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ランサーズを卒業しました



本日4月30日で、約5年間勤めたランサーズを卒業します。

5年前、27歳だった私は、「ランサーズこない?」という友人からのメッセージがきっかけで、ランサーズにジョインしました。当時のランサーズは、鎌倉から渋谷に引っ越してきたばかり。誰もが「新しい働き方を創る」というビジョンに、共感し、夢見ていました。

狭いオフィスに、熱量が高い社員がぎっしり。朝から晩まで侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論を重ねる日々。オフィスビルの管理人さんから、「ランサーズさんのオフィスは、二酸化炭素濃度が高いです。感知器が発動寸前です」とアラートを出されたこともありました。

そんな日々が重なり、約5年の間に、社員も売上も、サービスも倍増。日本だけでなく世界中のフリーランスを支える社会基盤になっていきました。

今、「ランサーズを卒業する日」を、過去の経験に例えるならば、「ふるさと富山を出た日」と重なります。5年間、これでもかというぐらい空回りしたけれど、「幸せに働ける人と地域を創る」という、絶対ぶれない自分の「軸」を見つけられたことが、私にとってかけがえのない経験となりました。

同じ未来を夢見た仲間がいて、自分の目指す方向を応援してくれる秋好さんや、曽根さん、足立さん、根岸さんがいました。色々な地域を飛び回って、ランサーズのオフィスに帰ってくると、いつもほっと安心していました。

今後のことは、別途、書くことにして、今回はランサーズでの回想録を3つ書きたいと思います。

(写真:2014年、ランサーズ初Tシャツ完成記念写真)

根っこがつながった仲間との仕事は天職になる

「地域の働き方を変えたい」という想いはあったけど、代理店から転職してきたばかりの私は、変なプライドとこだわりが強いだけで、ベンチャーの中で走っていくためのスキルも視点も、何もかもが足りていませんでした。

今でこそ「フリーランス」という働き方は、市民権を得てきましたが、5年前は、メディア周りをしても、新聞記者の方に「フリーランス」は一般的ではないから紙面では扱えないと言われたり。「フリーター」と間違えられ、「世の中に”フリーター”を増やしてどうするのか」と怒られたこともありました。

そんな中、広報チームの潮田(ウッシー)と一緒に、どうしたらフリーランスの知名度が上がるか、新しい働き方として受け入れてもらえるかを日々真剣に話していました。真剣になりすぎて周りから「喧嘩しているの?」と言われたこともあったけど、ベンチャーと呼ばれる環境に入ったばかりで戸惑う私が、同じ年齢だからこそ腹を割って言いたいことを言える彼女とチームを組めたことは、本当に恵まれていたと思っています。

2015年からは、鹿児島県奄美市との提携を皮切りに地方創生事業の立ち上げに関わりました。この時に出会った篠原さん(しのさん)。地域の働き方を変えようという意思が、半端なく。私より少し先の視点で、その想いを事業にしていく姿は本当にかっこよかった。過度のプレッシャーや、出張の多さに、胃薬やポカリを抱えながらも「どうすれば地域事業は立ち上がるのか?」と何時間でも、時間がすぎるのを忘れて真剣に議論ができる存在でした。そして、地方創生チームとして一緒に働いた鈴木さん、りなさん、ミキティ、やすこさん、菊野ちゃん、そして全国の仲間。

私の周りには、いつも根っこでつながった仲間と、毎日、100%以上の力を出し切きっている高揚感や疲労感がありました。

このメンバーと働けたらからこそ、私はランサーズが大好きであり続けられたし、誰に聞かれても「ランサーズは、天職です」と笑顔で応えられたのだと思います。

(写真:2015年地方創生のサイト立ち上げお祝いケーキ)

ランサーズから学んだこと

「新しい働き方は創れる」

ランサーズ全員が夢見ていた「新しい働き方を創る」というビジョン。
地方創生担当であり、広報だった私は、毎日一人でも多くの人に伝えられたらと走り回っていました。しかし、現場の反応は半信半疑。

「期待はするけど、働き方はすぐに変わらないよ」
「誰もがフリーランスになれるわけではないからね」
「働き方と言っても、小遣い稼ぎ程度でしょ」

しかし、外で何を言われても、オフィスに帰ると、秋好さん筆頭に「日本の働き方を絶対に変えてやる」そんな気概があるメンバーがいてくれました。そんな熱量が世の中に少しづつ広がり5年間でランサーズは、いろいろな業界や地域に広がっていきました。

4年間23都市とのご縁をいただいた地方創生チームは、北は北海道から、南は鹿児島、沖縄まで、多いときは3ヶ月で40回以上の働き方講座に関わり、6,000人以上の受講生と出会える機会がありました。そして、それぞれの土地でランサーズが多くの人にとっての「自分らしく働ける選択肢」になっていくシーンを見てきました。

たとえ、企業誘致、工場誘致ができない土地でも。
たとえ、始めた当初はITのスキルがなくても。
たとえ、介護や育児で時間がなくても、

「今の働き方を変えたい」と願う全て人は、行動し、新しい働き方を創るフリーランスになっていきました。

そんな姿を多くのランサーさんが見せてくれたからこそ、私は「新しい働き方は創れる」ということに心からの確信を持てています。その想いがあるからこそ、私自身が2年間「ダブル正社員」という機会に挑戦できたのだと思います。

地域から学んだこと「変わる豊かさの価値観」

もう一つランサーズ、そして全国のフリーランスの方から学んだことは、「豊かさの価値観が変化していること」でした。

地域で働き方講座を開催すると、国や自治体の担当者の多くは、「地域住民(多くは主婦)でも大卒ぐらい稼がないと、かわいそうだ」といいます。

一方で、地域の受講生は「20万あったらいいけど、そんなになくても困らない」というのです。

仕事を通じて得るお金は、生活を安定させるため、重要です。しかし、家族との時間を大切に考えたり、天気の良い日に畑仕事を子供と一緒に楽しんだりする、そんな時間を「豊かさ」と定義し大切にしている方々に出会いました。

人生の豊かさとは貨幣だけで計れるものではない。きれいごとのように聞こえますが、資本主義社会、東京のど真ん中にいる私たちが忘れそうになる価値観でした。

資本主義が限界を迎え、大量生産、大量消費、貨幣中心の経済が変わろうとしています。多くの人は、成長だけが豊かさではないと気づいているけど、まだまだ変われない現状もあります。

「次の社会の豊かさをどう定義していくか、しっかり考えていこう」

これは、全国の自治体で出会った方から出されたお題でもあり、これから自分の人生をかけて考えていきたい、テーマだなと思っています。

(写真:2019年・ランサーズの地域プロジェクトの仲間たち)

ランサーズは、同志と出会える場所でした

全国のフリーランスの方、各地の仲間と共に過ごせた時間、すべてが私にとって宝物でした。企業という垣根を超えてみんなで、同じ未来を見られる場所でした。「未来の働き方を創りたい」という想いがある人であれば、私はランサーズをおすすめしたいと思います。(これは、忖度ではなく本当におもっています!)

たくさん泣いたし、たくさん笑いました。そして美味しいお酒も、悔しいお酒もたくさん飲みました。(とにかく、たくさん飲んでましたっ!)

いつか、自分の人生が幕を閉じる日が来たら、「あの頃は楽しかった」と、ランサーズでの日々を思い出すんだろうなと思っています。

ランサーズそして、ランサーズを通じて出会った地域の仲間をこれからもずっと応援していきます。

5年間、ありがとうございました。


平成31年4月30日

蓑口 恵美



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