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ラグビーW杯が教えてくれた、応援するエネルギーの循環

「やっと、、、買えた。」
PCの前でリロードを繰り返すこと3時間。私はようやくラグビーW杯の観戦チケットを買うことができた。

組み合わせは、2019年10月13日、日本vsスコットランド戦。

結果は多くの方がご存知の通り。

日本は劇的な勝利をおさめ、史上初のベスト8進出を果たした。それが決まった瞬間、6万人以上の観客で埋め尽くされたスタジアムは、ファンが身にまとう赤と白いユニフォームがまるで桜吹雪みたいに揺れていた。

この試合のすばらしさを語るプロはたくさんいるので、そちらにおまかせするとして、今回は、地域×スポーツにひもづけて、私は、この日感じた「(誰かを)応援するエネルギーは循環するんだ」ということを書きたいと想う。

「日本で成功するわけがない」と言われ続けた日々

劇的勝利の日からさかのぼること数年前、ラグビーワールドカップ(W杯)の実施が決まってからも、この前評判は私の耳にも入ってきていた。

しかし、フタを開けてみるとチケット売上高は当初予想の1.5倍超の350億円を達成。総収入はラグビー発祥の地イングランドで開かれた前回大会を上回るとのこと(日経新聞より

そして日本は4戦全勝で1位となり、初の1次リーグ突破を果たした。

にわかファンであるわたしも、その歴史的な快挙に感動した。

この日を作り出そうと数年間努力した人々の働きや、スタジアムの中心にいる日本代表の選手の英姿だけでなく、私は、そのスタジアムを取り囲む人の姿にも感動した。

どこから湧いてくるのか?老若男女が生み出すエネルギー

6万人を収容する日産スタジアム。当日の会場には、多くの年配者がいた。

巨大なスタジアムには多くの階段がある。指定の席につくため、わたしは何段もある階段を、息を切らしながら上がっていった。しかしその横では、70~80歳ぐらいの腰の曲がったおじいちゃんが杖を突きながらも、鼻歌を歌いながら笑顔で上がっていく姿があった。

同じ座席エリアにいた、50歳ぐらいのおばちゃんは、ハーフタイム中に流れるBGMに合わせ、外国人顔負けのダンスを披露していた。手作りしたであろう赤と白のスカートをひらひらさせ、チアガールのようなオーラを醸し出していた。

そして、広島から来たラグビーファンの夫婦は、四国や福岡出身の選手を好意にしているらしかった。「お前らは、俺らの誇りだ−!いけー!」と声が枯れるまで、そのプレーヤーの名前を叫び続けていた。

100kg以上ある選手が豪速球のように芝の上を走る姿。
自分より更に大きい選手にトップスピードでぶつかっていく姿勢。
そして、絶対にボールをキープし続けるという視線。

ありきたりなことしか言えないけど、にわかファンである私は、単にラグビーを競技として面白いなと思っていた。

しかし、それ以上に、先程あげたように、(体型から想像するに)ラグビーを経験したことがないであろう人々が、心の底から選手のプレーを楽しみ、選手ひとりひとりのベストを心から祈っる「応援するエネルギーの総量」に感激した。

私は、スポーツは、自分自身がして楽しむものだと思っていた。
やったこともないし、ルールがわからないスポーツは楽しくないと思い込んでいた。

でも、実際に見てみると、自分が(スポーツを)する以上の気づきや感動があった。同時に、(選手を)応援するエネルギーは、自分をも奮い立たせてくれるものだと気づいた。

顔が見える人を応援するとベクトルがそろう

「地方創生」では、地域のためにたくさんのエネルギーとお金が払われている。その一方で事業の内容やお金が決まっているのに「地域のためって誰ですか?」と自治体担当者に聞くと「やってみないとわかりません」と実際にその対象となる人が具体的にでてこないことが多い。

私はそのたびに、「地域のためって誰のためなの?」と思うことがたくさんある。

しかし、スポーツ×地域の場合は、そのベクトルがそろいやすい。その地域を拠点に頑張る選手や、ゆかりがある選手の顔が思い浮かぶと、みんなのエネルギーの矛先がそろいやすい。あいつのためにみんなで応援しようと、エネルギーが生まれてくるし、そろうんだ。

実際に、私が2018年に美食の聖地として世界的に有名になったスペイン・サン・セバスティアンに行ったときも、現地の人がスポーツは地域のエネルギーが量を高めると、その重要性を説いていた。

バスクサッカー:「バスク人選手のみ」(民族的なバスク人選手とバスクで生まれ育った選手)で100年にわたって、1部リーグで戦い続けている

漁師や農家の男たちがその日の仕事終わりに、バスク地方のみで形成されたサッカーチームの応援を楽しむ。そういった行動を数百年つづけて、”地元のために”というアイデンティティが確固たるものになっていったと言われている。(バスクサッカーのチケットは、宣伝広告などは行なわない。住民ファンに勝手に売れるほど地元民の生活の一分になっていると現地の人が言っていた)


今回のラグビーとの出会いを機に、私は、「(たとえ自分がやっていなくても)誰かを応援するエネルギーは、自分にも地域にも還ってくるんだ。」ということに気づけた。

にわかファンだからと言って遠慮なんてしなくていい。
自分の心で生まれたエネルギーを、エールとして発することで、様々な地域で頑張る選手の行動を少しでも後押しできるかもしれない。

そんなポジティブなエネルギーを、各地域やコミュニティで循環させることができれば、回り回って、様々な地域で頑張る個人が成長する社会をつくれるかもしれない。

そんなことを思った勝利の夜でした。

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