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2023秋中四団体戦振り返り

はじめに


香川大学将棋部の88ミノです。
先日行われた秋中四団体戦の振り返りをしていきます。


目標


 部としての目標はA級残留です。
 前回の春中四にて我々は鳥取大学と松山大学を破り何とかA級へと舞い戻ることができました。戦力的にも強豪ひしめくのA級での優勝は程遠いため志は低いですがなんとかA級にしがみつくことを目標としました。

 A級は香川大学を除くと山口大学、岡山大学、徳島大学、広島大学、愛媛大学というメンツになっています。残留するためには最低でも1勝はする必要がありますが、我々はその1勝を愛媛大学からもぎ取ることを計画していました。理想としては香大1勝、愛大0勝の勝数での残留です。仮に愛大に負けるとA級残留は相当厳しくなるため、何としても勝ちにいくつもりでした。

 愛大をターゲットに設定した理由としては、正直消去法です。まず、山大と岡大は層が厚すぎるため論外、徳大はメロンさん・N中氏を筆頭に強敵ぞろい、広大は去年春優勝で層が厚い…といった流れ。とはいいつつ愛大も名無しの虎理事長とN野氏が強敵のため厳しい戦いが予想されました。


メンバー


 今回の我々のチームは8人登録で挑むことになりました。
 チームの平均棋力としては2.5段くらいでA級の中ではかなり低いと思われますが、過去の先輩たちのチームと比べても最高戦力に近いはず。全メンバーそこまで棋力が離れているわけではないためオーダーの配置に悩みました。大将には背が高く見栄えがいいN町さんを配置するなど迷走しましたが、エースの位置の融通が利くオーダーになったと思います。


0回戦


 今回の団体戦の会場は松山市にある愛媛大学。高松から松山までのアクセスが岡山よりも悪く驚きましたが、特急いしづち組と高速バス組に分かれて移動し前泊。担当の人が大学に用意していた対局時計を持っていくのを忘れるというアクシデントが発生しましたが、当日入りの人がいたため難を逃れました。

 団体戦の前に理事会がありました。今回は議題がやけに多く、しかも個人戦の予選の組み合わせに関することや春団体を5人制にするか否か、といった重要議題が取り上げられたため長引きました。少し荒れたけど思っていたよりかは荒れなかった印象です。

 そして今回は松山在住のOBの方がわざわざ応援に来てくださりました!なんと全員分の飲み物を用意されていて大変励みとなりました。


1回戦 山口大学


 いきなり優勝候補の山口大学との戦いです。山口大学は昨年の1年生が超豊作でY村氏・Z津氏・T居氏の三本柱が盤石の極み。さらに中四名人経験のあるY田氏も擁しています。本対決でも上記の4人が出場しており香大相手でも容赦ないのだな~と感心していました。オーダーは唯一の当日入りで疲れているであろう1年生のT口君が抜け番。この対局の間に愛媛大学の情報収集をお願いしました。

 私も対戦相手はK田氏。昨年度秋中四にてコマじろうコスプレをしていた人ですね。西日本大会交流戦には対局がありその時は相穴熊で負けていたのでリベンジの気持ちで挑みました。戦型はこちらの中飛車穴熊vs居飛車穴熊に。駒組が飽和し千日手がちらついたため思い切って角を切って銀を出る筋で仕掛けましたがさすがに無理筋だったようで終盤粘りましたが的確に寄せられ負け。先手番の利が活きる将棋ではなかったので千日手でもう一局とするところでした。

さすがに無理攻めだった

 他の対局はというと、I井-Z津戦が相穴熊で相当長引いていました。I井さんが金と銀の丸得で優勢かと思いましたが、端からあやをつけられ終局に…。他の人より30~40分くらい対局しており、疲労を考慮して次戦抜け番ということになりました。

 チームとしては0-7ではっきりと力の差を見せつけられました。


2回戦 徳島大学


 徳大はやはりメロンさんとN中氏が強敵。これまでの大会でも安定した成績を残しているため格上です。オーダーはというと、うまくエースがずれており何とか1勝の見込みはありました。また、T口-メロンさんという医学部対決のカードも。ちなみにT口君は広大の一間さんと中高(一貫校)同じらしいです。

 私の対戦相手はI藤氏。初手合いでどんな戦型になるか不安でした。
 私の後手番で初手から、▲7六歩△3四歩▲7七角というオープニングに。悩んだ末に△4二飛。その後▲6八銀△7七角成▲同銀△6二玉▲9六歩△9四歩▲5六歩△2二銀▲6六銀△3三銀▲8八飛と進行しました。途中まで相手が居飛車の可能性もあり惑わされましたが結局は角交換相振り飛車に。この戦型らしく激しい攻め合いとなり、対局中は結構いい感じなのでは?と思っていましたが一歩届かず負け。

