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7年間ずっとゆるキャラの中の人!? 伏見の「ふしみこちゃん」生みの親・立野晃史さんに聞く誕生秘話とその想い

皆さんはゆるキャラに会ったことはありますよね? でも、その“中の人”に会ったことがある人は、あまりいないのではないでしょうか?

今回ご紹介する立野晃史さんは、まさしくその「ゆるキャラの中の人」。
しかも、7年間も専属で中の人をしているというから驚きです。

立野さんは、伏見区の町づくり活動の中で生まれたゆるキャラ「ふしみこちゃん」の専属。地元の良さを伝えるPR活動のシンボルキャラクターとして、地元のイベントなどに出演しているそうです。

そのとき、世界が一変。

立野さんが伏見区の活動に関わるようになったのは、転職をして3、4年目の頃。ようやく業務にも慣れて問題なく仕事はこなせるけれど、大きなことはまだ任せてもらえないという日々に、悶々とした状態でいたそうです。

そんなとき、伏見区役所から届いたのが1枚の町づくり活動募集チラシ。このチラシが立野さんの世界を変えました。

会社の世界とは違った町づくりの場へ、その後の「ゆるキャラの中の人」としての世界が開かれたのです。

ゆるキャラづくりはチームづくりから

立野さんが参加したのは、「伏見をさかなにざっくばらん」というまちづくりの活動。立野さんは「ゆるキャラを作りたい」と提案。「伏見ゆるキャラ大作戦」がはじまりました。

当時は全国各地でたくさんのゆるキャラが次々に誕生していました。しかし、どれもが男性的なイメージ。話し合いのなかで、ある女性が提案した「伏見」「巫女」というキーワードから「ふしみこちゃん」という名前、そして「永遠の16歳の女の子」というコンセプトが生まれます。

デザイン、素材の手配、プロトタイプの製作など、たくさんの苦労を乗り越えて、本格的に形にしていきながらチームづくりも行われ、そのプロセスの中で、立野さん自身が抱えていた「悶々とした気持ち」も解消していきました。

言い出しっぺの行方

1年をかけて完成した「ふしみこちゃん」。プロジェクトの発表会の場に出るときに、自然と「中にはいるのは言い出しっぺの立野さんでしょう」という空気になりました。立野さん、入るのは嫌じゃなかったんですか?

「入っていいんですね。ラッキー!と思いましたね」

それが立野さんが「ふしみこちゃん」となった瞬間でした。
そうこうしているうちに、ふしみこちゃんはあちこちのイベントに呼ばれるように。段々と忙しくなっていきましたが、立野さんは7年間ずっとふしみこちゃんの中の人を続けています。

「中にはいるのは、立野さんだけでなくてもいいのでは?」という私からの問いに「いやあ、楽しいですから」と飄々と答える立野さん。

「名前を覚えてもらったり、目の前の人が笑顔になってくれたり。子供さんが喜んでくれるのを見て、その親御さんがまた笑顔になってくれたり。どんどんやりがいを感じるようになったんです」

ふしみこちゃんとして様々な場所に行き、たくさんの人との出会いについて話してくださる立野さんの表情は、ふしみこちゃんそのものだと感じました。

また、活動を通じて立野さん自身も伏見の町づくりへ関心を強めていったようです。活動を始めて2、3年が過ぎる頃には「知らない人にも伏見の良さを知ってもらいたい」という強い想いも生まれてきました。

ふしみこちゃんのライバルは?

4年目を過ぎた頃からは、その実績から色々と相談を持ちかけられるようになりました。「伏見桃山城公園で行われる「伏見・お城まつり」実行委員会をつくりたい」「新しいゆるキャラを作りたい」などの要望にも答えたり。

活動の場が広がっていき、ふしみこちゃんは立野さんを今までなかった世界へと連れていってくれるツールとなっていったようです。

今ではすっかりふしみこちゃんと一体化している立野さん。「ゆるキャラのライバルはいますか?」と聞いてみると、「京都のゆるキャラはみんなライバルです」と答えた立野さん。「でも、まゆまろちゃんとは仲良くしたい」というセリフも飛び出しました。

さすが、ゆるキャラ業界を知り尽くしている立野さん。次々と聞いたこともないようなゆるキャラの名前が溢れ出します。もう、止まりません。

「何気ない伏見の日常にゆるキャラが現れる。それだけでそのイベントの印象が深まり、話題になって情報が伝わっていく。ショーアップだけでない、小さな町づくりのなかで、ゆるキャラを知ってもらうことがうれしいです」

7年間ずっとゆるキャラの中の人

ゆるキャラのふしみこちゃんという顔を持つことで、「普段の生活でリアクションがオーバーになったと言われるなど、変化はないですか?」と聞くと、立野さんは笑いながらこう答えてくださいました。

「大丈夫です。ふしみこちゃんに入ると、自然とスイッチが切り替わります」

そうは言っても、7年間もゆるキャラの中の人を続けていて、日常が変化していないとは到底思えません。きっと、会社の同僚のみなさんも立野さんの変化を感じておられるのでは?

「たしかに、仕事の段取りを考えるようになったり、見せ方を意識するようになりました。例えば、名刺一つ渡すにしても相手を見てゆっくりと丁寧に渡すようになり、人との接し方も変わりましたね」

もし、ゆるキャラに出会わなかったら、悶々とした気持ちを抱えたまま立野さんはどうしていたのでしょう。当時の自分に伝えるとしたら、どんなことを言ってあげたいですか?と聞くと、立野さんは短く答えました。

「間を大切にすることでしょうか」

ゆるキャラでは顔の表情は出せません。相手の反応を見ながらリアクションを工夫し、そこに人を喜ばせようとする気持ちが加わることで、立野さんの生き方そのものが変わってきたのではないかと思いました。

お城まつりは、まだまだみんなに知ってもらうまではいっていないので、これからもふしみこちゃんと共に盛り上げていきたいです」と話す立野さん。立野さんからは周りを応援していく姿勢とゆるキャラ愛=地域愛を感じました。

今年も秋に『伏見・お城まつり』が開催されます。ぜひ、笑顔のふしみこちゃんに会いにいってみてください。

(文・写真/東谷 修子)

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