ソン・チャンシク「ゴールデン・第1集」(1988年、韓国)


ソン・チャンシクは韓国70~80年代フォーク・ロックの代表的アーティスト。日本でも「ソン・チャン・シック」名義でアルバムを出したことのある、知る人ぞ知る存在だ。
今回紹介するこのアルバムは一聴したところ、普通のムード歌謡なのだが、どういうわけかプログレッシブなものを感じてしまう。オーケストラの重厚なバッキングと、時折聞こえるモーグ・シンセサイザーの音、そしてソン・チャンシクのオペラ歌手・声楽家のような堂々とした歌唱力のせいだろうか。「プログレッシブ」というよりも「シンフォニック」と形容した方がいいのかもしれない。
ソン・チャンシクは70年代にロックバンド編成での良質なアシッド・フォークのアルバムを数多く出しているのだが、そちらの方が音がチープに聴こえるほどだ。それはそれで悪くないが、それとは別の魅力がこのムード歌謡アルバムにはある。
80年代には後輩歌手のキム・テゴンに倣ったのか、民謡ロック的なアルバムをいくつかリリースしている。その曲のいくつかは、コンピレーション・アルバム「ソン・チャンシク・ゴールデン・第三集」に収録されている(CD化されている。比較的入手は簡単)。まるでどこかの怪しい宗教団体の勧誘パンフレットのようなジャケットである。

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