「本日昼の刻、王宮にて出立の儀を行う」

この世界を統治する王様に勇者として召喚された。目的は魔王討伐である。俺は、これから幕の上がる冒険に期待と夢を膨らませ、王の謁見えっけんに臨のぞんだ。

◇

「勇者よ。知っての通り、今や魔王軍の脅威きょういは甚大じんだいだ。討伐を依頼したい」
「喜んでお受け致します」

この瞬間を待ち侘びながら俺はこの数年間修行に励んだ。この先に待ち受けるのは様々な試練や多くの仲間との出会い。興奮しないわけがない。

「では、これから仲間を集めて…」
「貴殿きでんの盾となる戦士は酒場に呼んでおる」
「へ？…では、接近戦に長けた…」
「武道家も酒場に呼んでおる」
「…もしや、僧侶も酒場に？」
「いや」
「ほっ、全員呼ばれては…」
「僧侶と魔法使いは街の教会に呼んでおる」
「おるんかいっ！」

まぁ、ワクワク仲間集めは百歩譲ってと…。とりあえず仲間と共にレベル上げだっ！

「では、お集め頂いた仲間と共に修練しゅうれんを重ねて」
「この秘宝の果実を食べれば一気にレベルを上げられるぞ？」
「それは超裏技チートと言うのでは？」

ともあれ、この先長い旅路。遥か東の彼方に魔王軍の城がある。幾多の山々を超えて…

「勇者よ、魔王軍の城は西の川を越えてすぐじゃから、船を用意しておいたぞ」

「貴方はショートショート王様かっ⁉︎」

俺の長く培つちかった夢と期待の冒険は秒で幕を下ろしたのだった。

（549文字）

大幅に文字数をオーバーしましたが、削れるところが無かったのでそのまま載せました🤣
今回も以下の素敵な企画に参画させて頂いています。

1,000回突破おめでとうございます㊗️🎉
ボクは4月末から始めたばかりなので歴は浅いですが、毎回素敵な作品が色んな形や色で掲載されるので楽しみです。たはらかにさん、おめでとうございます！そして、素敵な企画ありがとうございます😊✨