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バルーンアートの衝撃から始まったまちづくり 「アートが溢れるまちで大切な人を育てたい!」 株式会社キャピタル代表 河野将之さんインタビュー

自分のまちが「よいまち」になったらいいな。多くの皆さんはそう思っているのではないでしょうか?でも、その姿をはっきりとイメージできる人は意外と少ないかもしれません。

河野将之さんは、10年前にお子さんが生まれてから、まちへの関心が高まりました。「自分の大切な人が育っていくまちが『よいまち』になって欲しい」という願いを持つようになったからです。

今、アートの力を使って、左京区をもっと「よいまち」にするために、動き出そうとしている河野さんに、インタビューでお話をうかがいました。

アートには、人と人とのつながりをつくる力がある 

河野さんは、平成17年に株式会社キャピタルの代表取締役に就任。当初は、もともとの事業であった時計や喫煙具の卸売りを中心に会社を経営していましたが、現在は「バルーン・イベント事業」も手がけています。そのきっかけは、3年前に見たバルーンアートの全国大会で受けた衝撃でした。

「体育館5個分ぐらいの広さの会場に、馬や龍、象など、様々なバルーンアートが展示されていて、作品のすごさに驚いた以上に、人を驚かせたい、喜ばせたい、感動させたいという作り手の想いを感じて圧倒されたんです。作品には必ずストーリーがあり、作品を見た人が、作り手の心に想いを馳せることで、作り手と見る人がつながれる、アートには人をつなげる力がある。」

その時の感動が今も河野さんの心に残っていると言います。
なんと、バルーン・イベント事業を始めたのは、そのすぐ後のことだったそう。すごい行動力!

まちへの想いとアートがつながる

その後、河野さんは、企業団体の活動で、右京区の「子ども仕事博」や、梅小路公園での「市民ふれあいステージ」などのまちづくり活動に関わる機会がありました。10歳と7歳のお子さんを持つ河野さんは、そうした活動を通じて、地域の子どもの笑顔と成長を見られることに、嬉しさとともに、自分の心が温かくなるのを感じていました。このころから、「何かまちのためになる活動をしたい」と考え始めます。

そして、3ヶ月前に、左京区にある京都造形大学の学生さんの絵を、河野さんの会社の事務所に飾る機会がありました。この時から、河野さんの想いが行動に向けて加速します。その時に、「もっと自分たちの作品を飾る機会が欲しいと」と学生さんが言うのを聞いて、ピンときた河野さんは、すぐに、京都造形大学のホームページを調べました。そこに、「アートとデザインの力」と書いてあるのを見て、「これは、まちづくりに活かせる!」という発想を得ました。

具体的には、大学生が作ったアート作品を、左京区の様々な事業所や店舗やに飾ってもらうということです。そうすることで、大学生は自分の作品を見てもらえる機会が増えます。事業所などは、アート作品を飾っている会社ということで、面白がってもらえ、認知度のアップにつながります。まさに、一石二鳥のアイデアです。

アートでまちを格好良くするのが目的ではない

では、河野さんは、アート作品がまちに溢れることで、まちの未来をどのように描いているのでしょうか?河野さんは「観光客を増やすことが目的ではない」と言います。

以前に、近所のおばあちゃんが、「まちに店が増えれば光が増えて安心だ」と言っていたのを河野さんは覚えています。また、「人はきれいな花にごみを捨てることはしない」と河野さんは言います。

まちにアート作品が溢れることで、「うちの町キレイやろ」、「まちが学生の作品で溢れてるんやで」とまちに愛着を持つ人が増える。「この作品、どんな想いでつくったんやろ?」と人の心に想いを馳せる人が増える。そして、「あの作品かわいいね」などの新しい会話がご近所さん同士で生まれる。河野さんは、そんな「よいまち」を自分の大切な人に残していきたいのです。

河野さんは、一緒に「よいまち」をつくっていく仲間、協力者を募集しています。もちろん、待っているだけなく、自ら地域で仲間探しを始めています。

みなさんも、まちの風景の中に隠れている、人の想いを探してみませんか?


(文・写真/山下比佐暢)