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“多様性”とは“可能性” そしてワクワク社会の実現へ。あなたのストーリーがまちをつくり社会を変える

最近よく耳にする“多様性の社会” “個の尊重・個性の時代”。なんとなくはわかるけど、何でも認められるわけではないのでは、と感じていませんか?

今から話にでてくる「コミュニティオーガナイジング」の特徴を少し聞くだけでも、そのモヤモヤ感が解消され、良好な人間関係が構築されるかもしれません。

今回は、京都市職員で青少年の活動支援などを経験し、現在は主にまちづくり活動支援をされている山下比佐暢(ひさのぶ)さんにインタビュー。

コミュニティオーガナイジングの、コミュニティの力の結集で社会を変える手法、考え方を広める活動についてお聞きしました。

導かれるように活動

コミュニティオーガナイジングとは、多様な人が集まって、組織コミュニティを作って何か目標を達成したいときに、仲間集めから目標達成までの一連のプロセスを体系的にまとめた手法

オバマ大統領が当選した時に「オバマキャンペーン」という、一人一人がリーダーシップを持って、盛り上げるキャンペーンをリードしたことで知られる、ハーバード大学のマーシャル・ガンツ博士が体系化した理論です。

山下さんが【コミュニティオーガナイジングfor関西】の活動をはじめたのは約2年前。

仕事柄もあり普段から円滑なコミュニティの運営、多様な人達の支援の方法に興味があった山下さんは、フェイスブックで見かけたコミュニティオーガナイジングの記事に興味を持ち、活動に関わっている方々との偶然の出会いも重なり、2日間のワークショップに参加することに。

ワークショップでは、キャンペーンという目標を設定し、人の巻き込み方や実現の方法などを考えていきますが、その中で特徴的な考え方として一人のリーダーがいるようなコミュニティではなく、参加する一人ひとりがリーダーシップを発揮して、役割を主体的に行動するコミュニティを作っていくそうです。

例えば、そのコミュニティの中で困っている当事者がいるとすれば、支援されるだけではなく、その人達もエンパワーメント(力づけ)されて「リーダーシップを発揮して行動していく事に重きをおく」というのが、他の活動との違いなのだそう。

価値観の発見

山下さんは、コミュニティオーガナイジングの特徴の一つは「価値観でつながる」ことだと言います。誰しも価値観は必ず持っているものですが、人によって大きく違います。それでは、どうやって「価値観でつながる」ことができるようになるのでしょう?

ワークショップの中では、ペアになりお互いをコーチングという手法も用いながら、価値観を引き出し、見つめなおし、共有するワークを行います。

その後のワークでさらにその価値観を深めていき、1日目には「価値観って何ですか?」と困惑していた人が、2日目の最後には自身の幼少期の経験からくる価値観と、やりたい活動を大勢の参加者の前でスピーチし、会場が感動に包まれるという事もあるそうです。

人の価値観を引き出し、見据えることで、人がリーダーシップを発揮していく姿に感銘を受けた山下さん。この活動を普及したいと思い、運営側としての活動も始めました。今はご自身でワークショップを3回も開催し、100名以上の方々が参加されています。

価値観を伝え、共有する事で、人の心も動きます。山下さんが考える価値観とは、その人の根っこの部分で大切にしているもの 。一人ひとりが持っている価値観の共有によりコミュニティが強化され、目標に向かっての活動をスムーズに行う事ができます。大切なことは、お互いの価値観を共有し認め合うことです。

幸福感が増すワクワクした社会を目指す

山下さんが、このコミュニティオーガナイジングの活動を通じて目指しているのは「一人ひとりの幸福感を増すことで、ワクワクした社会を実現すること」、「自分の価値観を見据えて、それに沿って行動する事で幸福感が得られること」だと言います。

結果がどうあっても自分の大切にしている価値観に沿って行動する事で幸福感の向上、日々のワクワク感が増すのではないかと考えているそうです。

自分の大切な価値観に気づき、他人の大切にしている価値観を知ることで批判や中傷よりも、応援・協力、という人間本来の理解し、支えあう世の中が広がっていく。これこそがワクワクした社会の実現だと思いました。

山下さんにインタビューをさせていただき、自分にも問いかけながら、多様性を認める社会とは価値観の可能性を認める社会なのかなと思いました。

人それぞれが大切にしているストーリーがあり、その価値観を見据えることで、その一つひとつが社会を変える力を持ち、その力を結集する事で叶えたい社会が実現します。 コミュニティオーガナイジング活動はその実現への第1歩になります。

価値観というと難しく思うかもしれませんが、まずは身近な人の大切なコトを聞いてみましょう。食べ物でも趣味でもハマっているものでも構いません。そこにその人の価値観やストーリーがあるはずです。

あなたも自分の大切なストーリーを見つめなおし、可能性に満ち溢れた価値観を発見しワクワクした未来を一緒につくりませんか!!

(文・写真/河野 将之)