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オリンパス OM-D E-M1 Mark3 実戦投入レビュー。

前回とりあえずレビューしましたオリンパス OM-D E-M1 Mark3ですが、今回家族旅行に持って行くことになったので、じっくり使ってみた率直な感想を書き記そうと思います。


いきなりで恐縮ですが、気に入らなかったところから。

残念な点

12-40mm F2.8 Proレンズでは夜は厳しい

F2.8, 1/30, ISO6400
連写しまくってなんとか止めましたが、ノイズっぽいのが気になります。


前回書いた通り、ヒストグラムに気をつけて、ISOを100〜200にしておくとかなりノイズが気にならない写真が撮れます。しかし!夜はそんなにISOを落としておくわけにはいきません(補足:夜間の風景写真や、星景撮影であればF2.8でも十分戦えます)。光が少ない室内で、ましてや動き回る子供の写真となると、ISOを上げまくってノイズを諦めるか、ISOを下げたままとにかく連写で被写体がぴたりと止まった写真が撮れていることを祈るか(そしてピクセルピープしないと己に誓う)のどちらかしかありません。F値の低い単焦点レンズがあればいいのでしょうが、僕は持っていませんし、それを買い足すとなるとせっかくコンパクトなカメラとしてE-M1と万能ズームレンズを導入したのに、それが元の木阿弥になってしまいます。

M.Zuiko 12-40mm F2 Proレンズは逆光ではほぼ使えない

F13, 1/320, ISO200
青紫のゴーストが出てますし、光芒も綺麗じゃない。赤い斑点も右側に出ているのが確認できます。

逆光で撮るとめちゃくちゃ紫や赤みがかったフレア・ゴーストが出ます。しかも綺麗なゴーストではなく醜い部類のやつです。さらに、暗部を現像で持ち上げようとすると赤い斑点が出てくることがあります。センサー熱のせいでしょうか。今まで使った他社製品ではみたことがない現象です。ハイライトの色味なんかは素直でむしろ好きなのですが、これらの理由から積極的に光源に向かって撮影するということは躊躇うようになりました。富士フイルムやライカでは逆光撮影大好きだったんですがね。

個人的上限はISO1600

ISOをガンガン上げるオート設定にしておくとノイズがかなり目立ちます。これはフルサイズやAPS-Cと比べると雲泥の差です。同じような暗闇で富士フイルム機を使って撮影した写真と見比べると、いかに富士フイルムが優れているかが今になってわかるようになりました。オリンパスE-M1ではISO800以上でかなりノイズが目立ちますが、それは光量が少ない場合の撮影の話です。日中であればノイジーだと嫌気がさすほどの写真はあまり撮れません。個人的には1600が限界です

シャッターフィーリングは好き嫌いが分かれる

僕はどちらかというとライカや富士フイルムX-Pro3のようなシャッターフィールが好みです。確実にシャッターを下ろしたことがフィードバックされる感じが撮影体験をより良いものにしてくれると考えています。リズムよく撮影できるから、とでもいうのでしょうか。シャッターフィーリングは僕がカメラを選ぶ際にかなり重要視している点の一つです。一方、このE-M1はどうかというと、かなりシャッターフィーリングが軽めで、いわゆるフェザータッチです。半押ししている感覚はあまりなく、気づいたらフルプレスしてるという感じです。これの良い点はきっと写真のブレを減らしてくれることと、連写の際のシャッタープレスまでの時間がほんの僅か短縮されるといったところでしょうか。実際、連写する際にはこのシャッターボタンはかなり相性が良いと感じ、積極的に連写機能を使おうという気にさせてくれます。こんなカメラは初めてで、新鮮な体験をさせてもらっています。

