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シンデレラの罪について。と、子どもに創造力と想像力を身につける英語の本10冊。(日本語訳版もあり)

先日、義理の母が、夫が小さな頃に読んだという本を大量に送ってきました。それを整理しているうちに、いくつか70年代のディズニーの本が出てきたのですが、可愛らしい昔の絵に惹かれて何気なく読んだ『シンデレラ』。この純粋無垢なはずの話に、図らずもわたしは不快感を覚えたのです。みなさんは内容を詳しく覚えていらっしゃるでしょうか? あまりによく知られたストーリーなので、わたしも再度読んでみるまで全く疑問にも思わなかったのですが、どこに動揺したかというと、大きく2点あります。

まず、冒頭の継母と腹違いの姉たちにいじめられるという設定に対して居心地が悪く感じました。この時代、離婚や再婚はよくあることで、アメリカでは離婚は2組に1組、日本では3組に1組です。それに伴って、再婚する人たちも大勢いるわけで、血の繋がらない家族がいることは今やそんなに珍しいことではありません。子ども心にこの状況はどう映るのか、デリケートな問題を前に、継親はこれをどう読み聞かせるのか、そんなことを悶々と想像してしまいました。

そしてもう一つ。王子が「花嫁を選ぶから町中の娘たちよ、出てきなさい」という御触れを出すという流れ。綺麗な格好して舞踏会に出てくれば王子様が選んであげますよ、なんて、とても男性本位で、女性には選ぶ権利がないかのよう。物語は最初から最後まで全体的に彼女がとてもか弱く、依存的に描かれていて、自立心がないのです。シンデレラ・コンプレックスの語源はまさにここから来ているのですね。

何十年も前のお話ですから、今現在の世の中からすれば、もちろん時代錯誤になることも仕方がありません。ただ、もしわたしの子どもが娘だったら、この本を読んで、シンデレラのような、王子様に選ばれるのを待つプリンセス思考にはなって欲しくないと強く思うことでしょう。ドレスは結構ですよ。おしゃれをするのは楽しいですし、わたしも大好きです。でもやっぱり子どもたちには、もっと大事なことを教えたい思うのです。男だろうが、女だろうが、芯が強く、Creativity(創造力)やImagination(想像力)が豊かな子どもに育ってほしいし、そういう心を養う本を読んでほしいと、わたしは強く願います。

さて、冒頭から力が入ってしまいましたが、今日はわたしのお勧めする、創造力と想像力を養う本を紹介したいと思います。わたしもそうだったのですが、日本語の本だと、自分の読んだ経験でわかるものも多いのですが、英語だと何を選んだらいいかわからないという方も多いと思います。ここに選んだ本は、アメリカ人の友人たちから子どもへのプレゼントとして頂いたものや、図書館で見つけたものなどで、どれもとても素晴らしいので、大人でも楽しめますし、プレゼントにも最適ですよ。ぜひ読んでみてください。

1: Iggy Peck, Architect
 (邦題:天才こども建築家、世界を救う)

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イギーは2歳の頃から、オムツで建物を作り始めました。建築家になるために生まれたかのようなイギーは、それを阻止しようとする学校の先生の逆風にも負けず、様々な素材でたくさんの建物を作ります。クリエイティビディがいかに子どものエネルギーとなるかがわかります。リズミカルでとても読みやすいこの本は、アメリカのSTEM教育(science, technology, engineering and mathematics)の流行りに乗って、とてもヒットして、この作家はのちに以下の2作品も発表し、New York Timesのベストセラーとなりました。(対象:感覚的には3歳以上ですが、本好きな子は2歳頃から大丈夫です。)


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2: Rosie Revere, Engineer
(邦題:しっぱいなんかこわくない!)

