見出し画像

みんコレ!医師国家試験 予想問題(臨床問題編) 第16問

みんコレ!事務局が作問した医師国家試験の予想問題です。
第117回の医師国家試験委員になった先生方の専門や論文等の情報を元に作問しています。ぜひチャレンジしてみてください。
問題はTwitterアカウントでも発信しています。
みんコレ!会員登録受付中!登録はこちらから。

みんコレ!会員登録受付中!


問題

次の文を読み、問いに答えよ。
25歳男性。陰茎の潰瘍を主訴に来院した。
現病歴:2日前に陰茎に潰瘍が出現し、次第に拡大するため受診した。潰瘍部に疼痛はない。
既往歴:なし
生活歴:喫煙は20本/日を5年間。飲酒は機会飲酒。不特定多数との性交渉歴あり。
現症:意識は清明。身長175cm。体重80kg。体温36.5℃。脈拍75/分、整。血圧120/64mmHg。呼吸数12/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。陰茎に潰瘍を認める。
検査所見:赤沈28mm/1時間。血液所見:赤血球390万、Hb 12.8g/dL、Ht 41%、白血球9,500(桿状核好中球16%、分葉核好中球64%、好酸球2%、好塩基球2%、単球9%、リンパ球7%)、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 102mEq/L。免疫血清学所見:CRP 3.0mg/dL、抗HIV抗体スクリーニング検査陰性、尿中クラミジア抗原陰性、RPR 32倍(基準1倍未満)、TPHA 80倍未満(基準80倍未満)。

1. この患者に適切な抗菌薬はどれか。
a:セフトリアキソン
b:カルバペネム
c:テトラサイクリン
d:ペニシリン

2. 適切な抗菌薬を投与した翌日、38.1℃の発熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛が出現したため再び受診した。呼吸苦はないという。昨日に比較して患者に新たに発生した皮疹を認めない。この患者に対して現時点で最も適切な説明はどれか。

a:「今すぐ抗菌薬を中止してください」
b:「現在処方している抗菌薬を服用して大丈夫です」
c:「ほかの性感染症のために採血をしましょう」
d:「現在服用している抗菌薬に加えて、新たな抗菌薬を服用しましょう」


≪この下は正解・解説です≫







解答

  1. d:ペニシリン

  2. b:「現在処方している抗菌薬を服用して大丈夫です」

解説

典型的な梅毒の問題。
問1に関しては超典型的な問題なので絶対に間違えないようにしよう。もし本患者にペニシリンアレルギーがある場合は2nd choiceとしてテトラサイクリンが正解になるためそこもあわせて国試の過去問を確認しよう(113E48参考)。

問2はJarisch-Herxheimer(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー)反応について聞かれている。これは抗菌薬によって起因菌が体内で大量に死ぬことによって患者に発熱、全身倦怠感、頭痛、悪寒、筋肉痛などが生じる反応である。
対応としては原則抗菌薬の服用を継続し、場合に合わせて対症療法を行う。今回の問題ではアレルギーを疑うような所見に欠けているため、aは正解とならない。cとdは現時点で最も適切とは言えない。したがってbが正解となる。

参考113E48, 113E49, 115B40

梅毒は111回から116回まで毎年出題されているほど重要な性感染症である。近年は梅毒の感染者が増加傾向にあり、研修する地域によっては研修医になってから梅毒を診ることが増えるかもしれない。そうした近年の公衆衛生的状況から、出題者側からしても梅毒をある程度診れるようになってほしいという啓蒙的要素があるのだろうと考えられる。
特に問2のJarisch-Herxheimer反応は、国試ではまだ未出題だがここ数年予想的知識として話題になっているため今後の国試でいつ出てもおかしくない。一度目を通しておけば解ける問題であるため、問2は出題させていただいた。こうした反応があるのだなと踏んだうえで、梅毒に対して抗菌薬を処方するときは、患者にこういう反応が出ても心配することはないとあらかじめ伝えておくことが大切である。

【最後に告知】受験生の方へ

みんコレ!は医師国家試験の合否予測サービスを提供しています。
当日の試験の合間に自己採点ができたり、みんコレ!公式の禁忌選択肢予測が見れるなど、試験期間中の受験生の方々に役立つサービスになっています。
今なら、会員登録をし、国家試験の解答入力を完了すると3,000円相当のMedPeerポイント(*)を進呈するキャンペーンも実施しています。
ぜひ登録して試験に備えてくださいね。
登録はこちらから

みんコレ!会員登録受付中!

(*)MedPeerポイントとは、医師・医学生向けサイト上にて進呈させていただくポイントで、Amazonギフト券や各種電子マネー等との交換、国境なき医師団への寄付に利用可能です。

※メドピア主催のキャンペーンです。
※Amazon、Amazon.co.jpおよびそれらのロゴはAmazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。