バッテリー持ちはそれほどよくない

バッテリー1個で1日撮影するのは無理ではありませんが、撮るたびに電源を入れ、撮影後に電源をOFFにする習慣をつける必要があります。そうでなければバッテリーはすぐに減ってしまいます。ただ、USB Type-Cでの充電はケーブルやアダプタをちゃんと選べば結構速いです。同梱の専用充電器でも同じく速く、2時間ほどで満充電になるのでいいですね。

メニュー画面は確かにわかりにくい

みなさんのおっしゃる通りです。使いづらい。一番使いづらく感じたのは、液晶スクリーンやEVF内の表示項目のカスタマイズ設定です。いくらやっても希望通りの表示になりません。また、アイコンや機能名称の日本語のチョイスが悪いです。言葉の定義とかがなんか適当すぎて、日本人である僕がみてもよくわからない場合があります。直感的ではないんです。そもそも機能が多いので、メニュー画面のデザインはもうちょっと考えて欲しかったですね。

それじゃ今度は気に入った点も紹介させてください。

ブラボーな点

オートフォーカス性能はかなり優秀

顔認識AFを子供や家族の撮影で使いますが、性能はかなり良いと感じていて、自信を持って任せられる感じです。ただ、外す時は外します。大体80%以上はピントが合い、10%はピントがあってはいるけどややソフトな感じになり、残り10%は背景にピントがあってたりピンボケしたりしています。スナップなどで咄嗟に撮影する際でもオートフォーカスは素早く結構正確なので満足できます。販売から結構時間が経っていますが、2023年に使っても個人的には全く問題ありませんし、富士フイルムやライカQより優れていると思います。


手持ちハイレゾはかなり使える

F8, 1/250, ISO 200
ついズームして見たくなる精細さ。これが常に出せる日が来ればM4/3が俄然有利になるはず

風景写真の時には手持ちハイレゾを結構使っています。合成に12秒ほどかかる以外は不満がありません。2000万画素ちょっとのカメラとは思えないシャープで緻密な写真が撮れます。


ファイルの使い回しが楽

何せ画素数が少ないですからRAWで撮ってもファイルサイズが抑えられ、Lightroomへの取り込みが速くてストレスになりません。これが倍以上の画素数を持ったカメラだったらかなりしんどいだろうなと思ってしまいます。ちなみに僕はiPhone XSでRAW現像していますが、ライカや富士フイルムと比べて圧倒的に読み込み・書き出しが速くて使いやすいです。

専用アプリとのWi-Fi接続がめちゃ使える

見た目より実力重視?!

今まで使ってきたカメラメーカーのアプリはしょぼくて、Wi-Fi接続は面倒で仕方ありませんでした。接続までの手順がややこしかったり、そもそも接続できずに失敗しまくることもありました。オリンパスのアプリは見た目こそそれほど洒落てはいませんが、100%繋がりますし、めちゃくちゃ簡単スピーディーです。カメラからデータを取り込むのにWi-Fiで繋ぐことを全く躊躇しなくなりました。出先で撮った写真をすぐに使いたいというような場面で重宝しています。

色味が良く、オートWBが優秀

F4.0 1/2500, ISO200 WB晴れ
オリンパスブルーは自然で素敵な青み

写真の色味は素直で癖がなく、どちらかというとコントラストが低い色味の場合が多く感じます。ライカや富士フイルムと比べるといい意味でも悪い意味でもニュートラルな感じです。ハイライトや暗部の表現が綺麗です。ハイライトは意外と粘りますが、シャドーの粘りはそれほどでもありません。でも普段使いでは困らないレベルです。

今まで使ってきたカメラは、色味はいいけどオートWBがね〜っていうものが多かったように感じますが、E-M1はオートで十分使えて万能です。青空の青さをはっきり出したい場合にはRAW現像で晴れの設定にしてやるとパキッとしたいわゆるオリンパスブルーになることが多いです。これからの季節雪のある景色を撮影する時にはWB調整に気を使うことが多いですが、E-M1の場合は素直に見た目通りの色を出してくれる印象を持ちました。