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イギーペックと同じ作家のお話です。ロージーは恥ずかしがり屋ですが、実はうちに秘めたエンジニアの素質があります。幾度か人に笑われたため、心が折れそうになり、自分の好きなことを隠そうとする彼女。エンジニアの叔母さんに勇気付けられて素晴らしい飛行機を発明をします。が、その飛行機は、途中で壊れて落ちてしまうのです。その時の叔母さんの言葉がとても素晴らしくて、読んでいるわたしも元気が出ました。「失敗したわね、でもそれでいいのよ。この飛行機、失敗する前に一度は飛んだでしょう? すごいわ! さあ、落ち込んでいないで、次の試作品に取り掛かりましょう!」ちなみにこの女の子の名前と服装は、「We Can Do It!」のポスターで知られるアメリカの強い女性の象徴でもあるロージー・ザ・リベッターのパロディですね。アメリカのAmazonで1000人以上のレビューをもらって、5つ星なのもうなづけます。(対象:こちらも感覚的には3歳以上です。4歳以上ならより内容を理解すると思います。ただ、内容はよくわからなくても面白く可愛いイラストで小さい頃から楽しめます。)

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3: Frederick
(邦題:フレデリック-ちょっとかわったねずみのはなし)

シンデレラを批判しましたが、わたしは昔の本は全部嫌いというわけではありません。この本は多くの方がご存知だと思います。仲間のネズミたちが冬に備えて一生懸命冬ごもりに備えて食料や藁を集めているのに、フレデリックは、上の空。ぼーっとしているようにしか見えない彼の様子に、仲間たちはイラッとして「フレデリック、どうして君は働かないの?」と聞きます。フレデリックは「こう見えたって働いてるよ。寒くて暗い冬の日のために、僕はお日様の光を集めてるんだ」と言います。やがて冬になり、備えた食料で楽しんでいたうちは良いものの、そのうち食料は尽きてしまいます。そんなとき、仲間たちは怠け者フレデリックを思い出して、「君が集めたものはどうなったんだい?」と尋ねます。するとフレデリックは、寒い洞窟の中で色や光の話をして、魔法のようにみんなの心を温めるのです。このストーリーは『アリとキリギリス』とは真逆の内容で、全ての人に受け入れられる話ではないかもしれません。実際US Amazonのレビューにもいくつか酷評があります。「怠け者でけしからん。」「子供達には真似させたくない最悪のストーリー」など。ただ、1960年代の初版から、多くの人から支持を得られている絵本であることも間違いありません。アーティストの社会的な役割を、こんなにも美しい形で表している本は他にあるでしょうか? 一生懸命身を粉にして働くことも大事だけれど、心を豊かにすることも同様に忘れるべきではないという教訓は、まさに今の日本人が学ばなくてはいけないことだとわたしは思います。(対象:2、3歳以上くらいかと思いますが、大人も学びがある本です。)

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4: Harold and the Purple Crayon
(邦題:はろるどとむらさきのくれよん)

これはかなりクラシックな本ですが、今の時代にもマッチした、とても自由な発想の本です。シンプルな絵柄が、紫のクレヨンひとつで世界を作り出していくハロルドの冒険をなおさら際立たせ、読んでいてハラハラドキドキさせられます。(対象:ストーリー自体は長いですが、一ページずつの文字は少ないので、対象年齢は1、2歳くらいですが、末長く楽しめます。)

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5: Goodnight Moon
(邦題:おやすみなさいおつきさま)

もう一つ、英語圏の国では王道の絵本。 これを初めて読んだときは、ピンとこなかったのですが、子どもにせがまれて2 度、3度と読むうちに、どんどん好きになっていきました。今では子どもにせがまれなくても読みたくなる本です。この本は、アドベンチャーがあるわけでもないし、チャレンジがあるわけでもありません。でも、読み進むうちに同じ空間の中で、夕方から夜にかけて、だんだんと日が暮れ、一つ一つのものに丁寧に「おやすみなさい」と声かけをしていくうちに、読み手は周りの小さな変化に気づくのです。マインドフルネスですね。そのアートワークの素晴らしさに、いつ読んでもわたしは感動します。日本語版もありますが、英語版のリズム(韻)がとても良いので、英語版を強くお勧めします。英語もものすごく簡単です。(対象:6ヶ月くらいの赤ちゃんから楽しめる、簡単な本です。)

