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成功事例ばかり集めても成功しない。前例なき時代を生きるためのトリセツ

こんにちは『幸せに働ける人や地域づくり』をライフテーマにしていますミノです。今回は、2019年上半期で”一番面白い”と思った『Forbes Japan(2019.6月号)』からの気づきをシェアします。

100年「情熱的に働き、学び続ける」時代

今回の企画が面白いと最初に思った点は、人生100年を大前提としてポジティブに捉えていることでした。国やメディアが人生100年を唱えるときはいつも個人の課題とセットになっています
『寿命が伸びるよ!老後のお金どうする』
『無定年時代になるよ、働き方を見直そう』

など。人生が伸びることで、多くの苦悩が生まれる。寿命だけが伸びてもと、不安を覚えた方は少なくないと思います。

しかし、この特集では100年もの間、情熱的に働き、学び続ける時代になるよ!というタイトルがメインになっている。つまり、大前提として人は自分の好きなことに情熱をもてる存在であり、それを100年も楽しめるんだよということ。どうです?ワクワクしませんか!

<企画サマリー>一人ひとりが「100年アントレプレナー」になろう。これが「100年『情熱的に働き、学び続ける』時代」特集におけるメッセージだ。アントレプレナーとは起業家をさすだけではない。「機会を積極的に探し、冒険的にリスクをとる人。市場に変化と成長を起こす新発想の創造、普及、実装を促す人すべて」だ。生産性向上に最も重要な要素である「起業家精神」を100年持ち続けるとしたら、何が必要なのか。テクノロジー最先端国エストニアの起業家たちを巡り、世界的有識者らに話を聞く中で、私たちは一つの答えを見つけた。それが「It Starts with you(すべては私から始まる)」。日本にいま必要な「働くと学ぶ」を探索する旅がここから始まる!

そして、今回の特集には人が豊かに生きるための海外の事例がたくさん載っています。大人の学び直し学校と言われる公立学校・フォルケホイスコーレや、世界で最も刺激的なビジネススクール・KAOSPILOT、そして遊びながら生きる力を養う森のようちえんなど、働き方や教育に興味がある人だったら一度は、いってみたいと思う”成功事例”があふれている。

私は『この雑誌は自分のために企画されたのではないか』と都合の良い解釈をしてしまうほど、嬉々としてこの雑誌を読みふけた後、5月末にある読者イベントにも参加しました。

この雑誌と出会えたことで、たくさんの成功事例を手に入れて、自分の関わる地域のみんなにも貢献できる。そんな気になっていました。

しかし結果的に、私がこの雑誌とイベントから得たのは『学び』以上に『大きな反省』でした。

電子国家エストニアは、電子国家になりたかったわけではない

雑誌やイベントからの学びに中で、特に印象に残ったストーリーがあります。それがエストニアの元日本支局長である山口功作さんの一言。
『なぜ、エストニアが電子国家として成功したのか?』という問いに対して
『エストニアは電子国家になりたかったのではない』ということ。

エストニア政府は、前例がないプロジェクトのゴールを『高齢者も、若者も、外国人も、生活のあらゆる点でデジタルが導入されていることに気づかず、なめらかに利用/生活できている状態になっていること』と置いていました。

エストニアでは人口約132万人のコンパクトな国。日本でいうと埼玉県さいたま市と同じ人口規模です。周りにも多くの隣接した小国があり、自国だけでは生きていけないと理解しています。だからこそ、このゴールに至るまで、他の地域や外国人の英知を積極的にもらいながら多くの議論を重ねていたという。『なぜ電子を導入するのか?その理由をしっかりと議論されていた』その点が、ゴールが達成された一つの要因であるとのことだったといいます。

『力なき正義は無力なり、正義なき力は暴力なり』という空手界で有名な言葉がありますが『哲学のない技術は、しょせん"技術"』でしかない。つまり、自分たちがどんな風に生きたいかという問いから、全てのプロジェクトを始めようということでした。

Local government as Startup

奈良県の現役生駒市長(小紫雅史氏)が、『公務員の終身雇用制度は10~15年で崩壊する』と唱え話題になりましたが、日本の自治体では、公務員制度だけでなく、公共施設やサービスを維持していくために人口獲得をかけた生き残り戦争がおこっていくことは避けられない事実です。

他の街で成功しているからという事例を待たず、街としてのVISION をセットして、誰のために何が出来るのか?どう在りたいかという事を問い続けながら変化していく必要があります。

イベント中には『Local government as Startup』という単語が出てきました。これは、自治体スタートアップという対局に見える組織でも、競争環境が激しくなる今、少ないリソースで、生き残りをかけ戦い挑まなくてはいけない状況にあるということは、とっても面白い気づきでした。

成功事例を集めても成功しないから。

私は、富山県南砺市にある井波の人づくり戦略を担っています。まだ企画段階なのでこのプロジェクトが成功するようにと多くの事例を調べてきました。

海外の成功事例を調べては、嬉々として仲間にシェア。その行動の裏には、成功事例を集めることで自分たちの町の取り組みも成功するような感覚になっていたのだと思います。

「”敵”を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉がある通り、他の地域の取り組みを理解することは大切。しかし、事例を調べることばかりに時間を割くのではなく、自分たちの地域には何が必要なのか?どう在りたいのか?を仲間と徹底的に話すことに時間を割くべきだったと大反省しました。(写真:富山の仲間とのミーティング風景)

街の未来は検索から見えない。問いと行動が未来をつくる

私は、『趣味は”海外地域視察と靴磨き”』と断言するほど、他の地域の事例が好きです。経済恐慌を影響を受け、死にそうになったイタリアやスペインなどの地域が、地元の人の不断の努力で危機を乗り越えていくストーリーには、いつも励まされます。そして、日本の地域でもまだまだ出来ることがあると希望をもらえるのです!

しかし、そんな行動が重なることで、私自身、『考える』のではなく『検索する』癖がついてしまっていることに気づきました(反省!)

世界に先駆けて少子高齢化/ 人口減少に直面していく日本。事例なき時代を生きるため自治体も、国も、そして国民も問われていく『どう在りたいのか?』の答えは、検索では見つからない。

前例なき時代を生きるわたしたちは、『街の未来は検索から見えない。問いと行動が未来をつくる』と腹をくくり、自分自身や街の仲間に対して問い続けていくことが最も大切だったということに気づけた、そんな企画でした。

ありがとうForbesさん!(写真は、Forbes Japanの副編集長谷本さんと)

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