見出し画像

カメラと好きな人

私には最近、好きな人ができた。

すごく平凡な人かもしれない。のんびりしていて、

よく寝る。静かで、急にやさしい声で「あっ。」て言ったりする。

彼の出す「うん。」という音はすごくかわいくて、少年みたいだ。

もしも、私がもう一度好きと言って、会うたびに彼の写真を撮りたい

と言うのなら、彼はどんな反応をするのだろう。

嫌がるのだろうか、どうでもいいことのように受け流すのだろうか、

それとも、なんとも言ってくれないのだろうか。

そもそも、言わないほうがいいのだろうか。

なぜ、夜中の3時から私がこのことを考えているかというと、

猟師でカメラマンをしている幡野広志さんが「ガンになって気づくこと」という

記事を夜な夜な読んでしまったからだ。

彼は34歳でガン宣告をされた。骨肉腫で下半身も麻痺し始めている。

そんな彼が長い休暇を取りながら、好きなことをして生き、後悔はない中、

まだ一歳半の息子の写真を毎日取り続けている。

亡くなったとしても、お父さんはこれだけあなたのことを愛していたんだよ

ということを残していたいからだという。

最近、誰かにおくりものをすることが多い。

毎回、おくりものの形はなんだろう、どのおくりものがいいのだろうか

と思いながら、本当に伝えたい事を伝えることはすごく難しいなと感じる。

そんな時に、私が伝えたい事というのは

あたなといた時間は私にとってかけがえのない時間だ、という事だ。

それは家族にも友だちにも思う。だからこそ、何気ない時間でも、その瞬間に

シャッターをきることで、お互いの過ごした時間を残したい。そして

少しでも相手にも思い出してほしい。そして、「ああ、なつかしいな。」

って思ってもらえるだけでいい。

明日はカメラのキタムラに行こう。

フィルムに刻まれたあなたとの時間を早く見たいと思いながら

27回巻き終わるまで、大切にしたい。

そうすると、今よりももっと人と時間を大切にできるようになるはず。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?