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6: The Sound of Silence

これもマインドフルネスにつながる、とても素敵なストーリーです。「間(静寂)の音ってどういう意味?どこにあるの?」という疑問から、主人公ヨシオは町や周りの音に神経を傾けながら探索します。そしていつしか、身の回りの「間」に気づくのです。日本の風景が出てきて、親も楽しんで読めますよ。イラストレーターが台湾人だからか、それとも絵本だから自由な発想に基づいたのか、ちょっとだけおかしな風景(朝の神社の境内でおばあさんが琴を演奏している横で、屋台が出ていたり、新幹線のホームに小学生が下校中によってみたり…)もあったりするんですが、それはそれで突っ込みながら読むのもいいかもしれません。何気なくトトロの絵があったり、無印良品のお店があったりして、日本への愛が伝わります。わたしのアメリカ人の友人の子どもにあげたら、とってもお気に入りになったと喜ばれました。(対象:2歳くらいから楽しめますが、「間」の意味するところを真に理解するのはもう少し上の年齢になってからだと思います。)

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7: If I Built a Car

近くの子供ミュージアムにこの本があるのですが、うちのピコロくんと行くたびに、読んでくれとせがまれます。この話は、車の後部座席に乗っている子供が運転席の父親に向かって、「この車、悪くないけど、僕ならもっとすごいの作るね!」というところから始まり、車内にプールがあるとか、車が柔らかいとか、奇想天外で面白い発想を披露します。同じシリーズでIf I Built a House(家バージョン)とIf I Built a School(学校バージョン) も出ていて、とても素晴らしいのでぜひ。(対象:わかりやすいので2歳以上くらいかと思いますが、長く楽しめます。)

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8: The Adventures of Beekle: The Unimaginary Friend
(邦題:ビークル ゆめのこどものおはなし)

アメリカでは、どの子どもにもそれぞれImaginary Friends(空想上の友達)がいるといいます。映画Inside Out(放題『インサイド・ヘッド』)にも、ピンクのモンスターがImaginary Friendとして出てきますよね。あんな感じです。この本は、その空想上のモンスターが、Unimaginary Friend(非空想上の友達)として逆に人間のリアルな世界にやってくる、というお話です。二人が出会い、人間の女の子が空想のモンスターにBeekleという名前をあげるシーンはとても可愛らしく、ほほえましいです。(対象:2歳くらいから楽しめます。)

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9: Not a Box

子どもの頃、誰もが遊んだことのある段ボール箱。色々なものに見立てて、想像の世界を膨らましたものです。このお話でも、最後までウサギと段ボール箱しか出てこないのに、"It's not a box"という言葉をキーワードに、段ボール箱が山や宇宙船やレースカーになるのです。遊びのアイデア(きっかけ)をたくさんくれるんですね。読み終わった後に段ボール箱で子どもと一緒に遊びたくなりますよ。紙に四角を描いて「何に見える?」と言って遊ぶのも楽しいと思います。(対象:1歳くらいから楽しめます。英語も簡単です。)

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10: Press Here
(邦題:まるまるまるのほん)

ドットを押すと、次のページでは、ドットがふたつになってる。本を振ってみると、次のページにはドットが片方のページに寄ってる。とても楽しく、こんな発想があったとは!と驚くばかりです。絵本はページをめくるというシンプルな行為ですが、デジタルでなくても、こんなに想像を掻き立て、インタラクティブな本ができるなんて、考えもしませんでした。Amazonのレビューは2000以上で4.5星!その中の一つのレビューには、「お医者さんの待合室で子供に読んであげてたら、室内の子ども全員に周りを取り囲まれた!」とあります。本当にすごい力です。(対象:アクションを促すには2、3歳くらいからがいいと思います。)
このビデオを見ると、わたしの言ってることがわかりやすいと思います。↓

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ここにあげた本10冊は、だいたい2〜6歳向けではありますが、うちの2歳に満たない息子にも読んであげていますし、どれも彼が何度も読んでくれと催促するくらい好きです。このほかにもピコロくんが好きな本はたくさんあります。トトロの本(100ページ!)なんて、何度読まされたことか… 日本の本のご紹介はまたいずれ。

※追記:これは2017/10/19に書いた記事を、ブログのプラットフォーム移行に伴い、若干の修正を加えて転載したものです。

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