Scouting Reports on Recently Acquired Prospects 1/?

今オフ、マリナーズは大きな路線変更を行っています。高齢化が進んでいたり、保有期間が短くなった主力選手のほとんどを放出してのロースターの若返り、ディポートGMが「再び想像する、再考する」といった意味の"Re-imagining"という言葉で表現した一連の動きには賛否両論あるかと思われますが、少なくともマリナーズが見返りとして得たプロスペクトたちが魅力的であることは否定できないのではないでしょうか。この投稿ではこのプロスペクトたちのスカウティング・レポートを書いていきたいと思います。数が多い上に今後増える可能性も高いので、幾つかに分けて少しずつアップしていきます。

ジェーク・フレーリー(23歳:OF:左投左打)
マイク・ズニーノ、ギレルモ・ヘレディア、マイケル・プラスメイヤーをタンパベイ・レイズに放出した際の見返りとしてマレックス・スミスと一緒に獲得したのがジェーク・フレーリーです。16年のドラフト2巡目、全体77位で指名を受けたルイジアナ州立大学の出身で、17年オフのAUBL(オーストラリアン・ベースボール・リーグ)において40試合で39盗塁を記録した爆発的なスピードが最大の武器とされています。今季はA+の66試合で.347/.415/.547/.962のスラッシュラインを残すブレイクアウトイヤーを送りました。16年のオフからマイク・トラウトやミゲル・カブレラらを参考にスイングの修正に取り組み続けており、AUBLでは13本、A+では4本のホームランを記録するなどパワーの面でも進歩を見せています。マイナー通算105三振、66四球とアプローチも非常に成熟しており、レギュラー級の打者に成長する可能性も十分考えられます。一方の守備ではOF3ポジションを全てプレーしていますが、アームは平均以下との評価を受けており、CFまたはLF向きです。プラスのディフェンダーとも言われており、CFをプレーすることに問題はないでしょう。まとめると、フレーリーはこのまま打撃が成長を続ければCFまたはLFのレギュラー、もしそれが上手くいかなくても控えOFとしてプロジェクトできるでしょう。選手のタイプとしてはリスクは低目ですが、怪我が多く今年の66試合出場がプロ入り後最多であるという点は不安材料です。

ジャスタス・シェフィールド(22歳:LHP:左投左打)
ジェームズ・パクストンをニューヨーク・ヤンキースに放出した際の見返りの目玉がこのシェフィールドです。14年ドラフト1巡目、全体31位でクリーブランド・インディアンスに指名された後、16年のトレードデッドラインにアンドリュー・ミラーとのトレードでヤンキースに移籍していました。90マイル半ばのファストボール、80マイル半ばのスライダーはどちらも多くの空振りを生み出すことのできるプラスの球種です。この2球種よりは評価が落ちるもののチェンジアップもクオリティは高く、こちらもプラスピッチに成り得ると言われています。この3球種を扱うピッチングの威力は強烈で、2A-3Aでの計116.0投球回で123もの三振を奪い、被打率僅か.195とマイナーを圧倒しました。先発3番手クラスの素材と目される一方で、6フィート(約183センチ)と先発投手としては小柄な体格、未熟なコマンド、力みのある投球フォームなどからその将来像をブルペンに見出すスカウトも少なくありません。実際に今季のマイナーでも与四球率は3.879と制球面の荒さは出ています。ブルペンに回った場合は、恐らく少なくとも勝ちパターンの一角を担える存在にはなれるのではないでしょうか。プロスペクト時代にはシェフィールドと同様に四球が多く、ブルペンに配置転換される可能性が高いと見られていた交換相手でもあるパクストンをローテーション投手へと育成したマリナーズは、シェフィールドを物にできるのか?要注目です。ちなみにロサンゼルス・ドジャースから16年に同じくドラフト1巡目(全体36位)で指名を受けた名門バンダービルト大学出身のジョーダンは1歳年上の実の兄ですが、フロリダ・マーリンズ(現マイアミ・マーリンズ)などでプレーした名選手ゲーリー・シェフィールドとの血縁関係はありません。

エリック・スワンソン(25歳:RHP:右投右打)
パクストントレードの見返りの2人目がスワンソンです。元々は14年のドラフト8巡目でテキサス・レンジャーズに指名されており、16年夏のカルロス・ベルトランとのトレードでヤンキースに放出されていました。回転数の高いファストボールは平均92-94マイル、最速97マイルのパワフルさと、出所の見にくいフォームとの相乗効果でより多くの空振りを生み出すことが可能なベストピッチ。80マイル半ばのスライダー、80マイル前半のチェンジアップはどちらも少し修正が必要なものの、平均的な球種に成り得るとされています。3球種しっかり揃えており、体格も6フィート3(約190センチ)、235ポンド(106キロ)と頑丈、コントロールも平均以上と、他の部分で先発適正に疑問を呈するような要素はないと思われます。今季はA--2A-3Aの3階級において121.2投球回、29与四球、139奪三振と抜群の成績を残して大きく評価を上げました。先発4or5番手、もしくはファストボールの威力と体格の良さを活かして、複数回投げることのできるリリーバーとして活躍できるかもしれません。

ドム・トンプソンウィリアムズ(23歳:OF:左投左打)
パクストントレード最後のピースがトンプソンウィリアムズです。5ツールプレイヤー候補とは呼ばれたものの、プロ入り後2年の間は試合の中でそのツールを活かすことができずに平凡な成績に終わっていましたが、今季はA-A+の100試合で.299/.363/.546/.909と大ブレイク、2Aのプレーオフにも出場しました。22本塁打、20盗塁をマークしたパワーとスピードのコンビネーションが最大の売りで、マイナー全体でも6人しかいなかった「20本塁打-20盗塁」を達成した選手の1人です。ディフェンダーとしても上々の評価を受けており、OF3ポジション全てをそつなくこなすことが可能。三振率24.5%と三振が多く、平均以上と言われるパワーポテンシャルを活かすことができるほど、コンスタントにコンタクトを生み出すことができるのか?という点が一番の懸念でしょう。また盗塁失敗9(盗塁成功率69%)と盗塁技術もやや未熟であり、開花はしたものの磨く必要のある部分はまだまだあります。このまま打撃面で順調に進歩を見せることができるならレギュラー級の選手に、それが無理ならパワフルなバッティングとOF3ポジションをこなせる便利な第4のOFが将来的な役割になりそうです。

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