センサーサイズの不利さを感じさせない写り

光量が潤沢な環境での撮影においてはマイクロフォーサーズカメラとしての欠点はほとんど感じられません。むしろ、手ぶれ補正の強さや防塵防滴性能、そしてコンパクトさなどの利点のみが主張してくる感じです。子供のソリ遊びの写真を撮った時などは本当に楽しい撮影体験でしたし、出てきた画質にも十分満足できました。子供の写真はよくプリントするのですが、ピクセルピープできないプリントならばこそマイクロフォーサーズでも十分使えると感じました。引き伸ばしてクロップしようとは正直思えない場合の方が多かったです。

さて、これからどうする?

ここまで読んでいただいた方であれば今後僕がこのカメラをキープするのか、それとも売っぱらってしまうのか、どうするつもりなんだい?とお考えでしょう。正直な感想はこんな感じです↓

  • E-M1は使って楽しい、所有して満足なカメラ。だけど夜間使えないのは厳しい。

  • かといって単焦点を買い足すのはどうかと?単焦点ならライカレンズ3本持ってるし。

  • じゃあやっぱり今回の検証で立場を取り戻した富士フイルムに戻る?

  • いや、せめて噂されているXF16-50mmが出るまでは戻れない。

  • じゃあやっぱり国産メーカーのフルサイズ機を試す?(SとかCとか?)

  • カメラはいいのが揃っているが、レンズがどれもデカい。あんなのは持ち歩けない。

  • サイズ重視なら富士フイルム以外のAPS-Cっていう手もあるけど?(a6700とか?)

  • そう思ってZ50を買って結局売り払うことにしただろうが、ごらぁ。 ←今ここ

というわけで、明確な答えが出るまでは日中限定または夜間の静物撮影限定、コンパクトカメラが必要なシチュエーション限定、悪天候時でも可、という縛りでE-M1 Mark3をしばらく運用しようと思っています。それ以外の撮影ではライカを使えばいいわけですし。最近使う回数がめっきり減ったので、これを機会にまたライカを愛でようとも思った次第です。

誰におすすめできるカメラか(まとめ)

このカメラを購入することになったとき、このカメラはセンサーサイズも小さいし、他のラインナップカメラを見ても比較的安価なものも多いし、エントリーレベルのアマチュア向けのカメラなんじゃね?とたかを括っていました。ところが、しばらく使ってみて自分は大きな間違いをしていたことに気がつくことに。確かにマイクロフォーサーズには欠点も多少なりありますが、それを上回るポテンシャルを備えた利点が数多くあります。ここでまた一から羅列することは控えます。ただし、その利点は誰しもが享受できるものではないから曲者であり、天邪鬼なカメラだという印象を受けたのです。

このカメラは誰でも簡単に写真が撮れる万能機ではないと思います。ノイズが少ない写真を撮りたいのならISOをコントロールし、必要に応じて明るい単焦点レンズや外付けフラッシュを追加してその問題を回避する必要があります。メニューは決してわかりやすくはないですから、いろいろ調べる必要が出てきます。クロップしたいのならハイレゾで撮っておく必要があるかもしれませんし、夜の動き物撮影は最初からある程度諦めるかサブ機に託す必要があるかもしれません。

一方でやっぱりこのコンパクトさでF2.8通しのレンズが存在するシステムは存在価値が十分あるでしょう。単焦点レンズ群も比較的安価なものもあるようですし、パナライカのレンズは色味が良いと評判のようです。雨でも雪でもカメラが濡れることに一切の不安がないのは感動ものです。まさに旅に持ち出したくなりますし、カメラバッグなんてそもそも不要で、旅行カバンに何かに包んで入れるだけでオッケー的な雰囲気のカメラです。

これはなかなか手放すことのできない面白いカメラに巡り合ったのではないかと思っている次第です。

ザ・天邪鬼カメラ(いい意味で)

それが僕が辿り着いた結論です。


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