては、全く間に合わないです。本気で8月で合格したいと思っているならば、すぐに切り替えて学習を開始しましょう。僕はこの時期は、大体図書館で22:30まで勉強したのち家に帰って3時ぐらいまで勉強していました。

 まずやるべきこととしては租税法と経営学の学習です。中でも租税法は2ヶ月で完成させるのは不可能に近い分量があるので、理解は一旦置いといて、とりあえず講義の受講を進めることにしました。ただ租税法のテキストは法改正が多いためか誤植も多く、授業の説明も分からないだったので、正直講義を受けるのはかなり苦痛でした。(ラストの3回ほどの講義は時間がなく結局受けませんでした。) 経営学に関しては、計算分野のレジュメだけ読み返して、理論分野は講義を軽く受けました。(ここの講義は受けなくても変わらなかった気がしてます。)企業法についても3月では受講しなかったため、6月~7月中旬にかけて受講しましたが、これもまた、論点が多い上に本試験では自分で文章を組み立てて書かなければいけないため大変で、答案構成の仕方をイメージしながら受けていました。さらに、同時期に論文プレ答練の企業法と監査論を全て受けました。この二つの科目は理論を記述で吐き出すことになるため、いきなり本試験形式の問題に取り組むと手も足も出ないといった状況に陥りやすいのでプレ答練も受講することをお勧めします。実際、プレ答練(全15回)分を解き終わった後では、かなり論文式試験での答案構成のイメージが掴めてきました。

一休み(2023年7月中〜下旬)

 7月中〜下旬にかけては一旦会計士試験の学習は置いておいて、大学の期末テストに専念しました。これは両方とも中途半端にこなした場合、単位も落とすし試験合格もできないと感じたからです。この決断はかなり勇気が入りましたが、選択は正解だったようです。大体7/16あたりから期末勉強に切り替えて、7/26に期末試験が終わるまでは大学の課題、期末試験に集中しました。(ちゃんとフル単しました。やったぜ)

論文直前期(2023年7/27~試験当日)

 この時点であとやらなければいけないこととしては答練10セット+LECの模試(他校の模試は受けてません)に経営学の理論部分の暗記が残っていました。
 大体試験まで3週間であるため、答練+模試を解き切るために、毎日3科目ずつ答練を解いて、その復習をするといったことをひたすら繰り返していきました。そして答練は当然知らない知識やうまく書けない部分がほとんどを占めていたため、最重要論点の記述は丸々覚えるようにしていました。答練に出なかったものは基本的には覚えていませんでしたが、答練は10回で重要論点や出そうな論点をしっかり網羅してくれていたため、時間がない人にとってはやることが明確で良かったです。また、租税法で授業を聞いてもよく分からなかった計算などは、ほとんど出ないまたは毎回同じような問題が出ていたため、想像以上に租税法は対策しやすかったです。
 ちなみに解き始めるのが非常に遅かったため、論文答練の答案を採点してもらったのは3セット程度で、最後まであまり採点基準はよくわかりませんでした。ただ自己採点にも良いことが多数あって、フィードバックがすぐできることや自分で足りないポイントや論点をすぐに把握できることなどを活かせばわざわざ答案を提出しなくてもいいのかなとも思いました。(そのため論文の答練、模試の成績は何一つ記録として残っていないです。)

 答練を解く時は、もちろん時間配分も意識してはいましたが、分からない理論問題はすぐに解答を見るようにしていました。解答を見てその解答を自分の言葉で咀嚼しながら写すことは頻繁にやってました。ほとんど全ての論点が初見の状態で解答を捻り出すのは効率性の観点で言えば無駄なので、どうせ提出しないならと思って解答の写経をしていました。

 経営学の理論(第1問)については直前からでも暗記だし余裕とか考えていたのですが、いざ単語を覚え始めるとまず単語が出てこない、そして記述で説明することはもっと無理ということに気づきました。経営学の理論の暗記を始めたのが8/10ぐらいだったので本当に手遅れでした。なので、本試験当日でも記述で意味不明なことを書いたりするハメになってしまいました。せめて7月中旬ぐらいからやり始めるべきです。