 チームとしては3-4で自分が戦犯じゃん…と落ち込みました。感想戦にて最後△5一玉ではなく△4二玉と逃げていたら難解だったのでは?と指摘され頭を抱えましたが、ソフトにその順でも詰みあり・詰まずともあなたの敗勢ですと指摘されることに…。どうやらどっちみち個人としてもチームとしても負けだったようです。しかし、徳島大学相手に3-4まで戦えたことで我々そこまで弱くないのでは?と謎の自信がつきました。

△4二玉でも負けだった

 また、この対局の途中くらいから明日の若葉杯・女流杯に出場予定の1年生が会場入りしました。明日の会場とは場所が違うのですが、ぜひ団体戦の雰囲気を味わってもらいたいということから会場に来てもらいました。


3回戦 岡山大学

 
 次の相手はめちゃくちゃ層が厚い岡山大学。えむじーさん・白い石さん・N村氏・N島氏・O智氏・H山氏などなど強豪を数えればきりがありません。今回H山氏(今年の春中四個人準優勝)が不在のようですが、それぐらいどうにかなる選手層です。オーダーは前局で疲弊していたS木君を抜け番にして代わりに先ほど休憩していたI井さんが出ることとなりました。

 私の対戦相手はS藤氏。対局前にえむじーさんから「S藤はうちのエースだよ~」と脅迫?され戦々恐々で挑みました。戦型はこちらの中飛車vs居飛車で銀対抗相穴熊に。中盤、相手に見落としがあったのかなんと丸々桂得することに成功しさすがに優勢を意識しました。しかし一段落した局面からどう手を作っていくのか分からなくなりおかしな手を連発。具体的には相手が△6四飛とと金を払った局面。本譜は▲4五歩~▲4四歩~▲3六桂と攻めましたが筋悪でした。ここでは▲4五歩に代えて露骨に▲5五桂と絡んで△5三金には▲7五角が絶好となっていました。本譜は優勢を徐々に溶かしていき劣勢に。最後は根性で自陣を埋めまくりましたが攻めに攻められ負けとなりました。

▲5五桂が正着だった

 チームとしては1-6。唯一の勝利となったのは次期部長のS藤君でした。相手はウォーズ10切れで言うと四段の白い石さんであるため大金星です。S藤君は団体戦でも個人戦でも強者を引き付ける性質を持っており、今回の団体戦でもその性質が遺憾なく発揮されていますね(山大戦はY村氏、徳大戦はN中氏)。そういえば確か岡大戦の後だったように記憶していますが広大の韋駄天さん・Pine君(次期中四理事長)に「ミノさんですよね~?」と話しかけられました。Twitterの人とリアルで交流することができるのも大会の楽しいところと改めて実感しました。

 そんな中、徳大が山大に4-3で勝ったという知らせが入ってきて驚きました。まさか山大の牙城が崩れるとは思いもしませんでしたが、それ以上にその徳大に3-4まで善戦できたのは結構すごいのでは?という思考になりました。


4回戦 愛媛大学


 そしてついに訪れた運命の愛媛大学戦。岡山大学戦で対局が他の人より長引き疲弊していた私は自ら抜け番を希望しました。正直あの状態で対局する気力はなく自分以外のみんなに残留の望みを託すことに。この時点で愛大も香大と同じく勝数0で、相手としても負けられない戦いです。

 こちらとしてはエースのU宮君を名無しの虎理事長・N野氏に当てないオーダーにして確実に1勝を稼ぎたかったのですが、U宮君の相手はN野氏となってしまいました…。過去にも何度か対局があるカードですが対戦成績は負け越しとのこと。厳しい…。

 戦型は、N町さんは振り飛車相手に地下鉄飛車、N川君は相居飛車(確かショーダンオリジナルだったはず)、S藤君は対振りで左美濃、T口君は対ショーダンシステム、U宮君は角換わり右玉、I井さんは相居飛車(相掛かりのはず)、S木君は対中飛車左穴熊という感じ。対局が始まってからは気が気ではなくみんなの盤面をちらちら見ながらうろうろしていました。

 その後少し時間が経ち局面も中盤から終盤に突入していき、「あれ?これはいけるのでは?」という思いが自分の中で浮かんできました。具体的には、N町さん、I井さん、S木君の将棋がはっきり勝勢に見えたからです。残りの対局も苦しい将棋はあるものの勝利の希望がありそうなものもありました。そして次々と対局が終わっていく中、U宮君勝ちが分かりました!ここを拾ったのは大きすぎる。その後残ったのはI井さんとT口君の対局。どちらかが勝てば4勝確定です。I井さんの対局はどう見ても勝勢で、逆にT口くんは苦しそうでした。先に決着がついたのはI井さんで勝ち!T口君は負けてしまったものの、見事愛媛大学相手に4-3で勝利となりました。


5回戦 広島大学


 愛媛大学に勝ちほっとしたのもつかの間、最終局の相手は広島大学です。ぽったいし君とズンドコベロンチョ君が強敵です。他のメンバーについては情報不足のためよく分からず。一間さんの不在・圧倒的エースN美氏の卒業が戦力に影響を与えているのでしょうか。

