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USJもいつかアユタヤくらいBIGな遺跡になるのではと愚考した2日目

デラックスベットの端っこで目が覚めた。なんてもったいない。
バンコク旅行2日目の始まり。

この日は日本語ガイド付きツアーを申し込んでいた。丸一日ギュギュっと効率主義ツアー。つまりなにも考えずただ楽しんでいればいい楽ちんな日。

朝6時台、高速道路の反対車線はすでに大渋滞だ。ガイドさん曰く、電車の通っていない郊外からの通勤には車が必須。みんな渋滞を見こして家を出るので朝は早く、朝食は屋台かどっかで買って車中で食べるのだそうだ。ふむ…それって根本解決にはなってないけど、彼らがそれでいいならいいのか。

車で2時間弱、メークロン市場に着いた。
線路上にマーケットを展開し、電車が来るといっせいに商品を片付け、行ってしまえばまたそそくさとマーケットが再開される。テレビかなにかで見たことはあったが、ガイドブックを見るまでは、これがタイのワンシーンであるというのを知らなかった。
電車の通過時間に合わせて自力でメークロン市場に行くのは、いろいろ加味してタイパが悪そうだったので、ありがたくツアーに頼らせてもらった次第だ。

本当に線路ギリギリまで、肉、魚、野菜、お土産などがずらりと並べられている。そして、観光客もずらーーりである。ぜったい邪魔やんわたしたち、と思わずにはいられない。そんなわたしたちにはお構いなしの様子で、現地の人々は淡々と日常をこなす。この狭い線路上で、温度差の激しい日常と非日常が混ざり合っている光景は、なんだか違和感を覚える。ここの人々はもう、こんなの慣れているのだろうか。

お目当ての電車がぬめぬめと現れた。テントがパタパタとしまっていく。電車が来るから片付けよう、というより、電車が来たからしゃあなし片付けよう、という具合である。それとも、スリルを魅せてくれているのだろうか。もう、この観光客の多さの前では、日常生活というよりショーを見ているような気分になってきた。

ふと、線路と市場、どちらが先にできたのだろう、と疑問に思った。
―第二次世界大戦後、タイ鉄道が私鉄から国営になり、このメークロン駅付近も国有地となった。それをきっかけに貧困層の人々が線路脇に無許可で家を建て、後に商売まで始めてしまったということだそうな。

そしていつの間にか観光地になっていた、という感じか。国も観光業でお金入るし、ここの人々もタダ?で住めるならWINWINなのか??
こうして今目の当たりにしていても、ここの人々の心境は、日本でぬくぬく育ったわたしの浅い頭と心ではわからないのであった。


受動的移動により、ダムヌーン・サドゥアク水上マーケットへ。
『タイの伝統文化である水上マーケットを体験するためのテーマパークへようこそ!』といった感じである。構えも、店も、船も、”観光客用”という気がしてならない。それもそのはず、政府が観光客誘致のために開発したというのだから。

ボートに揺られながらのんびりタイ風の建物を眺め、ココナッツアイスをなめる。観光業、観光客、現地の人々の暮らしのバランスについて考える。なににおいてもだけど、全員がYESとなる答えを出すのは、相当難しいんだ。



さあ!タイといえばのアユタヤ遺跡。意気込み虚しく寝ている間に着いた。

昔の人が造った寺院や城や墓を見たときに、いつも決まって思うのは、よくもまあこんな大変なことしたよなあ…。現代みたいな便利ツールが存在しない時代にだ。「ボクこんな〇〇造りたいんだけど」を実現してしまう王様と、恐らく強制的に働かされたであろう人々に、心からリスペクトを送りたい。

遺跡の中に身を置き、戦争で破壊された跡や、頭のない仏像(高く売れるから盗まれたそう)などを見ていると、遠い遠い過去の出来事を、時を越えて間接的に体感しているような不思議な感覚になる。教科書上の物語は、本当にあったことなのだよと、突きつけられているみたいに。


こうして歴史を体感することは、未来を考えるために大切なことかもしれない。それにしても。世界にはこのような遺跡がわんさかあり、保存しましょうねとうたっているけれど、この先ずっとそんなことしていたら、そのうち地球上あちこち遺跡だらけになってしまわないだろうか。

例えば500年後くらいにはもしかしたら、”USJ遺跡群”などと呼ばれているかもしれない。VR等が発達して自宅でデイリーにUSJ張りのことが体感できる時代がきたら、「20世紀の人たちはここに映画やアニメの世界を再現していたんです。これを体験するのに2時間も並んでいたそうですよ。」「え~よくこれに2時間も並んだな~」とか言われたりするのかな。歴史は繰り返すって言うもの。

しかしわたしは、オンラインやバーチャルより生身がいい。そしてもっと言えば、メークロンショーじゃなくて水上マーケットテーマパークじゃなくて、リアルの中でリアルを見てリアルを知りたヒソヒソヒソ…

いえ、ツアーというのはありがたいビジネスである。

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