長野富士見町の森のオフィス。

『森のオフィス』

都内のコンクリートジャングルに疲れている人ならば、きっとこの響きに、心が惹かれるに違いない。長野県の人口1.4万人という小さな町・富士見町にある『森のオフィス』。個々は全国にあるコワーキングの中でも、わたしがずっと気になっていた場所のひとつでした。

2015年、ランサーズと奄美市が『フリーランスが最も働きやすい島化計画』を掲げたタイミングで、私達はいろいろなメディアや、国の機関から、地方創生の事例とし聞かせてほしいというオファーを頂いていた。

そして、その掲載事例の横を見ると、常に横で紹介されていたのが長野県富士見町の『富士見町テレワークタウン計画』だった。その当時は地方創生や働き方改革という言葉が全く出ていないとき。

メディアにもフリーランスとフリーターが間違われていたときだったので、私は同じ時期に地域をフリーランスやテレワークで元気にしようとする町の存在があることに心から励まされていた。そして、いつか、富士見町の方に会ってみたいなと思っていた。しかし、出会うきっかけがないまま、(都心からわずか3時間の場所ンなのに)4年の月日が流れていた。

この感情をジブリ作品で例えるなら、『耳をすませば』という作品で、本が大好きな主人公の”月島雫”が、図書館でたくさんの本を借りるのだけど、その図書カードをみると必ず、”天沢聖司”という名前がでてくる。そんな図書カード上での偶然の出会いを重ねているうちに、主人公の月島雫は、会ったことがない人の存在に、勝手に運命じみたものを感じいくというのと近い。

ちょっとロマンチックにいいすぎだけど、私の『森のオフィス』に対する思いは、そんな感情から、甘酸っぱい青春感を一切削ぎ落とし、ただただ”行ってみたかった”という感情の発酵品なのかもしれない。ただ、行きたい思いが長く自分にあると、一種の感動的な出会いに感じるというものである。


森のオフィスは、名前の通り気持ちい空間だった。

前置きが長くなってしまったが、実際行ってみてどうだったかというと、森のオフィスは想像以上に、驚くぐらい気持ちのいい空間だった。建物の中にいるのに、新緑の中にいるかのように感じられる。深呼吸したくなるほど木漏れ日と、鳥のさえずりを感じられる空間だった。

いろいろな地域にあるような行政の箱物感はまったくない。そして、都内に有るコワーキングの代表格WeWorkが作るような背伸びをする感じもない。八ヶ岳や南アルプスに馴染む森のコテージがそのままコワーキングに進化したような空間なのだ。

<ライブラリーエリア>コワーキングスペース内を見てみると、その中の図書館に、PEAKSや、岳人そして、暮らしの手帖などのバックナンバーが並んでいる。ここを利用する人が、山とともに丁寧な暮らしをしていることがわかり心がほっこりした。

<イベント>キッチンスペースも有る森のオフィスでは月に数回いろいろなテーマでイベントをやっているとのこと。「デンマークの教育について」だったり、「地域起業について」だったり、地域のニーズに合わせて現地の人が企画しているという。

<その他>それ以外にも、森のオフィスだね〜と思うようなハンモックや、空間がたくさんあった。ぜひ、書ききれない部分も含めて写真でシェアを!

じぶんを大切にしてもらえる場

今回は、幸運なことに『森のオフィス』立ち上げに関わられていた富士見町役場総務課企画統計係 小川大輔さんと、Route Design合同会社の津田賀央さんに、現地を案内してもらうことができた。

私が気になっていたのは、人口1.4万人の富士見町。小さな町に有る小さなコーワキングで、どのように人を集めたのか、そして、外の人を呼ぶための施設なのか、地域のためにある施設なのか?どっちをターゲティングしているのかということ。

立ち上げ人のひとりで、ずっとクリエイティブ畑のプロである津田さんに話を聞くと、私が想像していた戦略的な回答とは異なり、とってもシンプルな回答が帰ってきた。それは「来てくれた人、一人ひとりがもう一度来たくなる場にすること。友達を連れてきたくなる場にすること」だという。

なんとも地道で、愚直な方法だ。でも、実際に、村人一人ひとりの顔と名前が一致してしまうぐらいの小さな町だから、このような考えが一番誠実に一人ひとりに届くんだろうなと思った。東京から来る人も、地元の人も、どちらのためということをはっきり決めるのではなく、『一人ひとりのスキルや、やりたいことに寄り添って、ひとと人をつなげる。実現のお手伝いをしてくれる場が、森のオフィスだ』という。

私は、なんだかコワーキングスペース問聞くと利便性がよく、おしゃれな場であることが大切なイメージが合ったが。森のオフィスはそれ以上に、ひとの想いや能力を大切にする場だなという印象をうけた。

小さいことが価値になる

テレワーク推進のフロントランナーである富士見町。働き方改革が提唱される5年も前から、自分たちで、考え行動してきたという、そうしてこれまでで、17組の家族が移住しているという。

その家族一人ひとりの「どんな仕事をしたらいいのか?」という問いに、コワーキングに来れば、自身の思いをちゃんと聞いてくれる。伴走してくれる。地域の人とつなげてくれる。そんなことが一人ひとりにできるくらいの手のひらサイズ街であり、実際にそれを愚直にやり続けてきた。

運営者の津田さんは、まだまだ試行錯誤の部分も多いというが、そんな姿勢があるからこそ、富士見町の森のオフィスは魅力的に見えるんだろうなと思った。ぜひ、森で深呼吸したくなったら、富士見町に立ち寄ってみることオススメします!

参考記事



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?