 対局時間についてですが、これまでに長引いた対局がいくつもあり会場のタイムリミットが迫っているとのことで、この対局は10分60秒の時間設定で行うことが対局直前に決まりました。オーダーはS木君とT口君のどちらを抜け番にするかで少しごたつきました。というのもS木君は疲弊しておりできれば対局は無しが良い、またT口君は帰りの電車が迫っており万一逃すと一泊する必要があるためです。最終的に電車を逃した場合はみんなでT口君の宿賃を負担しようということになりS木君抜け番となりました。

 そして始まった団体戦最終局。私の相手はこれまでのオーダー的にぽったいし君と思いきやK原氏でした。K原氏とは少なからず因縁があり、二年前の秋中四にて3回も対局があり3回とも負けているのです!内訳は団体戦B級で1敗、個人戦予選にて2敗です。そのため何としてでも勝ちたい相手でした。また、今回の団体戦としても1勝もしておらず最後に勝って終わりたいという思いがありました。戦型はこちらの四間飛車穴熊vs銀冠に。2年前の対局の時は全局とも振り飛車だったので今回も振り飛車と思っていたのですが、居飛車にモデルチェンジしたと感想戦にて判明しました。

 ターニングポイントは41手目▲3五歩。この手に対し①△同銀とするのか②△4一飛とするのか悩みに悩みました。①の場合▲3三角成△同桂▲7七角△4三飛、②の場合▲3四歩△5一角の進行を読んでいました。①は一気にさばき合いとなる順、②は局面を激しくせずに辛抱する順です。△6四金が浮いていて不安材料であるため①の順は金が遊んでしまいそうと思い②の順を選ぼうかと思いました。しかし、②の順では4筋の歩を切った後の▲4二歩が手筋の焦点の歩で激痛では!?と思い至り①の順を選択しました。考えすぎた結果持ち時間は秒読みに突入(持ち時間変更で20分→10分になったのも影響)。しかし形勢はまだまだと思っていました。ちなみに②の順は明らかに私が劣勢になっていたようです。2択を間違えずにすんで対局後ほっとしました。

運命の2択

その後は結果的に飛車金交換で駒損となるものの左桂がさばけ張り付くことに成功。最後は重たい攻めとなったものの何とか寄せきることができ勝利となりました。

ベタベタと

 そしてチームとしてはなんと5-2で勝ち!香大強くない…!?正直かなり驚きました。そしてそれ以上に驚いたのは徳大-愛大戦で愛大が4-3で勝ったということ!ここにきて我々は青ざめます。完全に残留したと思い込み消化試合の気持ちで広大戦に臨みましたが、仮に負けていたら勝点の関係で降級の可能性がかなりあったということです。徳大は山大に勝っていたため、愛大が徳大に勝つのはかなり厳しいのではないか、愛大が0勝なら自動的に我々は残留!と高を括っていたため冷や水を浴びせられた気分でした。他のメンバーの話を聞くとどうせ消化試合だし伸び伸び指そう、普段しないことをしよう、とかなりゆるんでいたようでした…。逆にそれが好影響となりこのような快勝に繋がったのでしょうか…?

 また、この香大戦の結果により愛大との勝点の関係でなんと広大がA級から降級という事態に…!昨年の春中四優勝であるため信じられません。逆にB級からの昇級は松山大学となったようで来年春の残留争いが早くも怖いところです。


最後に


 結果として香川大学将棋部は2勝3敗でA級団体戦4位という結果になりました。先輩情報によるとこの成績は約7年ぶり以上の快挙とのことです。
 
 オーダーに関して振り返ると戦術性のかけらも無く、対局が長引いて疲れている人を抜け番にするというもので改善しなければなりません。しかしオーダーを工夫するためには8人のメンバー構成では少なく、次回は何とか10人集めたいところ。4年生のI井さんとN町さんが次から参加できないのかなりの痛手ですが、今回団体戦に出場していない1年生に有望株がいるので何とか初段まで鍛えて出場させたいところ。また、来年の新入生にも期待です。そろそろ四・五段クラスの強い人が入部してくれるはず…!

 次回の大会(2024春中四)の目標は、やはりA級残留です。正直上位三校(山大・岡大・徳大)の壁はあまりにも高いと感じています。逆に残留争いは香大・愛大・松大のメンツです。そのため愛大・松大に勝つことが目標。特に松大は元奨で中四個人戦3連覇のニチャアの人が卒業するのが戦力的にかなり痛そうで、何としても勝ちたいところ。しかし松大は定期的に松山将棋センター出身の傑物が入部するため油断はできません。

 私自身は今大会後から次回大会までの期間は公務員試験関係でかなり忙しくあまり将棋の勉強ができない可能性が高いですが、A級団体戦での勝ち越しを目指して何とか棋力を向上させたいところ。後輩が頑張っている以上、私も恥ずかしい姿を見せるわけにはいけません。

 最後にはなりましたが、大会関係者の皆様ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。また、ここまで拙文をお読みいただきありがとうございました。

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