 勉強した量の目安ですがこの時期は1日13~14時間程度やっていた気がします。ちなみに直前期でも普通にYouTubeとかも息抜きで1~2時間ぐらいは見てました。(参考になるかわかりませんが、答練をやり始めてから使用したボールペンの量は論文式試験まで通して3本半で、修正テープは計30mぐらいでした。)

 生活リズムは破滅していて、午後に起きて1科目やって暗記を少ししてから、21時以降の夜〜深夜にかけて2科目やっていました。大体の就寝時刻が早朝6時半前後、起床時刻が12時半前後でした。生粋の夜型です。

論文前日〜(2023年8/17~20)

 前日までにしっかり計画通りに答練と模試の計11セットを全てやり終え、前日は今までに解いた答練の解答暗記や論点整理をすることにしました。もちろん量が多いので、出そうな部分を重点的にやりました。
 5→8の人は前日からでも成績がぐんぐん伸びていくのは間違いないです。この直前での暗記をさぼったら偏差値が5~10程度は余裕で落ちていたと思ってます。

租税法の法人税法(理論)のまとめ一部
(字が汚いのはごめんなさい)

 各教科前日に重要そうなところを上の画像見たいな感じでまとめて、無理やり詰め込んでました。(論点、条文の場所etc)

 余談ですが、前日になるまで試験科目の順番を勘違いしていて、企業法と監査論が初日にあると思っていました。そのため前日になって大慌てで租税法の条文整理とかをやっていました。試験日程はちゃんと確認しましょう。

 試験当日は久々に電車の中や試験開始直前まで論点を覚えていました。周りの受験生もみんなテキストかなんかを読んでいるので結構緊迫感がありました。昼休みは必ず外に出て20分ぐらい外に出て、外の空気を吸うようにしてました。ずっと教室の中にこもっててもただ疲れちゃうだけなのでちゃんと気持ちをリフレッシュして午後の試験に望むようにしましょう。
 教室は受験番号順に割り当てられているので、教室内はみんな5→8の受験生ばかりでした。5→8は学習が間に合わず、お試し受験で受けにくる人も一定数いるので、周りの人が試験中に帰ったりしても落ち着いて受けるようにしてください。科目合格だけを狙いにきてる人も結構いました。

その後

 論文式試験が終了してから合格発表までなんと3ヶ月もあります。よほど手応えがない人以外は基本この時期は勉強していないと思います。まず、8月末に軽く自己採点をしましたが、そんなに出来はよくなかったと思います。特に会計学の財務では、年度を間違えてリースの問題を全て落としたりしていて全く合格している自信はなかったです。各予備校が解答解説をアップロードしている際に表示している合格ラインには全く到達していなかったのですが、結果的には全科目52を超えていたので、割と厳しめにラインを表示しているのかなと思います。軽く自己採点した後はもう試験問題は封印して、会計士の勉強も合格発表まで一切していませんでした。(そもそもこの時期に勉強してる人はほぼいないはず。)

 9月になると監査法人の就活イベントが解禁されるので、受かった後に監査法人に入りたい人はこの時期にイベントにたくさん行ってリクルーターなどと仲良くなっておくといいでしょう。合格発表前なのに就活をしているのは、なんだか変な気持ちになりました。就活イベントも10月に入ると終了し、そのあとは合格発表まで何もないです。

 合格発表後はすぐにESやら面接やらの就活が始まり、12/1までに内定が決まります。テンポがめちゃくちゃ速いので、この時にどこにいくか迷わないためにも9月にしっかり就活イベントに行っておくといいでしょう。

続く…

 ここまで読んでくれてありがとうございます。書き始めたらかなり長くなってしまったので、各教科の具体的な勉強方法については次の記事に投稿したいと思います。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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